ESRI通信 第49号

平成24年9月13日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

経済社会総合研究所景気統計部では、景気動向指数、機械受注統計、企業行動に関するアンケート調査、法人企業景気予測調査(これについては財務省との共管)など様々な景気統計を作成・公表しています。その一つが、1957年以来続いている消費動向調査1です。

消費動向調査の調査結果のうち最もよく利用されている消費者態度指数は、暮らし向き、収入の増え方、雇用環境、耐久消費財の買い時判断の4点について調査世帯の見通しを平均して算出しています。1年後の物価の見通し等についても併せて調査しています。

現在、6,720世帯を対象に、調査票の配布時と回収時に調査員が訪問する「訪問留置法」によって毎月実施されており、有効回答率は7割を超えています。景気動向指数の先行指数の算出にも用いられているなど、消費動向、景気動向を迅速かつ的確に把握するために非常に重要な調査です。

一方、同調査については、厳しい財政事情にも鑑み、来年度(2013年4月)から郵送調査に移行することを予定しており、新たな調査方法において如何にして統計の精度を確保するかが大きな課題となっています。

このため、2009年度には1, 000世帯余りを対象とした郵送調査を2か月間にわたって実施するなどして、課題や改善点の抽出等を行ったところです。さらに、その結果を踏まえて、本年7月から来年3月については、訪問留置調査と並行して、2,040の新たな世帯を対象に郵送調査をお願いしております(試験調査)。現在、毎月報告されてくる調査結果の回収状況や回答内容の推移を踏まえながら、来年度以降の調査設計を固めつつある状況です。

質の維持向上と経費の削減のための不断の努力を続けてまいりますが、消費動向調査は、なによりも、調査員や調査世帯の皆様あってこそのものであり、今後とも引き続きご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

1詳しくはhttp://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/menu_shouhi.htmlを参照のこと。

平成24年9月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    景気統計部長 中垣 陽子

【最新の研究発表】

  • R&D補助、国際間の知識スピルオーバー、内生的生産性成長(コーリン・デービス、橋本 賢一)(平成24年8月)(本文は英語)

    本稿では規模効果を取り除いた2国内生的成長モデルを構築し、R&D補助による財varietyや経済成長に対しての効果を分析する。特に、生産コストを下げる目的でプロセスイノベーションへの投資を行う独占的競争企業を導入し、国際間で知識・技術のスピルオーバーが不完全な状況を考察する。

    本稿のモデルの特徴は、国際間の知的スピルオーバーが不完全のもとでは、相対的に大きい国は、企業のシェアや相対的な生産性が大きくなることが示される。このとき、生産性の高い国への企業の集積は、企業間の知識のフローを拡大させることで、企業レベルのR&D投資を高める。結果として、非対称的な国で構成される経済は、対照的な国で構成される経済よりも経済成長が高くなる。ただし、企業レベルのイノベーション活動の高まりは、コストの上昇をもたらすことから、市場参入を引き下げ、全体の財varietyは減少することになる。

    次に、このモデルの枠組みを用いて、R&D補助政策のインプリケーションを導出する。いまR&D補助はその国の産業のシェアや相対的な生産性、相対賃金にプラスの効果をもたらす。このとき、相対的に小さい国がR&D補助政策をおこなうと、全体の財varietyは上昇するものの、生産性の成長は減少することになる。一方で、相対的に大きい国が同様の政策をおこなうと、生成性の成長は上昇させるが、全体の財varietyを減少させる。

    最後に、R&D補助政策が各国の経済厚生および世界の経済厚生にどのようなインパクトをもたらすか考察をおこなった。

  • ICTの普及が経済の発展と格差に及ぼすグローバルな影響の分析– 国際的議論の変遷と実態変化のデータ観察 – (篠﨑 彰彦、田原 大輔)(平成24年8月)

    本稿では、ICT(情報通信技術)の普及が経済の発展と格差に及ぼすグローバルな影響について、国際的な議論がどのように変遷してきたかを跡付けた後、その背後で、どのような 実態の動きがあったかを、現時点で利用可能ないくつかの長期統計にもとづいて動的デー タ観察を行った。その結果、第一に、国連のミレニアム開発目標と連携したUNCTAD の取 り組みが象徴するように、当初はデジタル・ディバイトなど技術格差がもたらす影の側面に 関心が集まったが、2000 年代中盤からは貧困の撲滅や雇用の創出など途上国の経済発展に 向けた光の側面が注目されるようになったこと、第二に、ICT の普及などに関する世界約 200 カ国・地域の長期データで動的に俯瞰すると、論調の変化と期を同じくして、携帯電話 やインターネットが教育水準や所得水準を問わず世界の隅々にまで急速に普及しデジタ ル・ディバイドが縮小していることなどが明らかとなった。

<報告書の掲載>


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<議事次第(配付資料)の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>7月速報(平成24年9月7日)

  • 7月のCI(速報値・平成 17 年=100)は、先行指数:91.8、一致指数:92.8、遅行指数:86.3 となっ た。
    先行指数は、前月と比較して1.4 ポイント下降し、4ヶ月連続の下降となった。3ヶ月後方移動平均は 1.27 ポイント下降し、3ヶ月連続の下降、7ヶ月後方移動平均は0.23 ポイント下降し、2ヶ月連続の下 降となった。
    一致指数は、前月と比較して1.3 ポイント下降し、4ヶ月連続の下降となった。3ヶ月後方移動平均は 1.40 ポイント下降し、2ヶ月連続の下降、7ヶ月後方移動平均は0.26 ポイント下降し、10 ヶ月振りの下 降となった。
    遅行指数は、前月と比較して0.3 ポイント下降し、3ヶ月振りの下降となった。3ヶ月後方移動平均は 0.10 ポイント上昇し、12 ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.16 ポイント上昇し、27 ヶ月連続の 上昇となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、足踏みを示している。

<機械受注統計調査報告>7月実績(平成24年9月12日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、24年6月前月比7.4%増の後、7月は同2.6%減の1兆8,972億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、24年6月前月比5.6%増の後、7月は同4.6%増の7,421億円となった。このうち、製造業は同12.0%増の3,284億円、非製造業(除く船舶・電力)は同2.1%減の4,152億円となった。

<消費動向調査>8月調査(平成24年9月10日)

  • 平成24年8月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、7月の39.7から0.8ポイント上昇して40.5となり、3か月ぶりに前月を上回った。これは、消費者態度指数を構成する4項目全ての意識指標が上昇したためである。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は増加して62.0%となった。他方、「低下する」と思うとの回答割合は6.1%、「変わらない」と思うとの回答割合は24.7%となり、ともに減少した。

<法人企業景気予測調査>7‐9月期調査(平成24年9月11日)

  • 平成24年7-9月期の「貴社の景況判断」BSIは、大企業・全産業では2.2と4期ぶりのプラスとなった。製造業は、情報通信機械器具製造業、自動車・同附属品製造業などを中心にプラスとなり、非製造業は、建設業、卸売業などを中心にプラスとなった。中堅企業、中小企業はマイナスとなった。
  • 先行きについては、大企業は10–12月期もプラス、中堅企業は10–12月期にプラスに転化、中小企業はマイナスが続く見通しとなっている。
  • 設備投資(ソフトウェア含む、土地除く)は、平成24年度は前年度比9.8%の増加見通しとなっている。

【参考】<月例経済報告>8月(平成24年8月28日)

  • 景気は、引き続き底堅さもみられるが、世界景気の減速等を背景として、このところ弱めの動きとなっている。
    • 生産は、減少している。輸出は、弱含んでいる。
    • 企業収益は、持ち直しているが、頭打ち感がみられる。設備投資は、一部に弱い動きもみられるものの、緩やかに持ち直している。
    • 企業の業況判断は、製造業を中心に慎重さがみられる。
    • 雇用情勢は、依然として厳しさが残るものの、改善の動きがみられる。
    • 個人消費は、おおむね横ばいとなっているが、足下で弱い動きがみられる。
    • 物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、当面は弱めの動きが続くと見込まれる。その後は、復興需要が引き続き発現するなかで、海外経済の状況が改善するにつれ、再び景気回復へ向かうことが期待されるが、欧州や中国等、対外経済環境を巡る不確実性は高い。こうしたなかで、世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動等が、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、収益や所得の動向、デフレの影響等にも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
9月7日
(7月分)
9月19日
(7月分)
9月12日
(7月分)
9月10日
(8月分)
9月11日
(7–9月期)
10月5日
(8月分)
10月19日
(8月分)
10月11日
(8月分)
10月11日
(9月分)
 
11月6日
(9月分)
11月19日
(9月分)
11月8日
(9月分)
11月9日
(10月分)
 

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

SNA(QE)統計の公表予定はこちらから


ご意見・ご感想はこちらから

新着情報メール配信の登録内容の変更・停止等はこちらから

  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)