ESRI通信 第65号

平成26年1月21日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【巻頭言】

昨年の7月からESRIに勤務しています。それ以前は厚生労働省や地方自治体で、政策の立案や実行という典型的な役所の仕事をしてきました。研究をする立場になって、行政官と研究者の数字や研究への立ち位置の違いを感じています。

行政官が数字や研究に関心をもつのは、第一に自らの行政対象の実態の把握のためです。中央省庁で仕事をするときは各種の統計で現状を把握できることが当然だと思っていましたが、地方自治体に勤務したときは使用に耐える統計が少なく、政策立案にも議会答弁にも不自由しました。統計のありがたさを痛感しました。

第二に、政策の企画立案のための課題や政策効果を把握するための数字や研究の活用があります。この段階では、行政の仕事は研究者の仕事に近いところにあります。広く知識や真理を求め、その他もろもろの事情も勘案し次の一手を考えます。

第三に、いったんとるべき政策の方向がきまれば、根拠となる数字や研究を説明材料として説得力をもつように整理します。この段階では数字も研究も政策実現のための道具であり、「使える」かどうかが判断基準になります。

行政官にとっては、数字は役に立つだけでなくリスクでもあります。個人的には休日の新聞記事によい思い出はありません。根拠のない数字の一人歩きや研究と称するものによる誤解には泣かされます。

一方研究者にとっては、数字はまずはメシのタネ。データなくしては研究は成り立たず、行政官以上にデータ依存度は高いかもしれません。ちなみに労働経済学ではプロ野球とプロゴルフの研究が多いのだそうですが、これは研究者が野球好き、ゴルフ好きかどうかによるものではなく、業績や賃金に関するデータが豊富で入手しやすいことによるものだと聞いたことがあります。これと反対に、政策的に重要な課題でもデータがないと研究対象にならない、ということも起こります。以前に勤務したS県の労働局で地域の労働市場の研究者を探したのですが、おそらくはデータがないためか、不首尾に終わりました。

また、研究者の立場は中立であり、思い切った政策の評価もでき、行政担当者ほど政策への直接の影響力はないものの、発言の自由度が高いといえます。

さらに、研究者は行政官と違い、数字で現状を把握するだけではなく、分析をして研究結果を出してはじめて仕事をしたことになります。私にとっては新鮮ですが一番苦労するところです。一歩ずつ取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

平成26年1月

  • 内閣府経済社会総合研究所
    総括政策研究官 麻田 千穂子

【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>平成25年11月速報(平成26年1月10日)

11月のCI(速報値・平成22 年=100)は、先行指数:110.8、一致指数:110.5、遅行指数:114.7となった。

  • 先行指数は、前月と比較して1.0 ポイント上昇し、3か月連続の上昇となった。3か月後方移動平均は1.27 ポイント上昇し、3か月連続の上昇、7か月後方移動平均は0.41 ポイント上昇し、11 か月連続の上昇となった。
  • 一致指数は、前月と比較して0.1 ポイント上昇し、3か月連続の上昇となった。3か月後方移動平均は0.90 ポイント上昇し、12 か月連続の上昇、7か月後方移動平均は0.66 ポイント上昇し、10 か月連続の上昇となった。
  • 遅行指数は、前月と比較して1.8 ポイント上昇し、3か月ぶりの上昇となった。3か月後方移動平均は0.33 ポイント上昇し、10 か月連続の上昇、7か月後方移動平均は0.68 ポイント上昇し、14 か月連続の上昇となった。

一致指数の基調判断

  • 景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>平成25年11月実績(平成26年1月16日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、25年10月前月比4.6%減の後、11月は同5.8%減の2兆1,573億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、25年10月前月比0.6%増の後、11月は同9.3%増の8,826億円となった。このうち、製造業は同6.0%増の3,537億円、非製造業(除く船舶・電力)は同8.1%増の5,506億円となった。

<消費動向調査>平成25年12月調査(平成26年1月17日)

  • 平成25年12月の一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、11月の42.5から1.2ポイント低下して41.3となり、2か月ぶりに前月を下回った。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標のうち、「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」は低下した一方、「雇用環境」は上昇した。
  • 消費者(一般世帯)を対象に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は88.4%と前月から減少した。一方、「低下する」と思うとの回答割合は3.8%、「変わらない」と思うとの回答割合は5.6%と、ともに前月から増加した。

【参考】<月例経済報告>平成26年1月(平成26年1月17日)

景気は、緩やかに回復している。

    • 輸出は、このところ弱含んでいる。生産は、緩やかに増加している。
    • 企業収益は、改善している。設備投資は、持ち直している。
    • 企業の業況判断は、幅広く改善している。
    • 雇用情勢は、改善している。
    • 個人消費は、一部に消費税率引上げに伴う駆け込み需要もみられ、増加している。
    • 物価は、底堅く推移している。

先行きについては、輸出が持ち直しに向かい、各種政策の効果が下支えするなかで、家計所得や投資が増加し、景気の回復基調が続くことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、消費税率引上げに伴う駆け込み需要及びその反動が見込まれる。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
1月10日
(11月分)
1月22日
(11月分)
1月16日
(11月分)
1月17日
(12月分)
 
2月7日
(12月分)
2月19日
(12月分)
2月12日
(12月分)
2月10日
(1月分)
 
3月7日
(1月分)
3月19日
(1月分)
3月13日
(1月分)
3月12日
(2月分)
3月12日
(1-3月期)

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

国民経済計算(GDP統計)公表予定はこちらから


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