ESRI通信 第16号

平成21年12月14日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【政策研究について思うこと】

本年7月から経済社会総合研究所に勤務していますが、いわゆる政策研究機関に勤務するのはこれが2回目になります。その度に思うことは、「政策研究機関」の機能、役割はどういうものなのか、どうあるべきなのかということですが、あえてひと言で言ってしまえば、「政策部局における政策判断や政策の企画立案に資する調査研究を行うこと」ということでしょうか。

そうした観点から、それに相応しい研究成果ではないかと私が感じた実証研究の一つの例についてご紹介したいと思います。

それは、企業が個人請負労働者を活用する動機について分析した研究です。

まず、先行研究の成果を踏まえて、仮説として、いちコストの削減、に生産変動への対応、さん外部の専門的人材の活用、という3つの動機を挙げます。企業に対するアンケート調査の結果(複数回答)だけを見ると、「外部人材の活用」が81.5%と最も多く、次いで、「生産変動への対応」が58.3%、「コスト削減」が43.5%となっており、この結果だけを見れば、情報化の進展等を背景として専門性の高い個人請負労働者が増加しているのではないかと思われます。

ところが、企業アンケート調査のデータを使い、理論モデルから導出された推定モデルを使って計量分析を行ったところ、「コストの削減」動機と「生産変動への対応」動機はおおむね支持されたものの、最も有力だった「外部人材の活用」動機については統計的に有意な結果が得られず、必ずしも支持されないということが明らかになりました。もし「コストの削減」動機が大きな要因だとするならば、個人請負労働者の増加も、企業のコスト削減のための正規から非正規への流れという大きな構造変化の中の動きの一つということになり、政策対応としては全く違った対応が必要になってきます。

私は、近年、行政の現場がますます多忙になっていて、政策部局における調査研究、分析能力が以前に比べてかなり弱くなってきているのではないかと感じています。そういう意味で、今回ご紹介した例のように、政策部局が抱えるその時々の政策課題に対応した研究成果をタイムリーに提供するなど政策研究機関の果たす役割はますます大きくなっていると感じています。

また、学術的に高度な分析、最新の理論を用いた分析というのも勿論重要だと思いますが、いかんせん政策部局の職員は極めて多忙です。そうした多忙な皆さんに、きちんと読んで理解してもらえるようなわかりやすい内容の研究成果を出していくことが重要なのではないかと思います。

平成21年12月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総括政策研究官 姉崎 猛

【最新の研究発表】

  • 非専門家の予測は専門家の予測とどう違うか?(飯塚 信夫、河越 正明)(平成21年11月)

    予測を専門としないエコノミストに対し、2007年10–12月期、2008年1–3月期、2008年度の実質GDP成長率、CPI上昇率について、ESPフォーキャスト調査と同時期に予測値を尋ね、双方の結果を比較した。極めて短期の予測や統計の癖のような特殊要因の把握では専門家の方が優れているが、年度予測値といった大きな不確実性がある場合にはむしろ非専門家の方が優れていた。非専門家は足元の延長として予測する傾向があるものの、使用する情報集合の異質性のためか、予測のバラツキが大きい。こうした結果は、実質GDPのように不確実性の大きな変数や期間の長い予測については、非予測専門家がもつ異質な情報を活用することにより、専門家の予測から作成されるコンセンサス予測の精度が向上する可能性を示唆するものと考えられる。

<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>10月速報(平成21年12月8日)

  • 10 月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:89.7、一致指数:94.3、遅行指数:84.8 となった。
    先行指数は、前月と比較して2.2 ポイント上昇した。3 ヶ月後方移動平均は2.27 ポイント上昇し、7 ヶ月連続の上昇、7 ヶ月後方移動平均は2.03 ポイント上昇し、4 ヶ月連続の上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して1.1 ポイント上昇した。3 ヶ月後方移動平均は1.43 ポイント上昇し、6 ヶ月連続の上昇、7 ヶ月後方移動平均は1.36 ポイント上昇し、3 ヶ月連続の上昇となった。
    遅行指数は、前月と比較して1.7 ポイント上昇した。3 ヶ月後方移動平均は0.77 ポイント上昇し、22 ヶ月振りの上昇、7 ヶ月後方移動平均は0.43 ポイント下降し、30 ヶ月連続の下降となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>10月実績(平成21年12月10日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、21年9月前月比6.0%増の後、10月は同3.2%増の1兆7,786億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、21年9月前月比10.5%増の後、10月は同4.5%減の7,045億円となった。このうち、製造業は同25.4%増の2,939億円、非製造業(除く船舶・電力)は同17.3%減の4,260億円となった。

<消費動向調査>11月調査(平成21年12月11日)

  • 平成21年11月の一般世帯の消費者態度指数(原数値)は、10月の40.5から1.0ポイント低下し39.5となった。
  • また、消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「低下する」と思うとの回答割合が前月に比べ増加し20.4%となり、「変わらない」と思うとの回答割合も増加し33.3%となった。一方、「上昇する」と思うとの回答割合は減少し37.7%となった。

【参考】<月例経済報告>11月(平成21年11月20日)

  • 景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
    • 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。生産は、持ち直している。
    • 企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。設備投資は、下げ止まりつつある。
    • 企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業ではそのテンポは遅い。
    • 雇用情勢は、依然として厳しい。
    • 個人消費は、持ち直しの動きが続いている。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
12月8日
(10月分)
12月17日
(10月分)
12月10日
(10月分)
12月11日
(11月分)
12月24日
(10~12月期)
1月8日
(11月分)
1月21日
(11月分)
1月14日
(11月分)
1月19日
(12月分)
2月5日
(12月分)
2月18日
(12月分)
2月10日
(12月分)
2月12日
(1月分)

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