ESRI通信 第53号

平成25年1月17日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

平成25の年が明け、謹んで新春のお慶びを申し上げます。年末年始は厳しい寒波のニュースも多く聞かれましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

ESRI通信は、毎月、それまでに発表した統計や研究成果、ESRI経済フォーラムなどの開催のお知らせを皆様にお伝えしており、新年の第一号をお届けします。昨年は、欧州債務危機、中国経済の成長鈍化、円高の進展など我が国を取り巻く国際環境には厳しいものがあり、燃料の輸入増などの影響もあって貿易収支も赤字の状態が続くこととなりました。一方、国内に目を転じますと、あの東日本大震災から今年で早や3年目。復興需要が内需を引っ張っている状況ではありますが、復興へ向けてさらに努めなければなりません。

東日本大震災以降、当研究所では、防災・減災関連の研究にも特に力を入れています。「震災復興と統計―統計の果たすべき役割とは?」、「震災1年後の日本−統計から見た復興の課題と経済・社会の行方」と題して2回にわたりESRI経済政策フォーラムを開催し、また、ディスカッション・ペーパーとして、「防災対策と世代間公平~持続可能な防災・減災政策のあり方に関するアンケート調査~」、「統計からみた震災からの復興」、「東日本大震災が新卒者の賃金に与えた短期的影響について―教育の質の役割に着目して―」、「低頻度巨大災害に対する国民の政策選好に関する調査」、以上4本の論文を発表しています。このような成果を通じ、震災からの復興に貢献できればと強く願っております。

昨年末、新政権が発足しましたが、復興・防災、経済再生、デフレからの脱却などを重点課題に掲げております。当研究所では、今後とも、中長期的な視野に立って政策課題に関連する研究を積み重ね、研究成果を皆様にご提示できるよう努めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

平成25年1月

  • 経済社会総合研究所
    総務部長  小野 稔

【最新の研究発表】

  • 若年労働市場における教育過剰—学歴ミスマッチが賃金に与える影響—(乾 友彦、権 赫旭、妹尾 渉、中室 牧子、平尾 智隆、松繁 寿和)を掲載しました。(平成24年12月)

    本研究の目的は,日本の若年労働市場において,教育過剰が賃金に与える負の影響を統計的に検証することにある。また,人的資本理論と仕事競争モデルという2つの労働市場理論のどちらがより現実妥当性を持つのかを学歴ミスマッチの観点から検証する。その上で,高学歴化と教育過剰に関する政策対応を議論する。

    具体的には,同じ学歴を獲得したにもかかわらず,より低い学歴しか求められない仕事に就いた者(教育過剰者)とその学歴に見合った仕事に就いた者(教育適当者)の賃金を比較する。さらに,より高い学歴が求められる仕事に就いた者(教育過少者)の賃金を教育適当者のそれと比較することを通じて,労働市場理論の現実妥当性を検討する。

    一般に教育過剰とは,個人の教育達成(学歴)が,その個人が就いている仕事に必要とされる教育達成よりも高い場合をいう。マクロ経済レベル,企業レベル,個人レベルのいずれでみても,教育過剰は多くのコストを支払うことになる非効率的な状態であり,高学歴化の進行とともに議論される必要のある重要な社会問題である。しかし,戦後日本の学校教育の歴史は高学歴化の歴史であったにも関わらず,教育過剰の実証分析は日本ではほとんど行なわれてこなかった。本研究は,日本のデータを使った初の教育過剰研究である。

    分析の結果,他の条件を同一とした時,教育過剰者は教育適当者に比べて賃金が低いことが明らかになった。教育過剰は賃金に負の影響を与えていた。また,他の条件を同一とした時,教育過少者の賃金は教育適当者のそれと比べて高い傾向が明らかになった。日本の若年労働市場においては,人的資本理論よりも仕事競争モデルにより現実的な妥当性がある可能性が示された。

  • 「負の統合」:日本において、移民はどのような経済移動を経験するのか(竹中 歩、石田 賢示、中室 牧子)を掲載しました。(平成24年12月)(本文は英語)

    本論文では、日本における在日外国人の経済移動を分析する。排他的かつ同質的とみなされている日本のような国家では、移民はどのようにして経済的に成功し、どの程度まで成功することができるのか。この疑問に答えるため、我々は独自に収集したインターネット調査のデータを用いて、伝統的な統合主義者の見解が、日本における移民の経済的な成功を説明するのに適さない点を明らかにする。欧米諸国からの移民は、Chiswick and Miller (2011)が「負の統合」とよぶ経済統合のパターンを経験しており、彼らの賃金は入国以降、時間とともに低下していくことが明らかになった。一方で、近隣諸国のアジアからの移民には、負の統合は必ずしも当てはまらないものの、彼らの賃金もまた、時間とともに(低下はしないものの)上昇していく傾向はみられていない。両方の移民グループにおいて、経済的な成功の要因となっているのは、母国から直接持ち込んだ人的資本であって、日本で蓄積した人的資本は必ずしも日本の労働市場では評価されていないことが明らかになった。

<報告書の掲載>


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<議事次第(配付資料)の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>11月速報(平成25年1月10日)

  • 11 月のCI(速報値・平成17 年=100)は、先行指数:91.9、一致指数:90.1、遅行指数:86.5 となった。
    先行指数は、前月と比較して0.9 ポイント下降し、2ヶ月振りの下降となった。3ヶ月後方移動平均は0.46 ポイント下降し、7ヶ月連続の下降、7ヶ月後方移動平均は0.57 ポイント下降し、5ヶ月連続の下降となった。
    一致指数は、前月と比較して0.6 ポイント下降し、8ヶ月連続の下降となった。3ヶ月後方移動平均は1.03 ポイント下降し、6ヶ月連続の下降、7ヶ月後方移動平均は1.02 ポイント下降し、5ヶ月連続の下降となった。
    遅行指数は、前月と比較して0.3 ポイント下降し、2ヶ月振りの下降となった。3ヶ月後方移動平均は0.10 ポイント下降し、2ヶ月振りの下降、7ヶ月後方移動平均は0.05 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、悪化を示している。

<機械受注統計調査報告>11月実績(平成25年1月16日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、24年10月前月比1.6%減の後、11月は同5.3%増の1兆8,827億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、24年10月前月比2.6%増の後、11月は同3.9%増の7,321億円となった。このうち、製造業は同3.9%増の2,870億円、非製造業(除く船舶・電力)は同6.2%増の4,757億円となった。

<消費動向調査>12月調査(平成25年1月16日)

  • 平成24年12月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、11月の39.4から0.2ポイント低下して39.2となり、4か月連続で前月を下回った。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標のうち、「雇用環境」は前月と比べて上昇したものの、「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」は低下した。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は減少して59.6%となり、他方、「低下する」と思うとの回答割合は増加して8.1%となった。また、「変わらない」と思うとの回答割合は横ばいの24.5%.となった。

【参考】<月例経済報告>12月(平成24年12月21日)

  • 景気は、世界景気の減速等を背景として、このところ弱い動きとなっている。
    • 輸出は、このところ緩やかに減少している。生産は、減少しているものの、そのテンポは緩やかになっている。
    • 企業収益は、製造業を中心に弱含んでいる。設備投資は、弱い動きとなっている。
    • 企業の業況判断は、製造業を中心に慎重さが増している。
    • 雇用情勢は、依然として厳しさが残るなかで、このところ改善の動きに足踏みがみられる。
    • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、当面は弱さが残るものの、復興需要が引き続き下支えするなかで、海外経済の状況が改善するにつれ、再び景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外経済を巡る不確実性は依然として高く、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、雇用・所得環境の先行き、デフレの影響等にも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
1月10日
(11月分)
1月22日
(11月分)
1月16日
(11月分)
1月16日
(12月分)
 
2月7日
(12月分)
2月19日
(12月分)
2月7日
(12月分)
2月12日
(1月分)
 
3月7日
(1月分)
3月19日
(1月分)
3月11日
(1月分)
3月12日
(2月分)
3月12日
(1–3月期)

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

SNA(QE)統計の公表予定はこちらから


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