ESRI通信 第26号

平成22年10月15日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【ノーベル経済学賞】

例年10月はノーベル賞受賞者の発表時期にあたります。そのうちノーベル経済学賞は、1968年にスウェーデン国立銀行の設立300周年祝賀の一環として設立され、翌年に最初の授賞が行われました。ノーベル自身の遺言によるものではなく、正式には「アルフレッド・ノーベル記念経済科学スウェーデン国立銀行賞」と称します。英語で「economic sciences」とあるように対象は狭義の経済学に限りません。残念ながら唯一この分野で日本人受賞者が出ていません。

今年の経済学賞は10月11日に発表されました。受賞者は、ピーター・ダイアモンド、デール・モルテンセン、クリストファー・ピサリデスの3氏です。3氏の業績紹介は新聞や経済雑誌の記事に譲ることにして、ここでは事前の受賞予想を取り上げたいと思います。

発表時期が近付くと、世界中のエコノミストたちは次のノーベル経済学賞は誰が受賞するのか予想に花を咲かせ、経済メディアは有力な受賞候補とその中心的業績を紹介する記事を掲載するのが常です。これまで重要な業績を上げた経済学研究者の多くが受賞されました。しかし、毎年のように候補に挙げられながら受賞がない方がある一方で、時に予想外の人選がありました。このため、経済学賞は他の分野以上に予想が難しいと言われます。

日本人研究者については、理論の分野で大きな業績を上げられた方々など何人かが候補と目されてきましたが、今年、そこに新しい名前が加わりました。世界有数の経済メディアであるトムソン・ロイター社が予想した4名のなかに清滝信宏プリンストン大学教授の名が共同研究者のジョン・H・ムーア・エジンバラ大学教授の名とともにあったのです。読者の皆さまには、当研究所が本年6月に開催した国際コンファレンスの報告者としてお馴染みではないかと思います。

予想の根拠となった彼らの業績は、土地が生産要素としてだけでなく信用市場における担保としての役割も果たすことを取り入れたモデルです。小さなショックが土地の担保価値の低下を通じて大きくかつ長期にわたる生産低下を引き起こすことを示しました。比較的新しい業績ですが、世界的な不動産バブルの広がりとその崩壊という状況のなかで引用回数の非常に多い文献となっています。日本のバブル崩壊時の観察に基づいて日本人によって行われた研究という点でも注目していただきたいと思います。

平成22年10月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総括政策研究官 佐久間 隆

【最新のシンポジウム・フォーラム】

<議事次第(配付資料)の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

  • 1.有形固定資産 全産業(進捗ベース)
    • 22年6月末のストックは1,217.1兆円、前年同期比1.2%増となり、2期連続のプラスとなった(前期0.8%増)。
    • 22年4~6月の新設投資額は15.5兆円、同6.2%増となり、7期ぶりのプラスとなった(前期1.3%減)。
  • 2.無形固定資産 全産業(取付ベース)
    • 22年6月末のストックは36.1兆円、前年同期比0.1%減となり、2期連続のマイナスとなった(前期0.0%減)。
    • 22年4~6月の新設投資額は1.4兆円、同2.9%減となり、7期連続のマイナスとなった(前期7.1%減)。

<景気動向指数>8月速報(平成22年10月7日)

  • 8月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:99.1、一致指数:103.5、遅行指数:87.8 となった。
    先行指数は、前月と比較して0.9 ポイント下降し、2 ヶ月連続の下降となった。3 ヶ月後方移動平均は0.17 ポイント下降し、3 ヶ月連続の下降、7 ヶ月後方移動平均は0.33 ポイント上昇し、14 ヶ月連続の上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して0.5 ポイント上昇し、17 ヶ月連続の上昇となった。3 ヶ月後方移動平均は0.50 ポイント上昇し、16 ヶ月連続の上昇、7 ヶ月後方移動平均は0.62 ポイント上昇し、13 ヶ月連続の上昇となった。
    遅行指数は、前月と比較して0.4 ポイント上昇し、4 ヶ月連続の上昇となった。3 ヶ月後方移動平均は1.04 ポイント上昇し、2 ヶ月連続の上昇、7 ヶ月後方移動平均は0.54 ポイント上昇し、8 ヶ月連続の上昇となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告> 8月実績(平成22年10月13日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、22年7月前月比5.7%増の後、8月は同9.8%増の2兆2,070億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、22年7月前月比8.8%増の後、8月は同10.1%増の8,435億円となった。このうち、製造業は同12.5%増の3,490億円、非製造業(除く船舶・電力)は同8.3%増の4,909億円となった。

<消費動向調査> 9月調査(平成22年10月12日)

  • 平成22年9月の一般世帯の消費者態度指数(原数値)は、8月の42.4から1.2ポイント低下し41.2となった。
  • また、消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「低下する」と思うとの回答割合が前月に比べ増加し13.1%となり、「上昇する」と思うとの回答割合は減少し43.7%となった。一方、「変わらない」と思うとの回答割合も減少し33.4%となった。

【参考】<月例経済報告>9月(平成22年9月10日)

  • 景気は、引き続き持ち直してきており、自律的回復に向けた動きもみられるが、このところ環境の厳しさは増している。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
    • 輸出は、このところ増勢が鈍化している。生産は、緩やかに持ち直している。
    • 企業収益は、改善している。設備投資は、持ち直している。
    • 企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。
    • 雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
    • 個人消費は、持ち直している。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、企業収益の改善が続くなかで、景気が自律的な回復へ向かうことが期待される。一方、海外景気の下振れ懸念や為替レート・株価の変動などにより、景気が下押しされるリスクが強まっている。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
10月7日
(8月分)
10月20日
(8月分)
10月13日
(8月分)
10月12日
(9月分)
11月8日
(9月分)
11月17日
(9月分)
11月11日
(9月分)
11月10日
(10月分)
12月7日
(10月分)
12月20日
(10月分)
12月8日
(10月分)
12月10日
(11月分)
12月10日
(10~12月期)

SNA(QE)統計の公表予定はこちらから


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