ESRI通信 第57号

平成25年5月21日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

国民経済計算(SNA)は国連によって勧告された国際基準に基づいて作成されている。国際基準という「決まりごと」に従って作成した場合、我々の通常の直観とは一致しないことが、統計上稀に起こり得る。

<株価が上昇すると国富が減少する>

我が国のSNAにおける貸借対照表勘定では、株式は資産・負債とも時価評価されている。2011年度末で我が国全体の株式負債合計は約500兆円、これを国内の経済主体が約400兆円を、海外の主体が約100兆円を金融資産(海外保有分は我が国から見れば対外負債)として保有している。仮にこれらの株価が一律に4割上昇すれば、株式負債合計は700兆円、国内保有の株式資産は560兆円、海外保有の株式資産(我が国から見れば対外負債)は140兆円となる。他の状況が全く不変ならば、対外負債が株価上昇前に比べて40兆円増加(対外純資産が40兆円減少)し、定義では国富=非金融資産(実物資産)+対外純資産であることから、国富も40兆円減少する。

<実質輸出の増加は実質国民総所得の減少を招く>

上記の話は既にお気付きの人も多いだろう。しかし、実質輸出の増加が実質国民総所得(GNI)の減少を招くというのはどうだろうか。

定義では、実質国民総所得=実質国内総生産+交易利得+海外からの所得の純受取

 =実質国内需要+実質輸出-実質輸入+交易利得+海外からの所得の純受取

である。ここで、他の状況を全く不変として実質輸出のみが増加した(交易利得の計算式には実質輸出が含まれるため、上式では右辺第2項と第4項のみが増減して他の項は不変とした)場合に、実質国民総所得が減少する場合があり得る。詳しい説明はスペースの都合上省くが、机上の計算ではそういうことがごく稀に(特殊な状況下で)生じ得る。

* * * * * * * * * *

上の例は机上の計算であって、「他の状況が全く不変」ということはあり得ないかもしれない。例えば株価が上昇すれば、経済活動が活発になって土地等の実物資産価格が上昇し、その結果として国富が増加するとか、実質輸出が増えれば景気が良くなって設備投資等も増加し、その結果実質国民総所得が増えるというのが普通であろう。

しかしあくまで国民経済計算の決まりごとに従って統計数値を作成した場合に、通常の直観とは反するようなことが統計上稀に起こり得ることはアタマに置いておく必要がある。数値の増減のみにとどまらず、その背景や要因を認識した上での経済実態の把握が重要であることを示す例である。

平成25年5月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総括政策研究官  道上 浩也

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【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>平成25年3月速報(平成25年5月9日)

  • 3月のCI(速報値・平成 17 年=100)は、先行指数:97.6、一致指数:93.3、遅行指数:87.1 となった。
    先行指数は、前月と比較して0.1 ポイント下降し、4ヶ月振りの下降となった。3ヶ月後方移動平均は1.57 ポイント上昇し、4ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.66 ポイント上昇し、3ヶ月連続の上昇となった。
    一致指数は、前月と比較して0.8 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.47 ポイント上昇し、4ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.09 ポイント上昇し、9ヶ月振りの上昇となった。
    遅行指数は、前月と比較して1.1 ポイント上昇し、3ヶ月ぶりの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.04 ポイント上昇し、3ヶ月振りの上昇、7ヶ月後方移動平均は0.08 ポイント上昇し、5ヶ月振りの上昇となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止まりを示している。

平成25年3月改訂(平成25年5月20日)

  • 3 月のCI(改訂値・平成17 年=100)は、先行指数:97.9、一致指数:93.8、遅行指数:87.6 となった。
  • 一致指数の基調判断
    景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止まりを示している。

<機械受注統計調査報告>平成25年3月実績および平成25年4~6月見通し(平成25年5月17日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、25年2月前月比0.9%増の後、3月は同27.8%増の2兆3,618億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、25年2月前月比4.2%増の後、3月は同14.2%増の7,931億円となった。このうち、製造業は同13.3%増の3,087億円、非製造業(除く船舶・電力)は同14.3%増の4,759億円となった。
  • 1~3月をみると、受注総額は前期比7.1%増の6兆410億円となった。また、「船舶・電力を除く民需」は同0.0%減の2兆1,539億円、製造業は同1.7%減の8,407億円、非製造業(除船舶・電力)は同3.1%減の1兆3,072億円となった。
  • 4~6月見通しをみると、受注総額は前期比5.0%減の5兆7,414億円の見通しになっている。また、「船舶・電力を除く民需」は同1.5%減の2兆1,214億円、製造業は同0.8%増の8,478億円、非製造業(除船舶・電力)は同0.5%減の1兆3,005億円の見通しになっている。
  • 平成24年度実績をみると、受注総額は前年度比6.7%減の23兆3,338億円になっている。また、「船舶・電力を除く民需」は同3.0%減の8兆7,026億円、製造業は同10.1%減の3兆5,313億円、非製造業(除船舶・電力)は同2.8%増の5兆2,125億円になっている。

<消費動向調査>平成25年4月調査(平成25年5月15日)

  • 平成25年4月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、44.5となった。試験調査の3月結果(参考値)から1.4ポイントの上昇であり、4か月連続で前月を上回った。これは、消費者態度指数を構成する4項目全ての意識指標が上昇したためである。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、試験調査の3月結果(参考値)に比べて、「上昇する」と思うとの回答割合は82.8%と増加した一方、「低下する」と思うとの回答割合は3.4%と横ばいとなった。また、「変わらない」と思うとの回答割合は9.9%と減少した。
    • (注) 消費動向調査は、平成25年4月調査より、郵送調査法に切り替えたため、それ以前の訪問留置調査法による数値と不連続が生じている。郵送調査法への切り替えに先立ち、郵送調査法による試験調査を実施しており(実施期間:平成24年7月~25年3月)、平成25年4月調査については、試験調査の3月結果(参考値)との比較である。

【参考】<月例経済報告>平成25年5月(平成25年5月20日)

  • 景気は、緩やかに持ち直している。
    • 輸出は、持ち直しの兆しがみられる。生産は、緩やかに持ち直している。
    • 企業収益は、大企業を中心に改善の動きがみられる。設備投資は、下げ止まりつつある。
    • 企業の業況判断は、改善の動きがみられる。
    • 雇用情勢は、依然として厳しさが残るものの、このところ改善の動きがみられる。
    • 個人消費は、持ち直している。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にあるものの、このところ一部に変化の兆しもみられる。
  • 先行きについては、輸出環境の改善や経済対策、金融政策の効果などを背景に、マインドの改善にも支えられ、次第に景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、雇用所得環境の先行き等にも注意が必要である。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
5月9日
(3月分)
5月20日
(3月分)
5月17日
(3月分)
5月15日
(4月分)
 
6月7日
(4月分)
6月20日
(4月分)
6月12日
(4月分)
6月10日
(5月分)
6月11日
(4-6月期)
7月5日
(5月分)
7月19日
(5月分)
7月11日
(5月分)
7月10日
(6月分)
 

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

国民経済計算(GDP統計)公表予定はこちらから


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