ESRI通信 第19号

平成22年 3月16日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【研究所からの情報発信】

情報研究交流部は経済社会総合研究所(Economic and Social Research Institute:以下ESRIという)の情報発信を担当しています。ご覧いただいているホームページが基本的なツールですが、「経済分析」等による各種研究の成果や、GDP統計をはじめとする国民経済計算(SNA)、景気動向指数(CI)などの統計情報を公表しています。

内外の一流の研究者との交流は、国際フォーラム・国際シンポジウム等の場で行っていますが、より広く一般向けの議論の場として、ESRI経済政策フォーラムがあります。平成13年より開催しているパネルディスカッション形式の討論会で、既に42回の開催実績があります。同フォーラムは、政策の選択肢で論点が分かれるものをはじめ、時々の経済政策上の重要な問題をテーマに選び、有識者が経済学的な知識を活用して、公開の場で、意見交換を行うもので、いち論点を明確化し、に政策形成に資するとともに、広範な議論を喚起することを目指しています。フォーラムは公開とし、当ホームページで聴衆の一般公募も行っています。

今年の1月末に開催した第41回フォーラムでは、「雇用危機下の出口戦略–景気回復はいつ?出口はどのように?–」と題して、景気回復の見通し、財政再建のタイミング、今後の成長戦略等について活発な議論が行われました。内閣府の経済財政政策担当の津村啓介大臣政務官が、開会挨拶だけでなく、第一線のエコノミストとともにパネリストとして参加するというユニークな形で討論が進み、現在の経済政策の課題について、比較的わかりやすく紹介できたのではないかと自負しています。

3月の初めに開催した第42回フォーラムでは、「地域活性化のための人財育成–産官学連携の観点からv」と題して、金融危機の影響が色濃く残る地域においてどのように就業機会を確保していくか、地域活性化を進める人財育成のあり方等について、地域活性学会の先生方の参加を得て議論していただきました。徒弟制度により優秀な職人を育成して注目を集めている木工会社の社長さんの基調講演は、参加された多くの聴衆の共感を呼んでいました。

経済統計の公表日に、内閣府及びESRIのホームページを訪問してくださる方が多いと存じますが、経済政策フォーラム等の開催案内を随時トップページに掲載していますので、こちらもご覧の上、参加していただければ幸いです。また、ESRIのホームページに関するご意見・ご要望もお寄せください。

平成22年3月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    情報研究交流部長 勝見 博

【最新の研究発表】

  • 環境政策は技術進歩にどう影響するのか?-気候・経済モデルによる技術進歩の方向性と速度の分析(カルロ・カラーロ、エマニュエル・マセッティ、リー・ニキタ)(平成22年2月)(本文は英語)

    この論文は、温暖化ガスの安定化を目標とする環境政策が、技術進歩にどのような影響をどの程度与えるかを分析したものである。分析は、拡大版WITCH「世界経済の動学的統合地域モデル」を用いて行われた。このモデルでは、元々のWITCHモデルに含まれるエネルギー研究開発に加えて、非エネルギー研究開発が内生化され、その強化が資本・労働の生産性を高める形になっている。モデル分析により、我々は、環境政策が結果的にエネルギー部門の知識ストックを増加させることを確認した。 しかしながら、研究開発投資の総量は、非エネルギー研究開発がエネルギー研究開発の増加以上に減少することにより、減少する。実際、エネルギー投入と非エネルギー投入とが弱い代替関係にあるとき、環境政策に伴って経済活動全体が縮小すれば、研究開発投資総量は減少してしまう。しかし、エネルギー研究開発およびエネルギー部門への投資の強化は、非エネルギー研究開発をクラウドアウトしないことも、また明らかになった。

  • 排出権取引の枠組みを焦点としたEUの対気候変動政策の評価-2020年までの展開と主な特徴(フランク・J・コンベリー、コラード・ディ・マリア、バリー・アンダーソン、ジュラート・ジャレイト)(平成22年2月)(本文は英語)

    この論文は、欧州の環境政策が与えた影響の調査と実証分析を行っている。全体は4つの論文に分かれており、各々は、1) 欧州排出量取引制度(EU-ETS)のコスト評価に関する導入前と導入後の文献調査、2) 炭素回収貯留(CCS)の開発、商業化と普及の問題点と見通しについての調査、3) EU-ETSの取引コストに関するアイルランドにおけるケース・スタディ、4) EU-ETS に関する企業の反応についてのアイルランドにおけるケース・スタディである。最後に、それらに基づく結論として、日本の政策への提言を行っている。

  • 逐次モンテカルロ法に基づく動学的確率的一般均衡モデルの時変分析(矢野 浩一)(平成22年2月)(本文は英語)

    本論文では動学的確率的一般均衡モデル(DSGE)のパラメーター、自然率、景気変動を同時推定する手法を提案する。この手法はモンテカルロ粒子フィルターと自己組織化状態空間モデルに基づいている。さらに本論文の手法ではパラメーターと自然率を時変パラメーターアプローチ(TVP)を用いて推定する。 TVP は不変パラメーターを推定する際に実務でしばしば用いられるものである。DSGE に関する先行研究の多くでは構造パラメーターはDeep(不変)であると仮定されることが多かったが、本論文の手法ではその構造パラメーターがどの程度安定的かを分析する。TVP を用いるメリットは構造パラメーターの構造変化が自然に検出できるという点にある。さらに、本論文では自然産出量、均衡実質金利などの自然率を時変推定する。実証分析としてはアメリカのデータを用いてニューケインジアンDSGE モデルの分析を行った。その結果、1985 年から2007 年のアメリカの自然産出量の成長率は平均して3.02、インフレ目標値は平均して2.46 であると分かった。さらに後期ボルカー時代から初期グリーンスパン時代にかけてテイラールールのインフレに反応する係数が上昇していること、中期グリーンスパン時代から初期バーナンキ時代にかけては約4.0 で安定していることが分かった。この結果はボルカー時代から初期グリーンスパン時代にかけてFRB はよりインフレ率の安定化に重点を移していったことを示している。また、2000 年代前半から2000 年代半ばに均衡実質金利がマイナスになった時期があり、それはFRB がデフレーションを防ぐために利下げを行ったことによると考えられる。

<報告書の掲載>


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<開催案内>


【最新の統計】

<SNA統計>

  • 平成19年度県民経済計算(平成22年2月19日)
  • 四半期別GDP速報(2009(平成 21)年10–12月期・2次速報)(平成22年3月11日)
    1. 平成22年3月11日に公表した21年10-12月期四半期別GDP速報(2次速報)では実質GDP成長率が、0.9%(年率3.8%)と同年2月15日に公表した1次速報(実質GDP成長率1.1%(年率4.6%))と比べて下方改定となった。
    2. これは、1次速報時点では取り込むことのできなかった情報を取り込んだ結果、民間在庫品増加の下方改定が寄与した結果である。

<景気動向指数>1月速報(平成22年3月9日)

  • 1月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:97.1、一致指数:99.9、遅行指数:85.1 となった。
    先行指数は、前月と比較して2.4 ポイント上昇し、11 ヶ月連続の上昇となった。3 ヶ月後方移動平均は2.56 ポイント上昇し、10 ヶ月連続の上昇、7 ヶ月後方移動平均は2.29 ポイント上昇し、7 ヶ月連続の上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して2.5 ポイント上昇し、10 ヶ月連続の上昇となった。3 ヶ月後方移動平均は1.97 ポイント上昇し、9 ヶ月連続の上昇、7 ヶ月後方移動平均は1.67 ポイント上昇し、6 ヶ月連続の上昇となった。
    遅行指数は、前月と比較して2.2 ポイント上昇し、2 ヶ月連続の上昇となった。3 ヶ月後方移動平均は0.97 ポイント上昇し、2 ヶ月連続の上昇、7 ヶ月後方移動平均は0.30 ポイント上昇し、33 ヶ月振りの上昇となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>1月実績(平成22年3月10日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、21年12月前月比21.2%増の後、22年1月は同3.7%減の1兆9,091億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、21年12月前月比20.1%増の後、22年1月は同3.7%減の7,238億円となった。このうち、製造業は同3.3%増の2,907億円、非製造業(除く船舶・電力)は同12.9%減の4,078億円となった。

<消費動向調査>2月調査(平成22年3月15日)

  • 平成22年2月の一般世帯の消費者態度指数(原数値)は、1月の39.0から0.8ポイント上昇し39.8となった。
  • また、消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「低下する」と思うとの回答割合が前月に比べ減少し23.5%となった。一方、「上昇する」と思うとの回答割合は増加し31.1%となり、「変わらない」と思うとの回答割合も増加し36.2%となった。

<企業行動に関するアンケート調査>平成21年度(一次集計)(平成22年2月19日)

【参考】<月例経済報告>3月(平成22年3月15日)

  • 景気は、着実に持ち直してきているが、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。
    • 輸出は、緩やかに増加している。生産は、持ち直している。
    • 企業収益は、改善している。設備投資は、下げ止まりつつある。
    • 企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。
    • 雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
    • 個人消費は、持ち直している。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、企業収益の改善が続くなかで、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
3月9日
(1月分)
3月18日
(1月分)
3月10日
(1月分)
3月15日
(2月分)
3月18日
(1~3月期)
4月6日
(2月分)
4月21日
(2月分)
4月8日
(2月分)
4月19日
(3月分)
5月12日
(3月分)
5月19日
(3月分)
5月17日
(3月分)
5月18日
(4月分)

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

SNA(QE)統計の公表予定はこちらから


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