ESRI通信 第56号

平成25年4月19日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

わが国においては、ここ数年やや持ち直しの動きが見られるとはいえ、長期的には出生率が低下傾向に推移し、少子化が進展している。わが国の出生率低下の人口学的な要因は、未婚化・晩婚化の進行という結婚行動の変化と、夫婦出生児数の減少という夫婦の出生行動の変化があげられている。

これまで、結婚すれば、多くの夫婦は子どもを2人以上生んでいたが、どうもそこにも変化が見られるようだ。夫婦の最終的な出生子ども数の平均(完結出生児数)は、1970年代から30年にわたって、2.2人前後で安定的に推移していたが、2000年代半ばで減少し、2010年には1.96人と初めて2人を下回った。大きな人口学的な要因としては、晩婚化の影響があり、年齢が高くなると妊娠しにくくなることがあり、子どもが欲しいけれどできないといった状態や、2人目、3人目については年齢を理由に躊躇する傾向も見られる。また、世帯の構成も変化が進み、全世帯に占める三世代同居世帯の割合はここ10年で半減し、2011年に7.4%となり、若い世代では親の家事・育児援助に頼ることが難しくなっていることが指摘されている。こうしたなかで、夫の家事・育児参加の重要性が増していると考えられる。しかしながら、長時間労働は、ここ数年、経済情勢をうけて減少傾向にはあるものの、30代を中心に長時間労働の男性が多いという状況には変化が見られず、夫の育児時間についても平均値で見ると、わずかな増加はあるものの低調なままである。相談する相手もなかなか身近におらず、妻の子育ての負担感や孤立感が子どもの数にも影響していることが指摘されている。

こうした状況を見て、若い世代では、子育ての大変さや経済的な状況の見通しがつきにくいことから結婚や子どもをもつことを先送りにしているという指摘もある。さらに、自分や同年代の人たちの兄弟姉妹の人数が少ない少子化世代は、少子化を当然のこととして受け止めていくということも言われており、子どもをもちにくい循環に入り込んでしまう懸念が生じる。もとより、結婚や出産は個人の決定に基づくものであるが、希望と現実に乖離がある場合、その乖離をもたらす要因について分析をし、乖離を少しでも縮小するための環境整備を図っていくことは、わが国の少子化対策として求められていることであろう。

少子化の動向に関連する研究は、このような少子化対策を考えていくうえでの基礎的資料となるものである。当研究所では、未婚男性の結婚と家族形成に関する意識について非正社員に焦点を当てた実証分析の結果をディスカッションペーパーとして公表したところであり、現在は、少子化と夫婦の生活環境に関する意識調査の個票データを用いて、例えば、夫の育児参加と夫婦の出生意欲について、子どもの人数別を含めてこれまでされていない分析を試みているところである。少子化は、社会経済の大きな流れのなかで、様々な要因が関連しあった結果であり、そのなかに人々の意識や価値観も関わっている。それらの絡み合った糸をほぐしながら、そのひとつひとつについてのデータを探し求め、そのデータに基づき分析していく作業を行っている。

平成25年4月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総括政策研究官 内野 淳子

【最新の研究発表】

  • 企業の輸出行動と金融機関の海外市場情報の役割(乾 友彦、伊藤 恵子、宮川 大介、庄司 啓史)を掲載しました。(平成25年3月)(本文は英語)

    本稿は、海外市場に関する情報の多寡が企業の輸出開始の意志決定に与える影響について、実証的に分析したものである。いくつかの既存研究では、同一地域や同一産業内の企業同士の海外市場に関する情報共有に着目しているが、本稿では、最大貸し手銀行(メインバンク)による融資関係を通じた情報提供の効果に焦点を当てている。具体的には、各企業の輸出に関するデータと、当該企業のメインバンクに関するデータとを接続した、企業レベルのパネル・データセットを用いて、統計的に分析している。銀行は輸出企業との取引を通じて、何らかの海外市場情報を取得していると想定し、より多くの輸出企業と取引関係を持つ銀行はより多くの海外市場情報を蓄積していると仮定して、銀行の所有する海外市場情報量を表す変数を作成する。その変数と日本企業の輸出データとを用いて、メインバンクによる海外市場情報の提供が、企業の輸出行動に与える影響を分析する。得られた結果は、メインバンクの提供する情報が、顧客企業の輸出開始の決定(extensive margin)に対して、正の影響を持つことを示している。これは、メインバンクの持つ海外市場に関する情報が、企業の情報収集コストを減少させることなどを通じて、輸出開始にかかる固定コストを低減させることを示唆している。他方、メインバンクによって提供された情報が、企業の輸出量または輸出の成長率(intensive margin)に対して影響を持つという実証的な結果は得られなかった。本稿の分析から、これまでの既存研究では検証されてこなかった、銀行と企業との取引関係という情報チャネルの有用性が統計的に確認された。

<報告書の掲載>


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<議事録の掲載>

<議事次第(配付資料)の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>平成25年2月速報(平成25年4月5日)

  • 2月のCI(速報値・平成 17 年=100)は、先行指数:97.5、一致指数:92.1、遅行指数:84.6 となった。
    先行指数は、前月と比較して2.5 ポイント上昇し、3ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月後方移動平均は1.93 ポイント上昇し、3ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.70 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して0.5 ポイント上昇し、2ヶ月振りの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.67 ポイント上昇し、3ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.16 ポイント下降し、8ヶ月連続の下降となった。
    遅行指数は、前月と比較して1.3 ポイント下降し、2ヶ月連続の下降となった。3ヶ月後方移動平均は0.50 ポイント下降し、2ヶ月連続の下降、7ヶ月後方移動平均は0.21 ポイント下降し、4ヶ月連続の下降となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止まりを示している。

<機械受注統計調査報告>平成25年2月実績(平成25年4月11日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、25年1月前月比3.0%減の後、2月は同4.6%増の1兆8,807億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、25年1月前月比13.1%減の後、2月は同7.5%増の7,038億円となった。このうち、製造業は同8.6%増の2,788億円、非製造業(除く船舶・電力)は同0.6%増の4,125億円となった。

<消費動向調査>平成25年3月調査(平成25年4月17日)

  • 平成25年3月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、2月の44.2から0.6ポイント上昇して44.8となり、3か月連続で前月を上回った。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標のうち、「暮らし向き」「収入の増え方」は前月と比べて横ばいとなったものの、「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」は上昇した。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は71.8%、「低下する」と思うとの回答割合は4.3%となり、ともに増加した。他方、「変わらない」と思うとの回答割合は減少して17.3%.となった。

【参考】<月例経済報告>平成25年4月(平成25年4月12日)

  • 景気は、一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
    • 輸出は、下げ止まりつつある。生産は、持ち直しの動きがみられる。
    • 企業収益は、大企業を中心に改善の兆しがみられる。設備投資は、下げ止まりつつある。
    • 企業の業況判断は、改善の動きがみられる。
    • 雇用情勢は、依然として厳しさが残るものの、このところ改善の動きがみられる。
    • 個人消費は、持ち直している。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
  • 先行きについては、輸出環境の改善や経済対策、金融政策の効果などを背景に、マインドの改善にも支えられ、次第に景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、雇用・所得環境の先行き等にも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
4月5日
(2月分)
4月19日
(2月分)
4月11日
(2月分)
4月17日
(3月分)
 
5月9日
(3月分)
5月20日
(3月分)
5月17日
(3月分)
5月15日
(4月分)
 
6月7日
(4月分)
6月20日
(4月分)
6月12日
(4月分)
6月10日
(5月分)
6月11日
(4-6月期)

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

SNA(QE)統計の公表予定はこちらから


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