ESRI通信 第32号

平成23年4月20日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【東日本大震災とGDP統計】

3月11日、東日本大震災により多くの方々が被災された。まずもって、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、現在も避難生活を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げたい。

今回の震災によって国民生活や経済活動に大きな影響が生じた。今後、震災対応のための政策措置が本格的に採られていくものと考えられるが、こうした政策措置を適切に実施していくためにも、我が国の置かれた経済状況等が統計によって適切に把握されていくことが重要である。国民経済計算部が作成を担当するGDP統計は、景気判断やマクロ経済運営を行ったりする上で欠かすことのできない統計であり、震災が発生した状況の中にあっても、引き続き精度を維持し信頼性を確保しながら推計を行っていくことが求められる。

言うまでもないが、GDP統計は、各種一次統計を利用して作成する加工統計である。GDP統計で利用する一次統計のほとんどは統計調査によるものであり、それらは今回の震災により十分な調査票の回収が行えないなどの理由から、被災地域を調査対象から除外したりするなど、通常とは異なる形での公表が行われる可能性もある。そのような公表が行われた場合、GDP統計を作成する上で従来の推計方法で問題ないのかどうか、何らかの補正を加える必要があるのかどうか、必要な吟味を行った上で実際の推計作業に取り掛かる必要がある。

また、企業や家計、政府や民間非営利団体、さらには海外からの物資やサービスの提供、或いは、政府による被災地における瓦礫の除去作業や仮設住宅の建設といった、通常はマクロ的には必ずしも目立たない財やサービスの動きについて、GDP統計上どのように記録されるべきものなのか、改めてGDP統計の概念と照らし合わせながら整理していくことも、地道ではあるが極めて重要な作業となる。

今後、平成23年1~3月期の推計値において、今回の震災の影響を受けたGDP統計を初めて公表することになるが、上記に示した対応を図るなどして、引き続き推計精度が維持され、かつ信頼性が確保されたGDP統計を作成することができるよう、GDP統計作成担当部局として、最大限の努力を行っていくこととしたい。

平成23年4月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    国民経済計算部長 豊田 欣吾

【最新の研究発表】

<報告書の掲載>


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

  • 四半期別民間企業資本ストック速報(平成22年10–12月期)(平成23年3月31日)
    • 1.有形固定資産 全産業(進捗ベース)
      • 22年12月末のストックは1,230.5兆円、前年同期比1.7%増となり、5期連続のプラスとなった(前期1.5%増)。
      • 22年10~12月の新設投資額は16.9兆円、同9.1%増となり、3期連続のプラスとなった(前期10.9%増)。
    • 2.無形固定資産 全産業(取付ベース)
      • 22年12月末のストックは36.0兆円、前年同期比0.8%減となり、4期連続のマイナスとなった(前期0.6%減)。
      • 22年10~12月の新設投資額は1.5兆円、同1.8%減となり、9期連続のマイナスとなった(前期1.8%減)。

<景気動向指数>2月速報(平成23年4月6日)

  • 2月のCI(速報値・平成 17 年=100)は、先行指数:104.2、一致指数:106.3、遅行指数:91.0 となった。
    先行指数は、前月と比較して2.7 ポイント上昇し、4ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月後方移動平均は1.54 ポイント上昇し、4ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.66 ポイント上昇し、3ヶ月連続の上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して0.4 ポイント上昇し、4ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月後方移動平均は1.33 ポイント上昇し、3ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.52 ポイント上昇し、4ヶ月連続の上昇となった。
    遅行指数は、前月と比較して2.3 ポイント上昇し、2ヶ月振りの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.84 ポイント上昇し、2 ヶ月振りの上昇、7ヶ月後方移動平均は0.47 ポイント上昇し、14 ヶ月連続の上昇となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>2月実績(平成23年4月11日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、23年1月前月比19.4%増の後、2月は同1.9%増の2兆5,397億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、23年1月前月比4.2%増の後、2月は同2.3%減の7,488億円となった。このうち、製造業は同11.1%増の3,626億円、非製造業(除く船舶・電力)は同4.5%減の3,990億円となった。

<消費動向調査>3月調査(平成23年4月19日)

  • 平成23年3月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、2月の41.2から2.6ポイント低下し38.6となった(平成23年3月調査より消費者態度指数の月次季節調整値の公表を開始した)。
  • また、消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「低下する」と思うとの回答割合が減少し6.0%となり、「変わらない」と思うとの回答割合も減少し17.9%となった。一方、「上昇する」と思うとの回答割合は増加し69.3%となった。

【参考】<月例経済報告>4月(平成23年4月13日)

  • 景気は、持ち直していたが、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きとなっている。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
    • 輸出は、持ち直しの動きがみられたものの、東日本大震災の影響による減少が懸念される。生産は、持ち直していたものの、東日本大震災の影響により、このところ生産活動が低下している。
    • 企業収益は、改善しているが、東日本大震災の影響が懸念される。設備投資は、持ち直している。
    • 企業の業況判断は、慎重さがみられる。
    • 雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。ただし、東日本大震災の影響が懸念される。
    • 個人消費は、持ち直しの動きがみられたものの、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きもみられる。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、当面は東日本大震災の影響から弱い動きが続くと見込まれる。その後、生産活動が回復していくのに伴い、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待されるが、電力供給の制約やサプライチェーン立て直しの遅れ、原油価格上昇の影響等により、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
4月6日
(2月分)
4月21日
(2月分)
4月11日
(2月分)
4月19日
(3月分)
5月11日
(3月分)
5月23日
(3月分)
5月16日
(3月分)
5月16日
(4月分)
6月7日
(4月分)
6月20日
(4月分)
6月13日
(4月分)
6月9日
(5月分)
6月14日
(4~6月期)

SNA(QE)統計の公表予定はこちらから


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