ESRI通信 第30号

平成23年2月18日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【研修について】

国語辞典で「研修」を引くと、「広辞苑」ではいち学問や技芸などをみがきおさめること、に現職教育とあり、現在では一般的ににの意味で使われると思います。「新明解国語辞典」では、「その方面に必要な知識・技能を確実に身に付けるため、特別な勉強や実習をすること」とあり、用例として「語学研修を受ける」「研修生」となっています。

学生は、中学校までの義務教育の段階で社会人としての常識的な知識・技能を身に付け、高校、大学・大学院或いは専門学校では、将来の就職先を見据えて専門的な知識・技能を習得するのが一般的です。一方、受入れ側の企業や官庁等では、従来新卒の学生に対しては、即戦力としての能力よりも、オンザジョブトレーニングを含め採用後の人材育成方針に適応できる基礎的能力を身に付けていることを期待していたのではないでしょうか。

そこで各企業・官庁等では、定年までの数十年の間に階層別・職種別に様々な研修が行われています。近年、公務員の世界でも研修の「費用対効果」が重視されるようになり、各省庁の研修所もいわゆる「事業仕分け」の対象となりました。しかし、人材育成の観点からは研修の効果の測定は簡単ではありません。その組織へのスムーズな受入れを目的とする初任者研修を別にすると、研修の成果が実際の業務に反映されるまでには時間がかかる場合が多いからです。

内閣府の経済研修所では、計量経済分析の手法、経済分析用の分析ソフトの使い方、主要経済統計の理解に関する研修が主で、比較的すぐに業務に役立つものが多いのですが、職員の経済分析力や情報発信力を向上させるために、長期的な視野で若手職員の研修を行うことも必要ではないかとの意見もあります。「すぐに役に立つ知識は、いずれすぐに役に立たなくなる。」というのは一面の真理ではあります。

また、一定期間職場を離れて、他の部署或いは他省庁の職員と一緒に受ける研修の場合、その機会に自分の仕事を見つめ直すという効果もあるのではないでしょうか。他省庁の職員との交流が業務上の参考になることもあると思います。

通常の業務をこなすのに精一杯で、とても研修を受ける余裕は無いという職員も多いと思いますが、研修担当者としては、多くの職員に研修に参加してもらい、業務能力及び自らの能力向上を図っていただきたい、そのためにも、研修期間中は職員が研修に専念できる環境を整えたいと考えています。

平成23年2月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    経済研修所総務部長 勝見 博

【最新の研究発表】

  • ポストモダンの総合計画づくり-「イマジンまつど」「小田原市新総合計画」の事例から-(大住 莊四郎)(平成23年1月)

    ポストモダンの政治・行政システムには、価値の多様化を前提とした二つのアプローチがある。第一は、主体性・自律性・創造性に基づく参加・協働型の意思決定プロセスを創造するためのポジティブ・アプローチであり、第二は、サイレントマジョリティのニーズを政治・行政の意思決定プロセスに反映させるための討議型民主主義である。本論では、この二つのアプローチの具体化を自治体の総合計画策定のプロセスをもとに検討した。具体的な事例として、「イマジンまつど」「小田原市新総合計画」からは、ポストモダンの政治・行政の意思決定プロセスのデザインの一般的なパターンを確認することができた。

  • 「経済分析第184号(ジャーナル版)」(平成23年1月)
    (論文)
    世界同時不況による日本の貿易への影響:貿易統計を利用した貿易変化の分解(伊藤 萬里)
    設備投資のタイミングと不確実性(嶋 恵一)
    雇用主の性別役割意識に関する実証分析─雇用主が持つのは「好みによる差別」意識か、「固定観念」か─(安田 宏樹)
    Structural FAVAR による世界景気の要因分析(竹内 文英)
    応益課税としての固定資産税の検証(宮崎 智視、佐藤 主光)
    首都直下地震がマクロ経済に及ぼす影響についての分析(佐藤 主光、小黒 一正)
    (資料)
    『家族関係、就労、退職金及び教育・資産の世代間移転に関する世帯アンケート調査』の概要(堀 雅博、濱秋 純哉、前田 佐恵子、村田 啓子)
  • マクロ経済変数のトレンドとサイクルの分離法の検証-日本の実質GDPと失業率への応用-(飯星 博邦)(平成23年2月)

    マクロ経済変数の経済成長(トレンド) 成分と景気循環(サイクル) 成分への分離法は、Beveridge とNelson(1981) の研究以降の約30 年間、HP フィルタなど数多くの統計学的手法が提案されているが、これらの推定値は一般的には一致しない。本稿は、Morley et al. (2003) やPerron and Wada (2009) 等の最新の分離法を使い、日本の実質GDP および完全失業率に適用した。この検証結果および先行研究から、たとえ同一のUnobservable Component Model を利用してもサイクルとトレンドを一意的に特定化することはできず、景気循環成分の周期の長短や振幅の大きさは、(1) トレンドとサイクルの2 つのショックの相関関係、(2) トレンドのショックの分散の大きさ、等に依存することが判明した。さらにPerron and Wada (2009) のような「急激な構造変化」(structural breaks) を考慮した混合正規分布をもつUnobservable Component Model で実質GDP を検証したところ、この分布における2 つの正規分布の分散比を予め特定化しないとPerron and Wada (2009)の結果と異なり、Morley et al. (2003) と同様なサイクル成分は周期が短く振幅が小さいものになった。本検証結果から、先行研究が用いている統計的手法のみでは、一意的にマクロ経済変数をトレンド成分とサイクル成分に分離をすることができないことが示唆される。

  • ソーシャル・キャピタルと地域科学技術イノベーション-「信頼」から見る地域クラスター政策-(川島 浩誉、川島 啓)(平成23年2月)

    近年、地域の産学官が持つ資源を連携によって活かし、科学技術分野におけるイノベーションによって地域経済の活性化を目指す試みが全国的に展開されている。本研究の目的は、地域クラスター事業に代表される地域科学技術イノベーション政策が社会にもたらした成果をソーシャル・キャピタルの視点から再評価し、地域科学技術イノベーションとソーシャル・キャピタルの関係を実証的に明らかにすることにある。変化の定量分析および事業の実施主体へのヒアリングによる定性分析から、イノベーションの創出に地域のソーシャル・キャピタルが要因として働くこと、政策によって地域のソーシャル・キャピタルが向上したことを示唆する結果が示された。この結果は政策の意義を裏付けるものであるが、同時に、ヒアリング回答の分析によって現状の実施体制が内包する問題点も明らかになった。

  • IT導入の効果に関する日本企業の特異性と企業改革の有無―日米独韓4カ国企業の実証分析―(篠崎 彰彦、佐藤 泰基)(平成23年2月)

    本稿では、日米独韓の4カ国企業を対象に、企業改革の有無がIT導入効果にどのような違いをもたらしているかを比較分析し、IT導入効果が低いとされる日本企業の特徴を再考した。具体的には、4カ国企業計1,260社からのアンケート調査結果をもとに、企業改革を実施した企業群としなかった企業群との間に IT導入効果の認識にどの程度の違いがあるかを各国別に確認した上で、17の企業改革項目ごとに改革を実施した企業群だけを抽出し、日米独韓の4カ国で ITの導入効果の認識に統計的に有意差がみられるかを多重検定した。その結果、日本企業は、企業改革の有無がIT導入の効果に有意な差をもたらす程度が他の3カ国企業に比べて高いこと、また、企業改革を実施した企業だけを抽出した場合、日本企業と他の3カ国企業との間でIT導入効果に有意な差がみられない項目が増えることの2点が明らかとなった。全般的にみると、日本企業はIT導入の効果があったと回答する割合は低いが、事業部門の分割などの企業改革を実施したと回答した企業群では、他の3カ国企業と同程度の回答となっており、大胆な企業改革によって諸外国と同様のIT導入効果を得る可能性が高まると考えられる。裏を返すと、日本以外の企業では、もともと企業の仕組みがITに親和的であり、企業改革がない場合でも一定のIT導入効果が得られやすいのに対し、日本企業はもともとの仕組みがITに非親和的で、大胆な改革を実施すれば一定の効果が得られるが、改革を行わなければ効果を得にくい構造にあることを示唆する結果といえる。

<報告書の掲載>


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<開催案内>

<報告書の掲載>

<議事次第(配付資料)の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>12月速報(平成23年2月7日)

  • 12 月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:101.4、一致指数:103.1、遅行指数:89.1 となった。
    先行指数は、前月と比較して0.8 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.87 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.27 ポイント上昇し、3ヶ月振りの上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して0.7 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.34 ポイント上昇し、4ヶ月振りの上昇、7ヶ月後方移動平均は0.16 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。
    遅行指数は、前月と比較して1.3 ポイント上昇し、2ヶ月振りの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.34 ポイント上昇し、8ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.63 ポイント上昇し、12 ヶ月連続の上昇となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、足踏みを示している。

12月改訂(平成23年2月17日)

  • 12 月のCI(改訂値・平成17 年=100)は、先行指数:101.4、一致指数:103.5、遅行指数:88.6 となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、足踏みを示している。

<機械受注統計調査報告>12月実績および平成23年1~3月見通し(平成23年2月10日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、22年11月前月比8.3%減の後、12月は同6.6%増の2兆876億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、22年11月前月比3.0%減の後、12月は同1.7%増の7,353億円となった。このうち、製造業は同1.9%減の3,044億円、非製造業(除く船舶・電力)は同3.9%増の4,292億円となった。
  • 10~12月をみると、受注総額は前期比0.6%減の6兆1,827億円となった。「船舶・電力を除く民需」は同6.9%減の2兆2,041億円、製造業は同4.4%減の8,948億円、非製造業(除船舶・電力)は同10.1%減の1兆3,040億円となった。
  • 23年1~3月見通しをみると、受注総額は前期比8.5%増の6兆7,095億円の見通しになっている。「船舶・電力を除く民需」は同2.7%増の2兆2,629億円、製造業は同16.1%増の1兆392億円、非製造業(除船舶・電力)は同5.8%減の1兆2,279億円の見通しになっている。
  • 平成22年実績をみると、受注総額は前年比20.0%増の23兆8,537億円になっている。「船舶・電力を除く民需」は同4.6%増の8兆8,667億円、製造業は同21.6%増の3兆5,658億円、非製造業(除船舶・電力)は同4.5%減の5兆3,217億円になっている。

<消費動向調査>1月調査(平成23年2月9日)

  • 平成23年1月の一般世帯の消費者態度指数(原数値)は、12月の40.1から1.0ポイント上昇し41.1となった。
  • また、消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「低下する」と思うとの回答割合が減少し11.1%となり、「変わらない」と思うとの回答割合も減少し32.2%となった。一方、「上昇する」と思うとの回答割合は増加し48.5%となった。

【参考】<月例経済報告>1月(平成23年1月21日)

  • 景気は、足踏み状態にあるが、一部に持ち直しに向けた動きがみられる。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
    • 輸出は、緩やかに減少している。生産は、下げ止まりの兆しがみられる。
    • 企業収益は、改善している。設備投資は、持ち直している。
    • 企業の業況判断は、慎重さがみられる。
    • 雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。
    • 個人消費は、持ち直しているものの、一部に弱い動きもみられる。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、当面は弱さが残るとみられるものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。一方、海外景気の下振れ懸念や為替レートの変動などにより、景気がさらに下押しされるリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
2月7日
(12月分)
2月17日
(12月分)
2月10日
(12月分)
2月9日
(1月分)
3月7日
(1月分)
3月18日
(1月分)
3月9日
(1月分)
3月14日
(2月分)
3月16日
(1~3月期)
4月6日
(2月分)
4月21日
(2月分)
4月11日
(2月分)
4月19日
(3月分)

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