手作り三輪車で8時間の激走レース

「みずぐるま」

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【レース風景】
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【白熱レースに声援が飛ぶ】
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【周回カウントも真剣に】
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【和やかな?ピット風景】
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【ゴール風景1】
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【ゴール風景2】
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【歓喜のシャンパンシャワー】
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【表彰式】
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【みずぐるまのメンバー】
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【下呂市役所の小林さん】

平成16年3月に岐阜県萩原町、小坂町、下呂町、金山町、馬瀬村が合併して人口3万9千人ほどの下呂市が誕生した。有馬・草津と並び日本三名泉の一つとされる下呂温泉があるところだ。その下呂市萩原町の旧町役場駐車場で、毎年秋に珍しい三輪車レースが行われている。

平成17年10月に行われたレースの正式名称は「南飛騨・三輪車8時間耐久レース2005」と本格的。略称は〝三輪8耐〟。三輪車といっても幼児用のものではなく、手作りの大人用で直線は時速30㎞以上で走るという。レースには競技規則・車両規定がきちんと決められている。三輪レースを各地に普及させるとともに、この規程を世界標準にしようとひそかに目論んでもいる。

レースは10月29日に規定確認の車検と公式予選、翌30日に決勝レースが行われた。ドライバーは1チーム5人の交代制(女性チームは10人)でレース開始後はメンバーの変更はできない。だがチームスタッフは人数制限がなく、ピット内はとてもにぎやか。

参加料は開催経費や保険料を含む3,000円で、事前にエントリーの申し込みが必要。初日の予選はタイムアタックでコース1周のラップタイムを2回計測し、いいほうのタイムが採用されて決勝スタート時のポジションが決まる。

決勝は名称にあるとおり、1周400mのコースを8時間ひたすら走り続けるもの。時間内に何周できたかを競うレースである。上位3チームには参加料を上回る賞金と名誉が与えられる。

ドライバーの交替はピットで行われ、その方法も事細かく規定されている。ドライバーへのピットからの情報伝達もサインボードや無線が使われるという本格的なもの。8時間走行に耐える車体作りも求められる。なにしろ参戦マシンは1台のみで、スペアカーが認められていないため、途中で故障したらピットに戻り修理しなければならない。もっとも修理道具がなければ他のチームのピットに頼んでもOKというところはご愛嬌だ。マシンの規定は長さと幅の合計が2m以内、車輪は27インチで二等辺三角形に組み立てることや、足踏みペダルでギア・チェーン使用は不可、などがある。

例年25チームほどエントリーがあるが、2005年の大会は15組で行われた。プログラムをみると、参加者リストにはチーム名、代表者、所属、参戦回数が掲載されており、地元だけでなく高山市や岐阜市のチームも参加している。初参戦が3チーム、半数以上は常連だ。さらには競技委員会による戦前予想まで載っている。例えば「岐阜市から参戦の実力派チーム。自転車メーカーのバックアップを受けマシンも一流、ドライバーもトップクラス。しかしなぜだか結果が伴わない」とか、「マシントラブルさえなければ、若手ドライバーの活躍次第で上位に絡む。参戦8年目でそろそろ結果が欲しい。ただし過去7年は、惨敗に次ぐ惨敗」といった具合。辛口だが愛情溢れるコメントが並んでいる。実はこの三輪8耐プログラムには優勝当て投票用紙が付いていて、正解者には抽選で子供用マウンテンバイクや折りたたみ自転車が当たるという仕掛けが用意されている。戦前予想のコメントは、こうして市民に真剣に読まれている。

この年のレースは下馬評の高かった前年優勝チームが、連続優勝なしのジンクスもあって敗れ、岐阜市の実力派チームが初優勝。8時間に385周、154㎞を疾走し栄冠を勝ち取った。

この熱気溢れる〝三輪8耐〟を主催しているのは、萩原町の青年団体「みずぐるま」(各務敏文代表)である。

「みずぐるま」は平成4年に〝塾みずぐるま〟として設立された。萩原町は夏秋のトマトの産地で、農業構造改善事業の補助を受けた際に、人づくり事業の一環として商工会青年部が中心になり40人ほどのメンバーを集めた。映画会の開催や他地域との交流などに取り組んだが、当初の補助金が3年間で途絶えたことやメンバーがPTAや会社の役職に付くなどで活動が停滞していた。

そこで残った15人のメンバーで一から出直し、補助を断り自主活動で歩むことにした。夢をかなえたい人の募集をした時に、「鈴鹿8耐の感動を地元で味わいたい」との提案があり、ここから〝三輪8耐〟は始まった。平成9年に第一回を開催、手探りで始めたが〝みずぐるま〟のメンバーだけでなく、レースに参加する人達が熱心で次第に本格化、手作りイベントを作り上げる苦労を分かち合いながら、毎年の開催を続けている。開催費用は下呂市の後援のほか、毎回地元からスポンサーを募っている。

「回を追うごとに競技性が高まり、周回カウントを間違えられなくなりました。参加者が真剣ですから、地元の高校生にボランティアでお願いしている記録係りも必死です」と、〝みずぐるま〟のメンバーで下呂市役所に勤める小林さん。「不景気の影響で毎年スポンサー集めに苦労しています。地元FM局で開催予定を流してもらい、当日はテレビ局や岐阜新聞、中日新聞も取材してくれています。知名度もあがり10年続けてやっと認められてきたかなと思います。数えてはいませんが、地元の人を中心に延べ1,000人くらいの来場があると思います。また、観光客の見学も増えているようです。今まではレースするほうの楽しみを追求してきましたが、これからは観客もさらに楽しめるものに工夫していかなければと考えています」。

特設サーキット場のある萩原町の名前が多くの人に知られるようになったことは地元の誇りでもある。「旧萩原町出身の私も〝三輪8耐〟に〝はぎわら〟の字があるのはうれしいです。でも下呂市になったので下呂市民のイベントにしていかなければいけないとも思います。メインレースは萩原地区で行い、前夜祭や子どもレースなどは下呂市の中心部で行うことも検討しています」と、小林さんは地域をさらに熱くする決意を語ってくれた。


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