ESRI通信 第41号

平成24年1月17日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【なぜブータン国民は幸福なのか】

昨年12月5日及び6日、当研究所は「幸福度に関するアジア太平洋コンファレンス」という国際会議を東京で開催した。OECD、ADBといった共催機関の協力も得ながら準備を進めてきたが、当日はアジア太平洋地域32か国から、政府関係者、専門家等180名が出席し、2日間に亘って白熱した議論が行われた。「幸福度」をテーマにアジア・太平洋地域で行われる会議としてはおそらく史上初であり、当研究所始まって以来の大規模な国際会議となった。

この会議での議論の基本的な方向性を決定する基調講演は、ブータン政府の国民総幸福量(GNH)委員会担当のカルマ・ツェテーム長官が行った。ブータンは、前国王が国民総幸福量という概念を世界で初めて提唱し、GNHを国の政策に反映させていることで有名である。具体的には首相が議長を務めるGNH委員会が年に数回開催され、関係各省の閣僚・次官レベルが出席して、国民の幸福と国の政策のあり方ついて検討を進めている。今回の会議には、ティンレー首相直々の指示により、ツェテーム長官が出席し、アジア太平洋地域で幸福度の指標化という課題に日々取り組む各国代表に、ブータンでのこれまでの取り組みについて披露して頂いた。

国の政策が目指すべきものは、経済成長だけではないことは明らかである。日本は、戦後飛躍的な経済発展を達成し、国民ひとりひとりが比較的高い所得を得られるようになったが、公表されているOECDの報告書によれば、自分が幸せと感じている日本人はOECD諸国の平均程度のようである。これに対してブータンは、経済的には豊かとは言えない小国であるが、国民の97%が自分は幸福と感じているという。もっとも人が幸福と感じるかどうかは、実は主観的な要素が強く、また文化や国民性の違いによる影響もあると考えられるので、これを国際的に比較することは容易なことではない。現在OECDが中心となって、少しでも普遍的な指標を作り出す努力が重ねられているが、今回の会議はそのOECDの努力へのささやかな貢献である。しかし、今後新たな指標が得られたとしても、調査結果が独り歩きして誤解を広げるリスクは常に覚悟しなければならないであろう。

それにしても、なぜブータン国民は幸福なのか、は実に興味深いテーマである。モノが有り余っている生活を知らないので、つましい生活でも幸福と感じているのであろうか?日本人は、世界的に見れば豊かな生活ができているのに、あまり幸福と感じないのはなぜであろうか?好転しない雇用情勢など社会不安が増している現状に失望しているからであろうか?

今回私は、幸運にもツェテーム長官にほぼ全行程同行し、道すがら話をする機会に恵まれた。ブータン国民が幸福といっても、ブータンにも様々な社会問題があり、特に都会の若者の失業問題が深刻であることが分かった。長官は、これまでの日本の成功事例と同様に失敗事例についても良く知っており、日本をモデルに国の発展に取り組んでいると説明してくれた。そんな中で長官が強調していたのは、ブータン政府としての目指すものは、あくまでも国の発展である、但しその前提は国民の幸福であり、政府は国民が幸福を感じる形で国の発展に尽力しなければならない、ということであった。言われてみれば当たり前のことなのだが、改めて重要なことを教えられた気がした。

平成24年1月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    上席主任研究官 宮下孝之

【最新の研究発表】

<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

  • 平成22年度国民経済計算確報(フロー編)(平成23年12月26日)
  • 平成23年7-9月期「民間企業資本ストック速報」及び平成22年度「民間企業資本ストック年報」における国民経済計算の平成17年基準改定の反映について(平成24年1月11日)
  • 民間企業資本ストック年報(平成22年度)(平成24年1月12日)
  • 四半期別民間企業資本ストック速報(平成23年7-9月期)(平成24年1月12日)
    • 1.有形固定資産 全産業(進捗ベース)
      • 23年9月末のストックは1,240.7兆円、前年同期比1.2%増となった(前期1.3%増)。
      • 23年7~9月の新設投資額は13.8兆円、同3.0%減となり、2期連続のマイナスとなった(前期1.9%減)。
    • 2.無形固定資産 全産業(取付ベース)
      • 23年9月末のストックは42.7兆円、前年同期比0.2%減となり、3期連続のマイナスとなった(前期0.2%減)。
      • 23年7~9月の新設投資額は2.1兆円、同0.8%減となり、2期ぶりのマイナスとなった(前期2.2%増)。

<景気動向指数>11月速報(平成24年1月11日)

  • 11 月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:92.9、一致指数:90.3、遅行指数:82.8 となった。
    先行指数は、前月と比較して0.9 ポイント上昇し、4ヶ月振りの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.43 ポイント下降し、3ヶ月連続の下降、7ヶ月後方移動平均は0.37 ポイント上昇し、3ヶ月振りの上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して1.1 ポイント下降し、2ヶ月振りの下降となった。3ヶ月後方移動平均は0.23 ポイント下降し、2ヶ月振りの下降、7ヶ月後方移動平均は0.62 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。
    遅行指数は、前月と比較して0.1 ポイント上昇し、2ヶ月振りの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.47 ポイント下降し、2ヶ月連続の下降、7ヶ月後方移動平均は0.30 ポイント下降し、2ヶ月連続の下降となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止まりを示している。

<機械受注統計調査報告>11月実績(平成24年1月16日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、23年10月前月比3.2%増の後、11月は同14.7%増の2兆2,607億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、23年10月前月比6.9%減の後、11月は同14.8%増の7,889億円となった。このうち、製造業は同4.7%増の3,382億円、非製造業(除く船舶・電力)は同6.2%増の4,395億円となった。

<消費動向調査>12月調査(平成24年1月16日)

  • 平成23年12月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、11月の38.1から0.8ポイント上昇して38.9となった。消費者態度指数を構成する4つの意識指標のうち、「収入の増え方」は低下したものの、「暮らし向き」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」は上昇した。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は61.3%、「低下する」と思うとの回答割合は7.4%となり、ともに減少した。他方、「変わらない」と思うとの回答割合は、増加して23.6%となった。

【参考】<月例経済報告>12月(平成23年12月21日)

  • 景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。
    • 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、横ばいとなっている。
    • 企業収益は、減少している。設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。
    • 企業の業況判断は、大企業製造業で低下しており、全体としても小幅改善となっている。先行きについても、全体として慎重な見方となっている。
    • 雇用情勢は、持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
    • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、各種の政策効果などを背景に、景気の緩やかな持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、電力供給の制約や原子力災害の影響に加え、欧州の政府債務危機などを背景とした海外景気の下振れや為替レート・株価の変動等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
1月11日
(11月分)
1月20日
(11月分)
1月16日
(11月分)
1月16日
(12月分)
2月7日
(12月分)
2月20日
(12月分)
2月9日
(12月分)
2月9日
(1月分)
3月7日
(1月分)
3月16日
(1月分)
3月12日
(1月分)
3月12日
(2月分)
3月14日
(1~3月期)

SNA(QE)統計の公表予定はこちらから


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