長野県軽井沢町NPO法人ピッキオの取り組み

「地元住民とツキノワグマの共存」を目指して

【軽井沢中心部を高所から撮影した風景】
【軽井沢中心部を高所から撮影した風景】

日本全国の誰もが名前を知っている長野県軽井沢町は、実は人口たった1万7千人の小さな町である。しかし、多くの日本人が持つ軽井沢のイメージは小さな町というものでは決してあるまい。大型アウトレット、数多くのゴルフ場、東京の原宿通りのような賑やかな土産店街、そして庶民が憧れる高級別荘地など、観光地・避暑地としてのイメージの方がよほど強いのではないだろうか。実際のところ、この小さな町には、年間800万人もの観光客や別荘住民が訪れる。夏場になると、観光スポットは人混みで溢れ、数キロにも及ぶマイカー渋滞で道路は大混雑となる。

ところで、このエリアを上空から眺めた景色を意識している人はほとんどいないのではないだろうか。下の写真は、浅間山麓の軽井沢エリア全体を上空から撮影したものである。一言で言えば、鬱蒼とした森といったところであろうか。この中に数多くの住宅、別荘、ペンションが点在し、その間の道路を人々が車で走行している。地域住民が日々の生活を営み、別荘族がサイクリングや散歩を楽しんでいる。

【ピッキオのビジターセンター】
【ピッキオのビジターセンター】

しかし、森の中で人々が生活しているということは、人間と野生動物が物理的に近接していることを意味する。それは、必然的に両者の間に軋轢を発生させることとなる。実は軽井沢では、今から10年ほど前から、ツキノワグマが人家の周辺に現れることが問題になってきた。バブル経済の余波で軽井沢エリアの別荘開発が進み、食べ残しの生ごみの量が増大するにつれて、その匂いに気づいたクマが山奥から出てくるようになったのである。最初は、ごみの集積所に現れて、(器用に鉄製の大きなダストボックスを開けて)その場で生ごみの袋を荒らすだけであったが、人間の食べ物の味を覚えたツキノワグマは、さらに大胆な行動をとるようになり、時には人家に近づき食べ物を物色するケースまで発生するようになった。こうして90年代半ばから、クマの目撃件数及び被害件数は増え始め、いよいよ本格的な対応が求められるようになった。

とはいえ、緑豊かな避暑地・観光地としてのブランドイメージを大切にする軽井沢町では、野生動物を撃って駆除するという選択肢を大々的に採用することには二の足を踏まざるを得ない。かといって、地元住民からは被害と恐怖心を減らすために駆除してほしいという声が上がる。こうした中、軽井沢町からの委託を受けて、クマの生態を調査し保護管理活動を実施する専門的なNPO法人が現れた。それが、NPO法人ピッキオである。軽井沢エリアで別荘地開発やエコツアー(大自然の恵みを楽しみながら環境保全のあり方を学ぶ参加型旅行プログラム)を手がけてきた企業が、野生動植物の調査研究・保護管理を行う部門を専門的に独立させることで法人格を取得した団体である。

このピッキオの活動については、既にご存じの方も多かろう。特にツキノワグマの被害対策と保護管理活動については、数年前から地元のテレビ局が注目するようになり、さらに最近になって全国ネットで特集を組んで、その活動を報道することが増えてきた。優れた環境保全活動の事例というだけならば、既に大手のテレビ局が紹介しており、わざわざ「わがまち元気」のレポートで取り上げる必要はない。しかし、これらのテレビ放送ではあまり描かれていないが、ピッキオの活動の中で最も重要でありながら難しい作業の一つとして、地元住民への普及啓発や町役場との連携といった活動をあげられる。本レポートでは、その観点を重視しつつ、ピッキオによるツキノワグマの保護管理活動について紹介したい。

【ツキノワグマを捕獲する装置】
【ツキノワグマを捕獲する装置】
【麻酔銃】
【麻酔銃】

最初に紹介しておきたいのは、ピッキオの活動を支えているスタッフ陣は、いわゆる市民運動のボランティアではなくて、野生動植物に関する専門知識を身につけた若手の研究者たちであるということである。これまで自然科学の研究者の職場といえば、大学の農学部・獣医学部か、行政あるいは民間企業の研究機関が主に想定されるところであった。しかしピッキオのスタッフは、大学院への進学や企業の研究所への就職ではなく、敢えて保護管理活動の現場で専門知識を活かしたいという考えを持って、この世界に足を踏み込んだ人たちである。メンバーの人数は、約30名である。

ツキノワグマに関する活動の中核は、クマが人家周辺に現れて被害をもたらすことを防ぐためのパトロールである。そして、クマの目撃情報や被害情報が入った場合には、速やかに現地に赴き、状況に応じた対処をする。例えば、人家などを荒らしたクマに対しては、わなを仕掛けて夜の張り込みを行う。無事に捕獲した場合には、麻酔銃で眠らせ、その間に個体に関するデータを集め、発信器を付ける。そして、爆竹を使ってクマをおどしながら解放することで人間に対する恐怖感を覚えさせる(学習放獣という)。その後は、クマに取り付けられた発信器から出される電波を追跡調査し、クマの活動範囲や生態系を調査するという作業を行っている。こうした対応がなされる前は、目撃されたクマは全てごみ荒らしの犯人かと疑われたのであるが、発信器の追跡調査を行うことによって、ほとんどのクマは日常的に軽井沢エリアを行動しており、その中の少数のクマが人間の生活エリアで被害を出しているという事実が明らかになってきた。クマを目撃した場合にいきなり駆除するのは無意味であって、問題行動を繰り返すクマだけを処分すれば十分なのである。野生動物の保護管理には、科学的なモニタリング調査が必要であるとされるが、軽井沢ではまさにそれが実践されていると言えよう。ピッキオの活動が功を奏して、90年代半ばより増え続けていた目撃情報・被害情報の件数は、2003年を境に急速に減少し始めている。

【標識付け・計測作業】
【標識付け・計測作業】
【学習放獣の現場
【学習放獣の現場 (出口の反対側から人間と犬
で脅し、さらに爆竹を用いて脅す)】
【野生動物対策用のゴミ箱
【野生動物対策用のゴミ箱
(野生動物は開けられません)】
【地元小学校の子どもたちへの普及啓発の様子】
【地元小学校の子どもたちへの普及啓発の様子】

このように野生動物を相手にする科学的な活動であるとはいえ、その効果や効率を規定するのは、何よりも人間社会における十分な理解と協力関係であるという。

まず第一に、軽井沢で暮らす人々への普及啓発が必要になる。ツキノワグマが人里に出没するようになったのは、人間の出すゴミの味を覚えてしまったからである。そうした通称「ゴミ熊」の存在は、ゴミの集積場に行けば食べ物を得られる状態が長らく続いていたことを意味している。冒頭述べたように軽井沢の滞在人口は、夏場のハイシーズンと最も観光客が少ないシーズンとでは大きな開きがある。そのため、観光客や別荘族が集まる夏場にはゴミの収集が間に合わず、恒常的に集積所に生ゴミが置かれるままになり、それがクマの嗅覚を刺激することになった。また、地元住民も、自宅のそばに漬け物の樽や食べ物を置くことが多く、それらがクマの目標物となる。ツキノワグマが人里に降りてきた原因を考えれば、クマによる被害は人災とも言えるものであった。であるならば、パトロールと学習放獣を通じた追い払いをするだけでは根本的な解決にはつながらず、軽井沢町におけるゴミの出し方や各地に置かれる集積所のダストボックスの工夫が必要になってくる。具体的には、地元住民、各ホテルやペンション、別荘利用者に対して、ゴミ出しの方法について十分に説明する必要が出てくるわけである。

しかし、地元住民への普及啓発に関しては、しばしば厳しい壁に直面することとなる。NPOなるものは、特定の活動に熱意と誠意を見せるが、その地域の人間関係に詳しいとは限らない。他方、地元の情報に詳しい自治会・町内会は、地元の情報に詳しいけれども新規活動への協力に踏み出すことに保守的になりがちである。両者が信頼関係を構築し、互いの強み・弱みを補完しあえるならばコミュニティも明るく活性化するが、そうした関係に至るまでは相互の間に競争意識が働いたり、逆に没交渉になるものである。ピッキオの活動に関しても、地元からの信頼を寄せてもらうまでには相当の時間と労力がかかったという。地元住民としては、恐怖心も強く、すぐにでも駆除してほしいのに町役場が動いてくれないという不満感の方が強かったのであろう。こうした中でピッキオは、パンフレットを作って各家庭に配布し、地元の小学校に出向いて出張講義を行い、地域の公民館で講演会を行ってきた。粘り強い努力の成果は、ここ1~2年でやっと感じることができるようになったという。かつては地元住民に相手にされなかったそうであるが、今ではクマを目撃した住民が、すぐにピッキオに電話連絡をして対応を求めるようになってきたという。

また、一般的な中山間地域と異なり、一大観光地である軽井沢では、一般住民への普及啓発だけではなく観光客や別荘地に関わる業種の経営者の理解も必要であった。別荘開発の不動産会社やホテルやペンションの経営者にとっては、ツキノワグマが出没するということ自体が観光客を遠のかせかねない不安要因である。ピッキオが活動し始めた当初は、クマが出没することを前提とした普及啓発の活動を、経済的な不利益をもたらす阻害要因と見なして民間の経営者が批判してくることもあったという。しかし、ツキノワグマが地域内に存在していることは確かであり、そのこと自体は軽井沢の豊かな自然を象徴している。逆に、万が一にも観光客への人身被害事件が起きてしまっては、一層のマイナスイメージが定着してしまう。こうしたことを説得した結果、民間の経営者たちの態度は変わり始めた。民間企業であるからこそ、リスクに対する判断も明確で、以後の対応は迅速であった。野生動物対策用のゴミ箱の導入を自ら進めてくれるようになり、観光客のためのパンフレットやチラシをフロントに置いてくれるところも出てきたという。

協力関係を維持しなければならない第二の相手は、軽井沢町役場である。

野生動物への対応に関しては、多様な利害と思想が対立しがちなものであり、人々の反応やマスコミの報道のあり方次第で、野生動物は被害者にも加害者にもされる状況となっている。対応策に関しても、人間側の被害があるのだから駆除は当然で数を抑制すべきだという意見と、野生動物は人間の開発行為によって生息域を追われるようになったのだから駆除すべきではないという意見が衝突している。地元住民や農家の利害・心情を重視する考え方と、環境保全を訴える運動論とが両極端に分かれて対立しているのである。

多様な利害と思想が対立している問題は、行政組織としては扱いにくい分野である。そのため、現実に人的被害が出ていたとしても、それが局所的なものである限りは十分な対策を講じないままか、逆に急場しのぎの対応で済ませてしまう。多様な利害と主張に耳を傾け、関係者をねばり強く説得し、普及啓発を行っていく作業には、相当の労力が必要であるが、多様な政策課題を抱えている自治体行政機構では、そのための予算と人員を割く余裕はない。また、抜本的な解決策を講じるためには現況を自然科学の専門的見地から的確に分析する必要があるが、野生動物の目撃が問題になるような地域の自治体では、行政職員の専門知識や情報分析能力も限られている。こうしたエリアにおいてこそ、行政と住民の間を媒介して普及啓発に努力し、また野生動物の生息調査や保護管理に関する専門知識を有するNPO団体が活動する意義がある。

ピッキオが、その専門知識を活かしてクマの調査や追い払い活動を始めたのは1998年からであった。当時の軽井沢町は、クマによるごみ荒らし問題に頭を悩ませていたこともあって、ピッキオが活動データを持って説明に行ったところ、町長も担当者も積極的に交渉に応じてくれたという。その結果、2000年より、軽井沢町の正式な委託を受けて活動ができるようになった。

ただし、ピッキオと軽井沢町役場との連携において、十分に煮詰められていない問題がある。それは、相互の責任問題についてである。自治体行政組織の人事異動が繰り返される中、時には野生動植物について十分な知識と関心を持たぬ担当者が窓口に着くこともある。こうなると、活動に関する判断や責任が、行政からピッキオへの丸投げ状態になってしまう。本来ならば、行政側で、軽井沢町の課題解決のために活動するNPO法人をどのように支援するか議論しなければならぬところであろう。野生動物への対応は、多様な価値観や利害関係が絡むだけではなく、時には人間側の生命の危険を伴うこともある。そのため、軽井沢町とピッキオの間で、どのような協働体制・責任体制をとるべきか、十分な話し合いと了解事項の整理が必要であろう。

ベアドッグの兄妹(ブレット・ルナ)
【ベアドッグの兄妹(ブレット・ルナ)】
ブレットとハンドラーの田中さん
【ブレットとハンドラーの田中さん
(信頼関係が何より大事!)】
【繰り返し人家を襲う習癖を付けてしまったクマ 「シオリ」
【繰り返し人家を襲う習癖を付けてしまった
クマ 「シオリ」 未来への決意を込めて、
剥製にしてビジターセンター内に展示してある】

ところで、ピッキオでは、ツキノワグマへのパトロール・追い払いの強化のために、2004年から二頭のベアドッグ(クマの追い払い犬)を導入することになった。野生動物の保護管理の先進国であるアメリカで育てられたカレリア犬という種で、幼い時から見事に訓練されており、礼儀正しく仕事熱心な賢い犬たちである。

このベアドッグを導入したことのメリットは、とても大きいという。

まず第一に、その嗅覚の鋭さが活動の確度を向上させた。発信器よりも確実に、かつ広範囲でクマが近くにいるかいないかを判断できるため、目撃情報が寄せられた場所に赴いたとき、ピッキオの担当者も近隣住民も余計な不安を感じなくて済むようになったのである。銃を使えない夜間でも、ベアドッグがいれば安心して茂みに入ってパトロールすることもできる。いざというときの吠え声は勇ましく、「弾切れ」の心配もない。さらに、クマの足跡を確実にたどることができるため、どこから入り、どこに抜けて、何をやって帰ったのか全て観察することができるようになった。人里エリアに迷い込んだクマを追い払う作業においても、的確にクマの後を追いかけるため、クマの方が恐れをなして早々に山奥に逃げ帰ろうとするという。この安心感が、クマに怯える人々のピッキオに寄せる信頼を一層高めてくれるようになったという。

第二に、放獣する時のクマへの脅しの効率が上がった。かつては、放獣前にクマを入れた檻を叩くなどして威嚇しても、檻から出た直後に人間がいる方に向かってくる危険性を考慮して、放獣する瞬間は人間は車の中に入っていた。しかし、ベアドッグの動きは人間よりも俊敏であり、吠える声も大きい。犬が吠え立てているとクマは一目散に逃げていくそうで、檻から出た後も人間と犬が直接的にクマを追いかけることができるようになった。これによりクマが感じる恐怖心も強くなり、学習放獣の効果も高くなる。捕獲・放獣の効果が上がれば、駆除を急ぐ声を抑えることもできる。

第三の、そして何よりもの効果があったのが、地元住民とのコミュニケーションの担い手としての役割である。昔ながらの地縁が強い地域だからこそ、なかなか地元住民に信頼されず、その活動内容については認知されがたかったのは上述の通りである。パンフレットを配っても、地元住民と直接会話を通じた普及啓発はなかなか進まなかった。ところが、ベアドッグを連れてパトロールをしていると、何も知らぬ人には犬の散歩をしているように見えるらしい。むしろ住民の方が「犬が可愛い」と近寄ってくるために自然と会話が成立し、様々な活動や対策について普及啓発するチャンスが広がったという。ちなみに、仕事熱心なベアドッグも、普段はフレンドリーな愛らしい犬である。子供とのふれあいの機会やイベントを実施することで、多くの人々がツキノワグマを取り巻く問題に関心を持ってくれるようにもなった。

こうして軽井沢町で次第に定着してきたピッキオの活動であるが、時には苦渋の選択を迫られることもある。

ツキノワグマとの共生といっても、繰り返し人里に戻って被害を及ぼすクマがいるのも事実である。そうしたクマが人家を執拗に襲った場合には、捕獲した後に断腸の思いで薬殺を行わざるをえない。人間の生活スタイルがツキノワグマを人里におびき寄せてしまったこと、そして自分たちの活動ではそうしたクマを十分に追い払うことができなかったことを、心の底から悔しいと思いながら処分する。そんな日の夜は、みんな自宅に帰って密かに涙を流すという。そうした彼らの悔しい思いも知らずに、匿名でいきなり電話をかけてきて、動物保護の思想に欠けている、身勝手で傲慢な行為だと非難の言葉を寄せる人たちもいるという。そうした非難の言葉が、ツキノワグマと人間の共生に向けて懸命に努力しているスタッフの心をどれほど傷つけることか。それでも彼らは、自分たちが有する専門知識とデータを根拠に、地元住民、地元猟友会、環境保全を訴える人々からの期待と批判と軋轢の中で、精一杯クマの保護管理・調査活動に努め、ゴミ出しのマナーや管理方法について地元住民に普及啓発を進めている。 

ピッキオが軽井沢町において目指すのは「地元住民が自然環境の豊かさを誇りに思えるまちづくり」に寄与していくことである。自然環境に溢れている地域の住民にとっては、それが当たり前のことになっており、とりたてて自然環境の豊かさ・貴重さを高く評価しているとは限らない。しかも、別荘客・観光客に経済的に依存している軽井沢町では、地元住民が率先して地域の諸課題の解決に向けて話し合っているということはあまり聞かない。実際のところ、軽井沢で市民運動や環境保全運動をしているのは、古くからこの地域に住む住民よりも、都会生活を忌避して移住してきた新住民や別荘を持つ人々であったりする。

自然環境の保全を目指す動きは、今や時代の流れである。それが希少な野生動植物が生息する地域ならば、なおさら里山保全の圧力は強くなっていくであろう。しかし、軽井沢町が野生動物と共存できるまちづくりを目指すのであれば、地元に生活の根拠を持たない人々が発言するだけでは、地に足に着いたまちづくりはできない。地元住民を幅広く巻き込んで、多様な立場の人々が地域生活に関わる情報や意見を交換しあう場が必要になってくる。季節ごと、動物種ごとの生息状況・被害状況を分析し、町内各地の生活スタイルや地理特性を踏まえた上で、どのような対応策が有効であるか、どのような対応策ならば合意を得られるか、議論していかねばならない。一つ一つ腑分けしていかなければ、駆除を主張する人と、環境保全の思想を主張する人との間で、溝は深まるばかりである。

そうした議論を活性化させるのは決して簡単なことではあるまい。けれども、まちづくりに関する議論が浸透するならば、軽井沢町は観光地・避暑地としてだけではなく、地元に愛着を持つ住民による元気なまちづくりの一つの雛型としての役割を果たすようになるであろう。ピッキオが目指しているのは、まさにそれである。人と動物の生活エリアが重なっている地域の特徴を十分に認識した上で、元気なまちづくり活動が結実していくことを期待している。

【ピッキオのスタッフの皆さん】
【ピッキオのスタッフの皆さん】
【ピッキオのスタッフの皆さん】

最後になったが、今年(2006年)の10月初旬に、軽井沢町ではピッキオの全面協力のもと「国際クマ会議(International Conference on Bear Research and Management)」が開催される。この会議は、クマに関わる世界中の研究者や市民団体が集う大規模な集会である。野生動物の保護管理の先進国として位置づけられている北米を中心に、既に16回の会議が開催されてきたという。しかし、北米のように森林と市街地が明瞭に分かれている国の野生動物対策とは異なり、日本では、山林と人家が混在する狭い国土ならではの課題がある。これまで野生動物保護管理の後進国と批判されがちな日本であったが、固有の地理的条件に応じたピッキオのきめ細やかな活動が世界的にも注目されることとなった。その結果、日本で初めて軽井沢町において会議が開催されることになったのである。こうした名誉ある地位に軽井沢町が立つことで、「地元住民が自然環境の豊かさを誇りに思えるまちづくり」を一層推進していきたいと関係者は期待を寄せている。この会議には誰もが参加することができるそうで、野生動物によって被害を受けている人も、環境保全を訴える人も、是非ともこの機会に話し合いに参加してみてはいかがであろうか。


  • 連絡先 NPO法人ピッキオ 〒389-0194 長野県北佐久郡軽井沢町長倉2148

成城大学法学部助教授  打越綾子
打越綾子

成城大学法学部助教授  打越綾子

専門分野:
行政学 地方自治論
略歴:
1994年 東京大学法学部卒業
2001年 東京大学大学院法学政治学研究科博士学位取得

主な著書・論文 『自治体における企画と調整』日本評論社

大学院時代に、川崎市総合企画局専門調査員として、行政組織内部の実態を観察する機会に恵まれた。新たな社会問題が発生した場合に、行政機構がどのような反応を見せるのか、内部のメカニズムに注目しながら分析を試みている。

また、最近では、動物の福祉に関心を持ち、ペットをめぐる諸課題や野生動物・畜産動物・実験動物の取扱について、行政学の見地から研究を進めている。

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