ESRI通信 第60号

平成25年8月16日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢からなる次元の違う政策パッケージ、いわゆるアベノミクスが実行に移されてきています。内閣府経済社会総合研究所では、グローバルな経済環境の下で、アベノミクスが日本経済再生や世界経済発展に果たす役割を論じるため、国内外の著名なエコノミストを招聘し、5月30日、31日に東京港区にある三田共用会議所にてESRI国際コンファレンスを開催しました。

カンファレンスにおいては、アベノミクスが日本経済の再生や世界経済の発展に向けて有効な政策であるとの評価が得られたと考えています。例えば、マクロ経済学や開発経済学で著名なジェフリー・サックス教授には「ここに集まった欧米からの参加者は固唾を呑んでアベノミクスとその行く末を見守っている。三本の矢のうち日銀による最も重要なのは大胆な日本銀行の金融政策である。日銀による金融緩和は非常に有益であり、もっと早くやるべきだった」と発言されました。国際金融論の大家であるリチャード・クーパー教授は「アベノミクスは正しい方向へ進む第一歩だ」と言われ、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授には、「このため世界中のエコノミストが、金融政策・財政政策・成長戦略の三本の矢を次々と放つ安倍総理の対応と行動を歓迎している。この政策は欧州が直面し、20年にわたって日本が患っている負のスパイラルを断ち切ることになるだろう」と評価されました。

詳しい内容については、現在議事の全体を動画で公開していますので、ぜひご覧ください。議事録(英文)が掲載され次第、動画は短縮版になりますので、お早めにお願いします。なお、日本語による概要については、経済分析第187号に資料として掲載していますし、当研究所のホームページでも公開しています。

また、カンファレンス自体には出席いただけなかったのですが、安倍総理に歓迎レセプションに参加いただいております。しかも、そのレセプションで、スピーチを行っていただきました。このスピーチは、官邸のホームページで動画がご覧いただけます。安倍総理にはレセプションに先立って、海外からの招聘者と懇談いただいたりもしました。

今回のコンファレンスは国際的にも関心が高く、日本でもおなじみの通信社系の外国メディアだけでなく、フランスや中国のテレビの取材が入りました。また、インターネットを通じて、世界的に放送しているメディアなども取材に来ました。

コンファレンスの準備で一番苦労したのは、海外招聘者の予定でした。皆様、快く参加を引き受けていただいたのですが、実際、いつ訪日できるかは、どこから来るのかも含めて直前まで分からない方が多くいらっしゃいました。いつ来られるか分からないというケースはこれまでも経験しているのですが、世界のどこから来るのか分からないは初めてでした。文字通り世界的に活躍している方々をお招きできたと思っています。

平成25年8月

  • 内閣府経済社会総合研究所   上席主任研究官
    公益社団法人日本経済研究センター 主任研究員
    桑原 進

【最新の研究発表】

  • 我が国家計のインフレ期待形成における異質性とバイアス(上野 有子、難波 了一)を掲載しました。(平成25年7月)

    本稿の目的は、消費者のインフレ期待がどのようなメカニズムで形成されているのかに関する手掛かりを、期待インフレ率の予測誤差のマイクロデータを用いて検証することにある。我が国では、名目利子率がゼロ近傍にある環境の下、消費者や企業のインフレ期待に働きかけ、それにプラスの影響を及ぼすことを意図した政策への関心が高まっているが、そもそもこうした政策の有効性は経済主体の期待形成メカニズムに影響される。具体的に、期待形成が合理的であるのか適応的であるのか、同質であるのか異質であるのかは、有効性を左右する重要な要素と考えられる。そこで、本稿では、内閣府「消費動向調査」の個票データを用いて、我が国消費者のインフレ期待形成について詳細な検討を行った。データからは、インフレ期待には安定的に上方バイアスが見られること、各時点でばらついて分布していることが観察される。分析はこうした特徴を前提として進めた。本稿の分析の結果、非対称損失関数モデルがデータに見られるバイアスをある程度説明できること、他方で、合理的期待からの乖離が確認できることが明らかになった。さらに、インフレ期待のばらつきについて検証を進めていく中で、消費者のインフレ期待形成は世帯属性に応じて異なる上、属性では説明しきれない異質性も見られることが確認された。世帯属性別にインフレ期待の特徴を見ると、期待の水準と年齢の関係が調査時期を問わず安定的に逆U字型を示していることが明らかになる。

<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

  • 四半期別GDP速報(2013(平成25)年4-6月期・1次速報)(平成25年8月12日)
    1. 平成25年8月12日に公表した25年4-6月期四半期別GDP速報(1次速報)では実質GDP成長率が0.6%(年率2.6%)と、3四半期連続のプラスとなった。
    2. これは、民間最終消費支出や輸出などの需要項目がプラスに寄与した結果である。

<景気動向指数>平成25年6月速報(平成25年8月6日)

6月のCI(速報値・平成22 年=100)は、先行指数:107.0、一致指数:105.2、遅行指数:110.6 となった。

  • 先行指数は、前月と比較して3.7 ポイント下降し、7ヶ月ぶりの下降となった。3ヶ月後方移動平均は0.27 ポイント上昇し、7ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は1.04 ポイント上昇し、6ヶ月連続の上昇となった。
  • 一致指数は、前月と比較して0.8 ポイント下降し、7ヶ月ぶりの下降となった。3ヶ月後方移動平均は0.26 ポイント上昇し、7ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.65 ポイント上昇し、4ヶ月連続の上昇となった。
  • 遅行指数は、前月と比較して0.5 ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.40 ポイント上昇し、5ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.46 ポイント上昇し、5ヶ月連続の上昇となった。
一致指数の基調判断
  • 景気動向指数(CI一致指数)は、上方への局面変化を示している。

<機械受注統計調査報告>平成25年6月実績および平成25年7~9月見通し(平成25年8月13日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、25年5月前月比12.0%増の後、6月は同14.3%減の1兆9,443億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、25年5月前月比10.5%増の後、6月は同2.7%減の7,774億円となった。このうち、製造業は同2.4%増の3,042億円、非製造業(除く船舶・電力)は同17.5%減の4,623億円となった。
  • 4~6月をみると、受注総額は前期比3.3%増の6兆2,406億円となった。また、「船舶・電力を除く民需」は同6.8%増の2兆2,999億円、製造業は同5.6%増の8,875億円、非製造業(除船舶・電力)は同12.5%増の1兆4,701億円となった。
  • 7~9月見通しをみると、受注総額は前期比5.7%減の5兆8,820億円の見通しになっている。また、「船舶・電力を除く民需」は同5.3%減の2兆1,772億円、製造業は同3.9%減の8,525億円、非製造業(除船舶・電力)は同7.6%減の1兆3,580億円の見通しになっている。

<消費動向調査>平成25年7月調査(平成25年8月9日)

  • 平成25年7月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、6月の44.3から0.7ポイント低下して43.6となり、2か月連続で前月を下回った。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標のうち、「雇用環境」は前月と比べて上昇したものの、「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」は低下した。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は前月から増加して86.2%となった。他方、「低下する」と思うとの回答割合は3.3%、「変わらない」と思うとの回答割合は7.4%となり、ともに前月から減少した。

【参考】<月例経済報告>平成25年8月(平成25年8月15日)

  • 景気は、着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる。
    • 輸出は、持ち直しの動きがみられる。生産は、緩やかに増加している。
    • 企業収益は、製造業を中心に改善している。設備投資は、おおむね下げ止まっており、一部に持ち直しの動きもみられる。
    • 企業の業況判断は、改善している。
    • 雇用情勢は、改善している。
    • 個人消費は、持ち直している。
    • 物価の動向を総合してみると、デフレ状況ではなくなりつつある。
  • 先行きについては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
8月6日
(6月分)
8月19日
(6月分)
8月13日
(6月分)
8月9日
(7月分)
 
9月6日
(7月分)
9月19日
(7月分)
9月12日
(7月分)
9月9日
(8月分)
9月11日
(7-9月期)
10月7日
(8月分)
10月21日
(8月分)
10月10日
(8月分)
10月10日
(9月分)
 

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

国民経済計算(GDP統計)公表予定はこちらから


ご意見・ご感想はこちらから

新着情報メール配信の登録内容の変更・停止等はこちらから

  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)