ESRI通信 第64号

平成25年12月13日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

経済社会総合研究所景気統計部では、景気動向に関する統計を作成・公表している。本稿では、当部で実施している2つの統計調査について触れたい(注1)

現在8,400世帯を対象に行っている「消費動向調査」は、消費者マインドを表す「消費者態度指数」や「消費者が予想する1年後の物価の見通し」で知られている。ESRI通信昨年9月号巻頭言では、本調査を今年4月から郵送調査に移行する旨紹介した(注2)。統計調査を調査員の訪問を伴わない形に改める場合には一般的に回答率の低下等が懸念されるところだが、本調査では郵送調査以降後半年を経過した現時点で有効回答率が7割程度となっている。消費者マインドや予想物価上昇率への関心が一層高まっている中で、引き続き安定した回収数を確保できていると言える。

「機械受注統計調査」は、機械製造業者の受注する設備用機械類の受注動向を調査集計し発表するものである。280社ベース(1987年度以降)の対象企業から、毎月の受注実績と4半期毎の受注見通しをご報告いただいている。このうち、船舶・電力を除く民需の受注額は、民間企業設備投資の先行指標として特に注目されている(注3)

四半期値でみると、直近の2013年7-9月期の船舶・電力を除く民需の受注額(季節調整値)は2兆3986億円で前期比+4.3%となっており、4-6月期の+6.8%に続き、2四半期連続の前期比プラスとなっている(図1、棒グラフ)。内訳をみると、製造業については、2011年10-12月期以降、6四半期にわたって前期比マイナスを続けた後、2013年4-6月期+5.6%、7-9月期+9.8%と2四半期連続で比較的高い伸びになっている。非製造業(船舶・電力を除く)については本年4-6月期に+12.5%と高い伸びを記録した後、7-9月期は△4.1%となっている。リーマンショックに伴う受注額の落ち込みを経て、船舶・電力を除く民需でみた機械受注額は足元緩やかな増加傾向がみられる状況となっている(注4)

調査対象企業からは、受注額の数字のみならず、海外マーケットの重要性の高まりなどに関するナマの声をきく機会も多い。実際のところ、船舶・電力を除く民需に対する外需の比率は中長期的に高まってきており、我が国経済を巡る大きな環境変化が見て取れる(図1、折れ線グラフ)。本調査は、調査客体企業がグローバル化をはじめとする大きな環境変化に果敢に対応してきた軌跡の集計値とも言えるだろう。

(図1)機械受注額の推移

(備考)

  1. 内閣府「機械受注統計」より作成。
  2. 現在の機械受注統計には「携帯電話」は含まれない。2005年3月以前については「携帯電話」を除いた系列を算出できないため、本グラフ中1988年~2005年の値は参考扱いである。
  3. 2013年1-3,4-6,7-9のデータについては、季節調整値を4倍している。

また、調査対象企業からは、需要者からの納期に対する要望がタイトになってきていることなどもしばしば聞くところである。こうした中で、機械受注の民間設備投資に対する先行性が弱まっているのではないかというような見方もある。しかしながら、例えば、製造業においては、2四半期(6か月)をピークとする先行性が最近のデータからも観察される(図2)。製造業の設備投資額は、2012年4-6月期以降、本年7-9月期まで6四半期にわたって前期比マイナスを続けているところだが、本年4-6月期からの製造業機械受注額の伸びは、今後の設備投資額にも反映されるものと考えられる。

(図2)機械受注製造業と法人季報設備投資製造業

(備考)

  1. 内閣府「機械受注統計」、財務省「法人企業統計」より作成。
  2. 現在の機械受注統計には「携帯電話」は含まれない。2005年3月以前については「携帯電話」を除いた系列を算出できないため、本グラフ中、機械受注についての1987年第2四半期~2005年第1四半期の値は参考扱いである。

以上、当部の統計調査は、各世帯・各企業の皆様のご協力の賜物であり、改めて厚く御礼申し上げたい。

平成25年12月

  • 内閣府経済社会総合研究所
    景気統計部長 中垣 陽子
  • 注1) 当部で作成・公表する統計は、本稿で触れたものに加えて以下のとおり。
    • 統計調査: 法人企業景気予測調査(年4回、財務省と共管)
      企業行動に関するアンケート調査(年1回)
    • 加工統計: 景気動向指数(毎月)
      同指数をめぐる最近の動きについては、佐合・横山「景気動向指数研究会について」『Economic & Social Research』、No.3、2013年12月、p.21-22も参照されたい。
  • 注2) 平成24年度までは訪問留置調査にて実施。平成25年度からは郵送調査に移行したが、調査1か月目の新規世帯に対しては、調査員が調査対象世帯を訪問して調査依頼・調査票配布・調査票回収を行っている。
  • 注3) 船舶・電力の受注は、景気局面との対応性が薄く、不規則かつ多額であり、懐妊期間が長いものも多いと考えられる。このため、自律的な設備投資の動向をうかがうべく、「船舶・電力を除く民需」等、これらを除く項目を特に設けてある。
  • 注4) 本年12月11日に公表した2013年10月の船舶・電力を除く民需の機械受注額季節調整値は8,072億円、前月差は+0.6%。

【経済社会総合研究所からのお知らせ】

季刊「Economic & Social Research (ESR) No.3 2013年(冬号)」を発刊しました。(平成25年12月5日)


【最新の研究発表】

  • 大学教育の質のリターン:大学選択は将来の賃金に影響を及ぼすか (中室 牧子、乾 友彦)を掲載しました。(平成25年11月)(本文は英語)

    本研究は、大学教育の質が個人の卒後の賃金に与える因果的な効果を計測することを目的とする。もし大学の質が重要ならば、どのような大学が労働市場で高く評価される人を育てるのだろうか。米国で行われた研究では、小規模で、私立、博士課程を持ち、経験のある教員に対して高い給与を支払っている大学が、卒業生の賃金が高い傾向にあるという。こうした先行研究に倣い、本研究では、わが国の大規模な一卵性双生児のデータと、偏差値データおよび学校基本調査(文部科学省)の学校別データを用いて、先のような問題意識に答えることを試みた。その結果、遺伝的な能力や家庭環境などの個人の観察不可能な要因をコントロールすると、いくつかの推計では、専任教員の構成(生徒対専任教員比率など)が統計的に有意になるという結果を得ているものの、総じてみれば、大学の質は賃金に影響を与えていないことが明らかになった。

<報告書の掲載>


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<議事録の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>平成25年10月速報(平成25年12月6日)

10 月のCI(速報値・平成22 年=100)は、先行指数:109.9、一致指数:109.6、遅行指数:113.1となった。

  • 先行指数は、前月と比較して0.7ポイント上昇し、2か月連続の上昇となった。3か月後方移動平均は0.66ポイント上昇し、2か月連続の上昇、7か月後方移動平均は0.48ポイント上昇し、10か月連続の上昇となった。
  • 一致指数は、前月と比較して1.2ポイント上昇し、2か月連続の上昇となった。3か月後方移動平均は0.63ポイント上昇し、11か月連続の上昇、7か月後方移動平均は0.66ポイント上昇し、9か月連続の上昇となった。
  • 遅行指数は、前月と比較して0.9ポイント下降し、9か月ぶりの下降となった。3か月後方移動平均は保合となり、7か月後方移動平均は0.45ポイント上昇し、13か月連続の上昇となった。

一致指数の基調判断

  • 景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>平成25年10月実績(平成25年12月11日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、25年9月前月比13.2%増の後、10月は同4.6%減の2兆2,896億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、25年9月前月比2.1%減の後、10月は同0.6%増の8,072億円となった。このうち、製造業は同0.2%減の3,338億円、非製造業(除く船舶・電力)は同11.5%増の5,095億円となった。

<消費動向調査>平成25年11月調査(平成25年12月10日)

  • 平成25年11月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、10月の41.2から1.3ポイント上昇して42.5となり、2か月ぶりに前月を上回った。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標のうち、「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」は上昇した一方、「耐久消費財の買い時判断」は低下した。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は89.2%、「変わらない」と思うとの回答割合は4.9%と、ともに前月から減少した。一方、「低下する」と思うとの回答割合は3.5%と前月から横ばいとなった。

<法人企業景気予測調査>平成25年10-12月期調査(平成25年12月10日)

平成25年10-12月期の「貴社の景況判断」BSIを見ると、大企業・全産業は調査開始(平成16年4-6月期)以降最高だった前回調査(12.0)に続き4期連続のプラス(8.3)となった。業種別にみると、製造業は「化学工業」「生産用機械器具製造業」などを中心にプラス(9.7)となり、非製造業は「卸売業」「サービス業」などを中心にプラス(7.5)となった。中堅企業も調査開始以降最高となる前回調査(9.6)に続き3期連続のプラス(6.3)となった。中小企業は前回調査(8.7)よりマイナス幅が縮小し、調査開始以降最高(0.1)となった(中小企業は調査開始以降プラスとなったことがない)。
先行き(1-3月期、4-6月期)を全産業でみると、大企業、中堅企業は1-3月期までプラスで推移した後、4-6月期はマイナスに転化する見通しとなり、中小企業はマイナスで推移する見通しとなった。

平成25年10-12月期の「国内の景況判断」BSIは、大企業・全産業では24.6と4期連続のプラスとなった(前期23.7)。

平成25年度の売上高(全規模・全産業)は前年度比3.3%の増収見通し、経常利益(全規模・全産業)は前年度比15.1%の増益見通しとなった。

平成25年度の設備投資(ソフトウェア含む、土地除く:全規模・全産業)見通しは、調査開始以来最高の11.5%増となった。業種別にみると、製造業は「情報通信機械器具製造業」「自動車・同附属品製造業」などを中心にプラス(8.7%)となり、非製造業は「建設業」「小売業」などを中心にプラス(13.2%)となった。

【参考】<月例経済報告>平成25年11月(平成25年11月22日)

  • 景気は、緩やかに回復しつつある。
    • 輸出は、このところ弱含んでいる。生産は、緩やかに増加している。
    • 企業収益は、大企業を中心に改善が進んでいる。設備投資は、非製造業を中心に持ち直しの動きがみられる。
    • 企業の業況判断は、さらに改善している。
    • 雇用情勢は、改善している。
    • 個人消費は、持ち直し傾向にある。
    • 物価の動向を総合してみると、デフレ状況ではなくなりつつある。
  • 先行きについては、輸出が持ち直しに向かい、各種政策の効果が発現するなかで、家計所得や投資の増加傾向が続き、景気回復の動きが確かなものとなることが期待される。また、消費税率引上げに伴う駆け込み需要も見込まれる。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
12月6日
(10月分)
12月19日
(10月分)
12月11日
(10月分)
12月10日
(11月分)
12月10日
(10-12月期)
1月10日
(11月分)
1月22日
(11月分)
1月16日
(11月分)
1月17日
(12月分)
 
2月7日
(12月分)
2月19日
(12月分)
2月12日
(12月分)
2月10日
(1月分)
 

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

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