ESRI通信 第61号

平成25年9月17日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

8月1日付で、経済社会総合研究所次長に就任しました。旧経済企画庁に昭和57年に入庁以来、今年で31年目になりますが、研究所勤務は初めてです。これまでは、主に、経済財政運営、経済社会システム、官房(総務課、人事課)等に勤務していました。

しかしながら、研究所に関係する業務は2回経験しております。1つは、平成19年から23年の人事課長時代で、人事配置の面で関与しました。本来は研究部門の人員を拡充したかったのですが、増え続ける内閣府の他の業務のためにやむを得なかったとはいえ、研究部門の人員を流用したことは残念でした。その中で、各方面から強い要請があった国民経済計算部の人員強化は、ささやかですが出来ました。

2つめは、平成10年から12年の中央省庁等改革推進本部事務局時代に、旧経済企画庁の経済研究所から現在の内閣府経済社会総合研究所に移行させる仕事をしたことです。経済企画庁設置法では、研究所の業務は「経済構造及び経済循環の基礎的な調査及び研究、経済に関する総合的かつ基本的な事項の調査及び研究」とされていたものを、現行内閣府設置法の「経済活動及び社会活動についての経済理論その他これに類する理論を用いた研究」に拡大しました。研究対象分野をこれまでの経済活動のみから更に広い社会活動(この中に科学技術、共生、防災等内閣府の各種業務を含みます)を加え、研究方法も経済理論等を用いた研究と明確にしました。名称もこれに合わせて「社会」と「総合」を加えました。

今回、次長という立場になったことから、内閣府経済社会総合研究所発足の原点に立って、知恵の場たる内閣府の知恵の中心である研究部門の充実と、研究所以外の内閣府職員を含めた理論的能力の向上のために、微力ながら努めていきたいと考えております。

平成25年9月

  • 内閣府経済社会総合研究所
    次長 前川 守

【経済社会総合研究所からのお知らせ】

季刊「Economic & Social Research (ESR) No.2 2013年(秋号)」を発刊しました。(平成25年8月30日)


【最新の研究発表】

  • 夫婦の出生力の低下要因に関する分析~「少子化と夫婦の生活環境に関する意識調査」の個票を用いて~(山田 昌弘、松田 茂樹、施 利平、永田 夏来、内野 淳子、飯島 亜希)を掲載しました。(平成25年8月)

    我が国においては、長期的に出生率が低下傾向で推移し、その要因として未婚化の影響が大きいことが指摘されているが、夫婦の出生児数も近年、減少傾向にある。夫婦の出生力低下の背景には、夫婦を取り巻く生活環境とともに経済状況や夫婦の意識、価値観も影響していると考えられる。

    経済社会総合研究所では、少子化の動向を検討するための基礎的資料となる夫婦の出生力に関する分析を行うため、20代から40代の既婚男女を対象に夫婦を取り巻く生活環境や夫、妻の意識、価値観等について意識調査を実施した。本稿の第1部では、この意識調査の趣旨、方法、及び主な調査結果について紹介する。

    第2部では、意識調査の個票を用いて、夫婦の出生力や出生意欲の低下に関係する要因について異なる角度から分析した結果を報告する。主な結論は次のとおりである。

    1)夫婦の育児分担、情緒関係、共同行動という夫婦関係と夫婦の出生力について:

    夫の育児参加が少ないことは、男女とも現実的に第3子を出産しようとする意欲を低下させることがわかったが、育児分担以上に強い効果がみられたのが、配偶者からの情緒的サポートであった。また、夫婦の伴侶性をみると、夫婦共通に行う行動が多いことや夫婦共通の趣味があることは、おおむね追加出産意欲を高めていた。

    2)家族規範や家族主義と夫婦の出生力の関係について:

    本調査でえられた妊娠先行型結婚の夫婦の典型的イメージは、20歳代の働く男女が2~4年交際した後に妊娠先行で結婚するというものであり、妊娠先行型結婚の夫婦は、追加出産意欲も高い。また、家族規範意識が強い者ほど、第1子および第2子の出産意欲が高いという結果がえられたが、第3子の出産意欲は、家族規範意識が強いことでは高まるものではなかった。さらに、親(子どもからみた祖父母)と同居または近居している場合に、現在・予定・理想のいずれの子ども数も多いことがわかった。

    3)子育てや教育の経済的負担が夫婦の出生力に与える効果について:

    年収が低い層では、直接の子育て費用が子ども数を抑制する一方で、年収が中程度の層では、子どもの大学進学期待や留学期待が子ども数を抑制することが見出された。

  • 確率分布の予測評価とESPフォーキャスト調査への応用(伴 金美、河越 正明、松岡 秀明)を掲載しました。(平成25年9月)(本文は英語)

    本稿は、ESPフォーキャスト調査が2008年6月以降蓄積してきた確率分布予測の個票を用いて、その評価を行うものである。本稿が用いる手法はProbability Integral Transform (PIT) とRanked Probability Score (RPS)である。まず、Berkowitz(2001)のテストを毎年6月に公表された個々の確率分布予測に適用したところ、2011、12年度の実質GDP成長率について独立性の仮説は棄却できなかった。また、2008~2011年度のCPI上昇率については帰無仮説は棄却されたものの、サンプルを予測パフォーマンスの優れた半数に絞ると帰無仮説は棄却できないことがわかった。この結果、個々の予測分布が、データの真の発生過程(ただしこれは観測されない)と同一であることについて部分的ではあるが支持された。次に、Kenny, Kostka, and Masera (2012)に倣って、(個々の確率分布予測の平均である)平均確率分布(MPD)と、個々の予測分布及び3つのベンチマーク(均一分布、正規分布、前期のMPD)と、RPSの計算値で成績を比較した。この結果、MPDは「優れた」分布であることがわかった。すなわち、ほとんどのケースでベンチマークよりも良い成績を収め、毎年約35人の予測者の中で約5位であった。予測者によって加えられた主観的な判断は、実質GDP成長率については成績を向上させているが、CPI上昇率についてはむしろ成績を悪くしている。

<報告書の掲載>


最新のシンポジウム・フォーラム】

<開催案内>


【最新の統計】

<SNA統計>

  • 四半期別GDP速報(2013(平成25)年4-6月期・2次速報)(平成25年9月9日)
    1. 平成25年9月9日に公表した25年4-6月期四半期別GDP速報(2次速報)では実質GDP成長率が0.9%(年率3.8%)と、1次速報値の0.6%(年率2.6%)から上方改定となった。
    2. 実質GDP成長率が上方改定となったのは、需要項目別の前期比寄与度でみて、民間企業設備、民間在庫品増加、公的固定資本形成が上方改定されたためである。

<景気動向指数>平成25年7月速報(平成25年9月6日)

7月のCI(速報値・平成22 年=100)は、先行指数:107.8、一致指数:106.4、遅行指数:111.2 となった。

  • 先行指数は、前月と比較して0.6 ポイント上昇し、2ヶ月ぶりの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.04 ポイント上昇し、8ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は1.02 ポイント上昇し、7ヶ月連続の上昇となった。
  • 一致指数は、前月と比較して0.9 ポイント上昇し、2ヶ月ぶりの上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.44 ポイント上昇し、8ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.58 ポイント上昇し、5ヶ月連続の上昇となった。
  • 遅行指数は、前月と比較して0.6 ポイント上昇し、3ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月後方移動平均は0.70 ポイント上昇し、6ヶ月連続の上昇、7ヶ月後方移動平均は0.41 ポイント上昇し、6ヶ月連続の上昇となった。

一致指数の基調判断

  • 景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>平成25年7月実績(平成25年9月12日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、25年6月前月比14.3%減の後、7月は同4.4%増の2兆291億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、25年6月前月比2.7%減の後、7月は同0.0%減の7,772億円となった。このうち、製造業は同4.8%増の3,187億円、非製造業(除く船舶・電力)は同0.0%増の4,624億円となった。

<消費動向調査>平成25年8月調査(平成25年9月9日)

  • 平成25年8月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、7月の43.6から0.6ポイント低下して43.0となり、3か月連続で前月を下回った。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標のうち、「耐久消費財の買い時判断」は前月と比べて上昇したものの、「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」は低下した。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は87.3%と前月から増加した一方、「低下する」と思うとの回答割合は3.3%と横ばいとなった。また、「変わらない」と思うとの回答割合は6.8%と減少した。

<法人企業景気予測調査>平成25年7-9月期調査(平成25年9月11日)

平成25年7-9月期の「貴社の景況判断」BSIを見ると、大企業・全産業は調査開始(平成16年4-6月期)以降、過去最高となる12.0となり、3期連続のプラスとなった(前期5.9)。業種別にみると、製造業は「情報通信機械器具製造業」「生産用機械器具製造業」などを中心にプラスとなり、非製造業は「サービス業」「卸売業」などを中心にプラスとなった。中堅企業も調査開始以降、過去最高となる9.6となり2期連続プラス(前期1.0)、中小企業は8.7で前期(11.3)よりマイナス幅は縮小した。先行き(10-12月期、1-3月期)を全産業でみると、大企業、中堅企業は10-12月以降もプラスで推移する見通し、中小企業はマイナスで推移する見通しとなった(マイナス幅は7-9月期より縮小)。

平成25年7-9月期の「国内の景況判断」BSIは、大企業・全産業では23.7と3期連続のプラスとなった(前期33.0)。

平成25年度の売上高(全規模・全産業)は前年度比2.4%の増収見通し、経常利益(全規模・全産業)は前年度比12.3%の増益見通しとなった。

設備投資(ソフトウェア含む、土地除く:全規模・全産業)は、平成25年度は前年度比9.1%の増加見通しとなった。業種別にみると、製造業(8.5%)、非製造業(9.4%)ともに増加見通しとなった。製造業では「食料品製造業」「自動車・同附属品製造業」、非製造業では「小売」「建設業」などの寄与度が高かった。

【参考】<月例経済報告>平成25年9月(平成25年9月13日)

  • 景気は、緩やかに回復しつつある。
    • 輸出は、このところ持ち直しの動きが緩やかになっている。生産は、緩やかに増加している。
    • 企業収益は、大企業を中心に改善している。設備投資は、非製造業を中心に持ち直しの動きがみられる。
    • 企業の業況判断は、改善している。
    • 雇用情勢は、改善している。
    • 個人消費は、持ち直し傾向にある。
    • 物価の動向を総合してみると、デフレ状況ではなくなりつつある。
  • 先行きについては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、家計所得や投資の増加傾向が続き、景気回復の動きが確かなものとなることが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
9月6日
(7月分)
9月19日
(7月分)
9月12日
(7月分)
9月9日
(8月分)
9月11日
(7-9月期)
10月7日
(8月分)
10月21日
(8月分)
10月10日
(8月分)
10月10日
(9月分)
 
11月7日
(9月分)
11月19日
(9月分)
11月13日
(9月分)
11月12日
(10月分)
 

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

国民経済計算(GDP統計)公表予定はこちらから


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