ESRI通信 第47号

平成24年7月13日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

家計の消費・貯蓄行動と景気動向の関係のような家計と国の経済を結びつけた分析を行うためには、家計の統計が国全体の状況を表すマクロ統計と整合的であることが必要である。このマクロ統計の代表的なものが国民経済計算(SNA)である。すなわち、SNAは、国全体の経済活動について、生産、所得、消費、貯蓄、投資、資産、負債等を整合的、客観的に記録する包括的なマクロ統計体系である。

SNAには、企業や政府、ひいては国全体と整合的な家計部門の統計がある。また、所得、消費等の概念は分析に利用される統計等によってさまざまであるが、SNAはその客観的な概念定義を与えるものである。しかし、SNAの家計統計は集計値のみであり、所得階層別、職業別等の世帯属性別の内訳はないため、詳細な分析は難しい。

家計調査では、これらの内訳が得られるが、SNAとは概念や捕捉率が異なり、整合的ではない。たとえば、SNAにおける帰属計算項目(金銭的な受払は行われないがそれと同様の実態があるため、金銭的な受払が行われたとみなして擬制的な取引計上を行う項目)は、ほとんど家計調査には含まれていない。また、家計調査には、財産所得のように、全世帯計の集計値がSNAより大幅に過小な項目がある。

このため、SNAと整合的な世帯属性別統計(分布統計)を推計する必要がある。たとえば、財産所得の受払については、金融資産・負債にSNA等から求めた利率を項目別に乗じて推計する方法が考えられる。このように、家計調査、全国消費実態調査に基づきつつも、他の統計やSNA自体の数値も利用した加工推計により、捕捉率を高めるとともに帰属計算項目もできる限り含めて推計作業を行っており、最近では、2004年、2009年について推計したところである。

ただし、推計上の困難により、資本蓄積の形態とそのための資金調達の源泉を示す資本調達勘定、取引以外による資産・負債の変動(キャピタルゲイン・ロス等)を示す調整勘定は推計しておらず、推計範囲は所得支出勘定、貸借対照表勘定としている。また、所得支出勘定、貸借対照表勘定についても、帰属計算項目で推計できないものがある等、SNAとの概念差が所得・資産で1割程度残る。さらに、概念差以外にもSNAとの相違(推計誤差)があるが、その開差率は、各項目おおむね10%程度以下、所得(第1次所得、可処分所得、調整可処分所得)や正味資産(純資産)では5%以下となっている。

平成24年7月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総括政策研究官 浜田 浩児

【最新の研究発表】

<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

  • 四半期別民間企業資本ストック速報(平成24年1-3月期)(平成24年6月29日)
    • 1.有形固定資産 全産業(進捗ベース)
      • 24年3月末のストックは1,246.9兆円、前年同期比1.3%増となった(前期1.2%増)。
      • 24年1~3月の新設投資額は15.9兆円、同1.8%増となり、2期連続のプラスとなった(前期5.0%増)。
    • 2.無形固定資産 全産業(取付ベース)
      • 24年3月末のストックは42.4兆円、前年同期比0.4%減となり、5期連続のマイナスとなった(前期0.5%減)。
      • 24年1~3月の新設投資額は2.6兆円、同2.7%増となり、3期ぶりのプラスとなった(前期2.9%減)。

<景気動向指数>5月速報(平成24年7月6日)

  • 5月のCI(速報値・平成 17 年=100)は、先行指数:95.9、一致指数:95.8、遅行指数:86.1 となった。
    先行指数は、前月と比較して0.3 ポイント上昇し、2ヶ月振りの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.10 ポイント下降し、6ヶ月振りの下降、7ヶ月後方移動平均は0.38 ポイント上昇し、8ヶ月連続の上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して1.2 ポイント下降し、2ヶ月連続の下降となった。3ヶ月後方移動平均は0.03 ポイント上昇し、6ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.36 ポイント上昇し、8ヶ月連続の上昇となった。
    遅行指数は、前月と比較して0.2 ポイント上昇し、2ヶ月振りの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.07 ポイント上昇し、10 ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.46 ポイント上昇し、25 ヶ月連続の上昇となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>5月実績(平成24年7月9日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、24年4月前月比4.0%減の後、5月は同14.5%減の1兆8,137億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、24年4月前月比5.7%増の後、5月は同14.8%減の6,719億円となった。このうち、製造業は同8.0%減の3,019億円、非製造業(除く船舶・電力)は同6.4%減の4,135億円となった。

<消費動向調査>6月調査(平成24年7月10日)

  • 平成24年6月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、5月の40.7から0.3ポイント低下して40.4となり、2か月ぶりに前月を下回った。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標のうち、「耐久消費財の買い時判断」は前月と比べて上昇したものの、「暮らし向き」は横ばいとなり、「収入の増え方」「雇用環境」は低下した。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は減少して61.3%となった。他方、「低下する」と思うとの回答割合は7.7%、「変わらない」と思うとの回答割合は23.2%となり、ともに増加した。

【参考】<月例経済報告>6月(平成24年6月22日)

  • 景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある。
    • 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、持ち直しの動きがみられる。
    • 企業収益は、持ち直している。設備投資は、緩やかに持ち直している。
    • 企業の業況判断は、大企業製造業で下げ止まっており、全体としては小幅改善となっている。
    • 雇用情勢は、持ち直しているものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
    • 個人消費は、緩やかに増加している。
    • 物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、復興需要等を背景に、景気回復の動きが確かなものとなることが期待される。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が高まっており、こうしたこと等を背景とした金融資本市場の変動や海外景気の下振れ等によって、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約、デフレの影響等にも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
7月6日
(5月分)
7月19日
(5月分)
7月9日
(5月分)
7月10日
(6月分)
8月6日
(6月分)
8月20日
(6月分)
8月9日
(6月分)
8月9日
(7月分)
 
9月7日
(7月分)
9月19日
(7月分)
9月12日
(7月分)
9月10日
(8月分)
9月11日
(7-9月期)

SNA(QE)統計の公表予定はこちらから


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