ESRI通信 第5号

平成21年 1月21日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

皆様あけましておめでとうございます。本年も経済社会総合研究所をよろしくお願いいたします。

昨年、特に後半は米国のサブプライム問題に端を発した金融・経済危機が世界に広がる中でその対応に世界のほとんどすべての国が必死でした。こうした対応は今後もしばらく続くことが見込まれます。

その震源地である米国では、大統領が初めてアフリカ系から選出され、さまざまな面で"change"が起こることが期待されています。そうした問題の一つに気候変動の問題があります。

これまで気候変動に対しては、やや単純な色分けをしてしまえば、欧州がキャップ・アンド・トレードのように価格メカニズムを活用して温暖化ガス排出抑制に「攻め」の姿勢で来たのに対して、米国は、主要排出国すべてが参加しない枠組みには反対であるということで「守り」に回っていました。さらに中国やインドなど、発展途上国は発展への影響から慎重な態度を崩しませんでした。

気候変動は長期の問題であるだけに、まずは自然科学的知見が重要ですが、実際に排出量を減らそうとする場合には経済的にも大きな影響が見込まれますので経済学的な分析も必要になります。価格メカニズムを活用しようとすれば、排出権の価格だけでなく、資本や労働、エネルギーといった生産要素の価格がどのような影響を受けるか、そしてそれが生産にどのように反映されるかをグローバルに見る必要があります。さらに、産業別にどのように影響の出方が違うかを示さないと対応策も考えられません。

当研究所では、こうした観点から気候変動問題の研究を進めています。昨年度は世界から研究者を招聘して、研究成果の公開のためのフォーラムも開催しました。

本年末にはコペンハーゲンでCOP15(気候変動枠組条約第15回締約国会議)が開催され、京都議定書以降の排出量削減の枠組みについて交渉が行われます。日本が提唱しているセクター別アプローチなども含めて、交渉における議論をバックアップできるような研究を引き続き実施しています。

平成21年1月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総括政策研究官 杉田 伸樹

【最新の研究発表】

  • 「世帯構造の変化が私的介護に及ぼす影響等に関する研究報告書」の概要(平成20年12月)

    介護を受ける側ができれば家族による介護を希望していること、介護サービスの供給面でも介護を担う人材の不足、財政的制約等の制約にいずれ直面すると予想されることを踏まえると、今後介護保険サービスの利用がさらに高まったとしても、家族による在宅介護に対するニーズがなくなるとは考えられない。このため、増大する介護ニーズを、公的な介護サービスと家族による家族介護とでどのように担っていくかについては、今後公的な介護サービスのあり方にも大きく影響する重要な論点であると考えられる。

    本研究は、家族介護に焦点を当て、その需給に大きく影響する要因を探ることを目的に実施した。具体的には、高齢者を対象としたアンケート調査の個票を用いて、1)世代間の同居、別居の選択に影響する要因、2)介護形態(家族、訪問、施設)の選択に影響する要因、3)高齢者が誰に介護をしてもらいたいと考えているかという介護需要、4)子ども世代による介護供給の決定要因について分析した。また、家族による介護が一般的と考えられるアジア諸国のうち、韓国について同様の分析を行い、その結果を比較検討した。

    なお、本研究は国立大学法人京都大学への委託研究として実施したものである。

  • 環境管理において、開発途上国は「後発性利益」を享受しているのか、「後発性不利益」を被っているのか?-二酸化硫黄と二酸化炭素のケース分析-(田口 博之、室伏 陽貴)(平成20年12月)(本文は英語)

    本研究では、環境管理において、開発途上国は「後発性利益」を享受しているのか、それとも「後発性不利益」を被っているのか、代表的な環境指標である二酸化硫黄と二酸化炭素においてパネルデータ分析を行った。

    一人当たりの所得、排出量の関係を見ると、二酸化硫黄については環境クズネッツ曲線の特徴である逆U字型となるが、二酸化炭素については単調増加の形となった。また、二酸化硫黄では後発性利益が存在し、二酸化炭素では後発性不利益が発生するという結果が導き出された。二酸化硫黄と二酸化炭素の対照的な結果は、両者の発生源の違い(二酸化硫黄は主に生産過程で発生するため規制しやすい、二酸化炭素は生産と消費の両面から発生するので規制しにくい)、また抑制技術の成熟度の差(二酸化硫黄は脱硫装置などの抑制技術等が発達しているため後発性利益が発生するが、二酸化炭素は抑制技術等が未発達のため”carbon leakage”が発生)によるものと考えられる。


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<開催案内>

  • 「M&Aシンポジウム」 M&A研究会(平成21年2月25日開催)

【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>11月速報(平成21年1月9日)

  • 11 月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:81.5、一致指数:94.9、遅行指数:97.6 となった。
    先行指数は、前月と比較して3.7 ポイント下降した。3 ヶ月後方移動平均は2.50 ポイント下降し、5 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は1.56 ポイント下降し、27 ヶ月連続の下降となった。
    一致指数は、、前月と比較して2.8 ポイント下降した。3 ヶ月後方移動平均は1.76 ポイント下降し、4 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は1.01 ポイント下降し、9 ヶ月連続の下降となった。
    遅行指数は、、前月と比較して0.6 ポイント下降した。3 ヶ月後方移動平均は0.60 ポイント下降し、8 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は0.80 ポイント下降し、8 ヶ月連続の下降となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、悪化を示している。

11月改訂(平成21年1月21日)

  • 11 月のCI(改訂値・平成17 年=100)は、先行指数:81.3、一致指数:94.9、遅行指数:97.2 となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、悪化を示している。

<機械受注統計調査報告>11月実績(平成21年1月15日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、20年10月前月比14.4%減の後、11月は同13.8%減の1兆7,461億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、20年10月前月比4.4%減の後、11月は同16.2%減の7,542億円となった。このうち、製造業は同33.2%減の2,834億円、非製造業(除く船舶・電力)は同0.5%増の4,852億円となった。

<消費動向調査>12月調査(平成21年1月20日)

  • 平成20年12月の一般世帯の消費者態度指数(原数値)は、11月の28.4から2.2ポイント低下し26.2となった。
  • また、消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について、一年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は、前月差8.8ポイント減少し、68.4%となった。

<法人企業景気予測調査>10~12月期調査(平成20年12月24日)

  • 20年10~12月期の「貴社の景況判断」BSIを全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「下降」超となっている。
    先行きを全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「下降」超で推移する見通しとなっている。
  • 20年10~12月期の「国内の景況判断」BSIを全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「下降」超となっている。
    先行きを全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「下降」超で推移する見通しとなっている。

【参考】<月例経済報告>1月(平成21年1月20日)

  • 景気は、急速に悪化している。
    • 輸出、生産は、極めて大幅に減少している。
    • 企業収益は、大幅に減少している。設備投資は、減少している。
    • 雇用情勢は、急速に悪化しつつある。
    • 個人消費は、このところ弱含んでいる。
  • 先行きについては、当面、悪化が続くとみられ、急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念される。加えて、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の大幅な変動の影響など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
1月9日
(11月分)
1月21日
(11月分)
1月15日
(11月分)
1月20日
(12月分)
2月6日
(12月分)
2月18日
(12月分)
2月9日
(12月分)
2月10日
(1月分)
3月10日
(1月分)
3月18日
(1月分)
3月11日
(1月分)
3月13日
(2月分)
3月23日
(1~3月期)

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