ESRI通信 第6号

平成21年 2月12日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

当研究所での業務とともに、少子化対策、ワーク・ライフ・バランス対策にも関わっている立場から少し・・。ケインズは遙か80年前の講演で、未来の労働時間について、技術進歩、生産性の向上により我々は週5時間働けばよいようになるだろうと予言しています。しかし、この予言は見事に外れてしまいました。現在、日本の男性子育て世代(30代後半)のうち週60時間以上勤務者は約4分の1、それも10年前に比べ5ポイント上昇しています。こうした長時間労働者の増加傾向は最近、先進国共通の現象になっています。

このような長時間労働を含めた「働き方」の問題が、家庭生活との両立を阻害し、少子化の大きな要因となっているのではないか、今後の経済社会のサスティナビリティーのためにもワーク・ライフ・バランスを進めるべき、という危機意識から平成19年末、「ワーク・ライフ・バランス憲章」が制定され、政労使がスクラムを組んで進めていくことが合意されました。

ただ、ワーク・ライフ・バランスは、企業のパフォーマンスを損なわない形で進められねばなりません。そこで我々はワーク・ライフ・バランスを進めつつ企業業績や時間当たり生産性を上げている企業は、同時にどのような取組みをしているのか、例えば、仕事の進め方、人事評価制度、管理職の権限、ITなどさまざまな要素についてどんな特徴があるのか、検証する作業を現在展開中です。今後、成果をまとめ、企業や研究者の方々の参考に供したいと考えています。

また、この調査研究の中では、特に大陸ヨーロッパ諸国において、あの少ない労働時間と長い休暇の下で、なぜ、パフォーマンスを維持できているのだろうか、という問題意識から、海外進出している日系企業に対して、「日本と現地の働き方の違いは何か」をヒヤリングしており、管理職の職務権限の大きさ、分業かチームか、関係部署との調整の程度、目標管理や評価の仕方の違いなど、いくつかの興味深い視点が提供されています。この成果についても、今後、皆様の参考に供したいと考えています。

平成21年2月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総括政策研究官 山田 亮

【最新の研究発表】

  • 「経済分析第181号(ジャーナル版)」(平成21年1月)
    (論文)
    出生意図と出生行動(松浦 司)
    総合職女性の管理職希望に関する実証分析 ─均等法以後入社の総合職に着目して─(安田 宏樹)
    家計貯蓄・企業貯蓄・政府貯蓄:代替性の日米比較(松林 洋一)
    年金債務からみた2004年年金改革の評価(川瀬 晃弘、木村 真)
    都市別データによる外国人労働者の一考察 —地域的な分布状況及び地域経済に与える影響—(河越 正明、星野 歩)
    (資料)
    短期日本経済マクロ計量モデル(2008年版)の構造と乗数分析(内閣府経済社会総合研究所・計量モデルユニット)
    DYNAREによる動学的確率的一般均衡シミュレーション ~新ケインズ派マクロ経済モデルへの応用~(矢野 浩一)
  • 流動性の罠の下での動学的確率的一般均衡モデルと自己組織化状態空間モデリング(矢野 浩一)(平成21年1月)(本文は英語)

    本論文では流動性の罠の下での動学的確率的一般均衡モデル(Dynamic Stochastic General Equilibrium Model, 以下DSGE)のパラメーター推定手法を提案する。本論文の手法はKitagawa (1996)ならびにGordon et al. (1993)で提案されたモンテカルロ粒子フィルターとKitagawa (1998)で提案された自己組織化状態空間モデルに基づくものであり、Yano (2009)で提案された手法の拡張である。本論文の手法はDSGEのパラメーターを時変係数アプローチで推定するものであり、そのアプローチは不変パラメーターを推定する際に実用的にしばしば用いられるものである。本論文の手法ではベイズ統計学に基づく非線形・非ガウス・非定常状態空間モデルを用いて未知のパラメーターと状態を同時に求める。従来のDSGEのパラメーター推定では、その「構造パラメーター」は不変(Deep)であると仮定されることが多いが、「構造パラメーターがどの程度安定的であるか」を検証することが本論文の第一目的である。第二目的は非線形・非ガウス・非定常状態空間モデルの採用により流動性の罠の下でのDSGEを推定することにある。推定したモデルの当てはまりのよさは対数尤度によって評価できるため、複数のDSGEモデルの当てはまりのよさの評価も可能である。さらに本論文の手法では、DSGEモデルのパラメーターと状態の推定だけではなく、マクロ経済データのトレンドも同時に推定する。そのため、この手法は従来よく用いられてきたHodrick-Prescottフィルター、Baxter-Kingフィルター、 Christiano-Fitzgeraldフィルターなどのトレンド除去(detrend)手法を置き換えるものである。実証分析として1981年第1 四半期から2007年第4四半期までのマクロ経済データ(ゼロ金利政策時代、量的緩和政策時代を含む)を用いて流動性の罠の下での新ケインズ派DSGEモデルを推定した。実証の結果、日本の潜在成長率は1990年代に低下した後、2000年代半ばに2%程度まで回復したこと、さらにインフレ率の目標値が低いため、日本経済にデフレを引き起こしていることが分かった。


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<開催案内>

<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

  • 四半期別民間企業資本ストック速報(平成20年7~9月期)(平成21年1月26日)
    • 1.有形固定資産 全産業(進捗ベース)
      • 20年9月末のストックは1,206.7兆円、前年同期比2.3%増となり、前期の伸び(2.5%増)を下回った。
      • 20年7~9月の新設投資額は20.3兆円、同3.1%減となり、10期ぶりにマイナスに転じた。
    • 2.無形固定資産 全産業(取付ベース)
      • 20年9月末のストックは35.9兆円、前年同期比2.0%増となり、前期の伸び(2.1%増)を下回った。
      • 20年7~9月の新設投資額は1.9兆円、同0.5%増となった(前期 6.5%増)。
  • 平成20年7–9月期「民間企業資本ストック速報」における除却額の推計方法の変更について(平成21年1月26日)

<景気動向指数>12月速報(平成21年2月6日)

  • 12 月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:79.8、一致指数:92.3、遅行指数:93.7 となった。
    先行指数は、前月と比較して2.0 ポイント下降した。3 ヶ月後方移動平均は3.23 ポイント下降し、18 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は1.86 ポイント下降し、30 ヶ月連続の下降となった。
    一致指数は、前月と比較して2.6 ポイント下降した。3 ヶ月後方移動平均は2.60 ポイント下降し、5 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は1.63 ポイント下降し、10 ヶ月連続の下降となった。
    遅行指数は、前月と比較して3.5 ポイント下降した。3 ヶ月後方移動平均は1.40 ポイント下降し、9 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は1.22 ポイント下降し、9 ヶ月連続の下降となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、悪化を示している。

<景気動向指数研究会>1月29日開催(平成21年1月29日)

<機械受注統計調査報告>12月実績および21年1~3月見通し(平成21年2月9日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、20年11月前月比13.8%減の後、12月は同10.4%増の1兆9,280億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、20年11月前月比16.2%減の後、12月は同1.7%減の7,416億円となった。このうち、製造業は同7.0%増の3,033億円、非製造業(除く船舶・電力)は同8.3%減の4,451億円となった。
  • 10~12月をみると、受注総額は前期比21.7%減の5兆6,998億円となった。「船舶・電力を除く民需」は同16.7%減の2兆3,956億円、製造業は同21.5%減の1兆111億円、非製造業(除船舶・電力)は同10.8%減の1兆4,133億円となった。
  • 1~3月見通しをみると、受注総額は前期比3.5%増の5兆8,976億円の見通しになっている。「船舶・電力を除く民需」は同4.1%増の2兆4,928億円、製造業は同6.8%減の9,423億円、非製造業(除船舶・電力)は同11.8%増の1兆5,803億円の見通しになっている。
  • 平成20年実績をみると、受注総額は前年比5.7%減の29兆1,202億円になっている。「船舶・電力を除く民需」は同6.0%減の11兆6,022億円、製造業は同9.7%減の5兆1,388億円、非製造業(除船舶・電力)は同2.5%減の6兆5,265億円になっている。

<消費動向調査>1月調査(平成21年2月10日)

  • 平成21年1月の一般世帯の消費者態度指数(原数値)は、12月の26.2から0.2ポイント上昇し26.4となった。
  • また、消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について、一年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合が減少する一方で、「低下する」と思うとの回答割合は増加し13.8%となった。

【参考】<月例経済報告>1月(平成21年1月20日)

  • 景気は、急速に悪化している。
    • 輸出、生産は、極めて大幅に減少している。
    • 企業収益は、大幅に減少している。設備投資は、減少している。
    • 雇用情勢は、急速に悪化しつつある。
    • 個人消費は、このところ弱含んでいる。
  • 先行きについては、当面、悪化が続くとみられ、急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念される。加えて、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の大幅な変動の影響など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
2月6日
(12月分)
2月18日
(12月分)
2月9日
(12月分)
2月10日
(1月分)
3月10日
(1月分)
3月18日
(1月分)
3月11日
(1月分)
3月13日
(2月分)
3月23日
(1~3月期)

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