ESRI通信 第9号

平成21年 5月19日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【「研究所」&「研究」雑感】

私が研究所に来て、約1年弱が経ちました。約27年間の役所の勤務で内閣府の研究所は初めての経験でした。この1年弱の間、研究とは何か、研究所とは何か、その役割は、といろいろな場で問われる場面があり、法律上の所掌を型どおり答えてきましたが、本当のところまだよくわかっていないのが実感です。

例えば、政策部局の中に調査の機能をもつ部局があります。内閣府でいえば、月例経済報告や経済財政白書などを担当する分析部局です。政策判断のための実態分析が必要であれば、その調査部局さえあれば機能を果たせるわけで、そこに重ねて研究部局がある必要性が問われます。まずは、その調査・分析のバックグラウンドとなる分析ツール(例えば計量経済モデル)を開発したり、理論を探求したりするのが「研究」ということでしょうか。研究のスタイルとしても、先行研究をしっかりした上で、独自の貢献を作り上げるもので、腰を据えて時間をかけて組織的に行うということでしょうか。

となると、なぜそれを政府の中でやる必要があるのか、大学や民間のシンクタンクにまかせればいいでしょう・・・とまた切り返されます。特定の学派やビジネス的制約(売れること)にとらわれず、公正・中立な立場で、地味であっても政策に役立つ研究ができるということでしょうか。

1年間での私の見解はこんなところですが、肌感覚としては、こうなったらいいなという研究所の雰囲気や、大事にしていきたいものを時々考えるようになりました。今は、政策部局を中心に、仕事にスピードが求められ、時間に追いまくられ、また各方面との調整がとても大変で、じっくり深く自分の頭でものを考えるゆとりが少なくなってきたように思います。それは、役所に限られたことではないかもしれません。そんな中で、研究所も説明責任を求められ、研究自体が役に立つことを証明せずして生き延びることは難しいかもしれません。とはいっても、そこは研究所。腰を据えて時間をかけて、いい研究をすることとともに、若手職員にとっては、十分力を貯めて、いつ政策部局に戻っても、いろんな知恵が出るように訓練する貴重な場でもあります。

「研究」というもののおもしろさは、はかりしれません。自由でとらわれない着想、知りたいと思う抑えられない衝動、臨場感ある議論、異質なものに出会ったときの驚きやひらめき、計算結果が最初に出たときの緊張、解釈できない結果が出たときの知的な混乱、それでも何とか論文を完成させた時の爽快感、その成果が厳しい査読を経て掲載・印刷されたときの喜び、さらにそれが引用されたときの満足、そして研究所を去ってもまたいつかやってみようという、またいつまでも続けられるというライフワーク的な息の長さ・・・などなど。そんな、他では味わえない「研究」というものを、思う存分できる雰囲気や環境づくりを大事にしていきたいと思っています。

平成21年5月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総務部長 田口 博之

【最新の研究発表】

  • 社会起業家と社会イノベーション ―議論の国際的系譜と日本の課題―(渡辺孝、露木真也子)(平成21年5月)

    本研究は、国際的に脚光を浴び始め、日本でも最近話題となり始めている「社会起業家」「社会イノベーション」について、最近までの国際的活動動向および学術的動向をまとめるとともに、日本の事例研究を通して、日本の課題と政策的含意を取りまとめたものである。日本の事例研究では、動機と機会に注目し、それぞれの違いによって支援政策も異なってくることを示した。

<報告書の掲載>


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<開催案内>

  • 「ワーク・ライフ・バランスと生産性」参加者募集 第40回 ESRI–経済政策フォーラム (平成21年6月15日開催)

<議事次第(配付資料)の掲載>


【経済研修所からのお知らせ】

<募集案内>

  • 平成21年度「若手政策研究者育成プログラム(Y.P.P.)政策研究研修員」募集 [平成21年5月29日(金)締切]

【最新の統計】

<SNA統計>

  • 四半期別民間企業資本ストック速報(平成20年10–12月期)(平成21年4月23日)
    • 1.有形固定資産 全産業(進捗ベース)
      • 20年12月末のストックは1,208.5兆円、前年同期比1.7%増となり、前期の伸び(2.3%増)を下回った。
      • 20年10~12月の新設投資額は17.2兆円、同11.5%減となり、2期連続のマイナスとなった。
    • 2.無形固定資産 全産業(取付ベース)
      • 20年12月末のストックは36.1兆円、前年同期比1.7%増となり、前期の伸び(2.0%増)を下回った。
      • 20年10~12月の新設投資額は1.6兆円、前年同期比1.9%減となった(前期 0.7%増)。

<景気動向指数>3月速報(平成21年5月12日)

  • 3 月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:76.6、一致指数:84.9、遅行指数:88.7となった。
    先行指数は、前月と比較して2.1 ポイント上昇した。3 ヶ月後方移動平均は0.63 ポイント下降し、21 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は1.69 ポイント下降し、33 ヶ月連続の下降となった。
    一致指数は、前月と比較して0.3 ポイント下降した。3 ヶ月後方移動平均は1.90 ポイント下降し、13 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は2.03 ポイント下降し、13 ヶ月連続の下降となった。
    遅行指数は、前月と比較して1.6 ポイント下降した。3 ヶ月後方移動平均は1.10 ポイント下降し、15 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は1.30 ポイント下降し、23 ヶ月連続の下降となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、悪化を示している。

<機械受注統計調査報告>3月実績および4~6月見通し(平成21年5月15日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、21年2月前月比8.1%減の後、3月は同13.2%増の1兆7,010億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、21年2月前月比0.6%増の後、3月は同1.3%減の7,279億円となった。このうち、製造業は同21.8%増の2,567億円、非製造業(除く船舶・電力)は同3.1%減の4,965億円となった。
  • 1~3月をみると、受注総額は前期比16.1%減の4兆8,391億円となった。「船舶・電力を除く民需」は同9.9%減の2兆1,984億円、製造業は同31.1%減の6,851億円、非製造業(除船舶・電力)は同4.9%増の1兆5,088億円となった。
  • 4~6月見通しをみると、受注総額は前期比9.0%減の4兆4,056億円の見通しになっている。「船舶・電力を除く民需」は同5.0%減の2兆884億円、製造業は同5.1%増の7,200億円、非製造業(除船舶・電力)は同7.5%減の1兆3,950億円の見通しになっている。
  • 平成20年度実績をみると、受注総額は前年度比18.6%減の25兆6,137億円になっている。「船舶・電力を除く民需」は同14.1%減の10兆6,168億円、製造業は同22.4%減の4兆3,951億円、非製造業(除船舶・電力)は同6.8%減の6兆2,847億円になっている。

<消費動向調査>4月調査(平成21年5月18日)

  • 平成21年4月の一般世帯の消費者態度指数(原数値)は、3月の28.9から3.5ポイント上昇し32.4となった。
  • また、消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について、1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合が前月に比べ減少し44.0%となった一方で、「低下する」と思うとの回答割合は増加し21.5%となった。「変わらない」と思うとの回答割合も増加し24.4%となった。

<企業行動に関するアンケート調査>平成20年度(平成21年4月22日)

  • 予想実質経済成長率は、21年度1.5%、今後3年間(21~23年度)0.2%、今後5年間(21~25年度)1.0%となり、次年度(21年度)、今後3年間については昭和60年度調査以降最低水準、今後5年間についても過去最低水準となった14年度調査と同水準となった。
  • 予想名目経済成長率は、21年度は1.5%、今後3年間では0.0%、今後5年間では0.8%となり、いずれも15年度調査以降最低水準となった。
  • 1年後の予想円レートは97.0円/ドルと調査直前月(21年1月90.4円/ドル)に比べ円安を予想しているが、昭和61年度調査開始以来初めて100.0円/ドルを割る円高予想となった。
  • 輸出企業の採算円レートは、97.3円/ドルと前年度調査(104.7円/ドル)から円高へ移行、調査直前月の円レートに比べると、前年とは逆に円安方向へ乖離している。また、直近月(21年3月97.9円/ドル)とほぼ同水準である。
  • 今後3年間の設備投資の見通しは1.2%となり、昭和62年度調査開始以来初めてマイナスの見通しとなった。

【参考】<月例経済報告>4月(平成21年4月17日)

  • 景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。
    • 輸出は、大幅に減少している。生産は、極めて大幅に減少している。
    • 企業収益は、極めて大幅に減少している。設備投資は、減少している。
    • 雇用情勢は、急速に悪化しつつある。
    • 個人消費は、緩やかに減少している。
  • 先行きについては、当面、悪化が続くとみられるものの、在庫調整が進展するにつれ、悪化のテンポが緩やかになっていくことが期待される。ただし、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用の大幅な調整が引き続き懸念される。加えて、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
6月9日
(4月分)
6月23日
(4月分)
6月10日
(4月分)
6月12日
(5月分)
6月22日
(4~6月期)
7月6日
(5月分)
7月17日
(5月分)
7月8日
(5月分)
7月13日
(6月分)

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