ESRI通信 第71号

平成26年7月14日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【ワイルドを楽しもう】

世界に例を見ぬスピードでの高齢化の進展。2050年ごろの高齢化率は40%近くになり、生産年齢人口も大幅に減少するという。今後、現在の6割以上もの居住地域で人口が半分以下になり、当面人口が増加する東京圏でもやがて人口は減少に転じ、高齢化が進展すると見られている。現状のまま何もしなければ、やがて地方圏を中心に4分の1以上の地方自治体で行政機能の発揮が困難になるとの分析は、衝撃的ですらある。

社会構造の変化の中で、さらに付加価値を高め、社会経済の新たな展開を図ることが求められているとしたら、従来型のソリューションを超え、ある種の不連続面を形成する、何事にも挑戦する姿勢が重要だ。しかしそれには、時として従来の常識を越えなければならないだろう。それを恐れず楽しむこと。

「大きいことはいいことだ!」とのテレビCMが一世を風靡した時代は、今は昔。労働人口の減少等、投入可能資源が減少する社会では、「規模の経済」から身近な圏内における社会的・経済的活動に注目する「距離の経済」が重視され、その場所ならではのストック、意味あいを発掘、創造し利活用する、「場所性」、場所(へ)のアイデンティティが重視される。

既に各地ではこうした状況を見据え、地場産業の育成等、従来とは一味違う試みが始まっている。3Dプリンタによる多品種少量生産には、従来のビジネスモデルを根本的に変える可能性すらある。2027年、リニア新幹線が開業し、東京・名古屋間が40分で結ばれる。最早、東京圏、名古屋圏というゾーンではなく、リニア新幹線で結ばれた区間は、一つの圏内として論ずることすら可能になるだろう。このような状況変化に対応した「場所性」の追及による新たな地域の魅力の創造。

そのためには、さまざまな価値の融合に基づく新しい発想、時に従来の思考の地平を超えるワイルドな発想をスマートに楽しむことが必要だろう。

ディアマンディス等が提唱した「潤沢のピラミッド」によれば、食糧、水、住居といった、生存に必須のインフラが基層。エネルギー、教育機会、通信と情報へのアクセスといった、更なる成長を促す第2層の上に、個人が社会に貢献するために特に不可欠な自由と健康が位置づけられる。この考え方を踏まえれば、研究開発活動は第2層に属し、基層を確実なものとし、さらに最上層、すなわち未来創造のために不可欠なベースを形成する。このベース形成の中心となる、ワイルドを楽しむスマートなイノベーターの出現が待望される。

平成26年7月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    総括政策研究官 村田 貴司

【最新の研究発表】

<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>平成26年5月速報(平成26年7月7日)

5月のCI(速報値・平成22年=100)は、先行指数:105.7、一致指数:111.1、遅行指数:117.7となった。

  • 先行指数は、前月と比較して0.8ポイント下降し、4か月連続の下降となった。3か月後方移動平均は1.04ポイント下降し、4か月連続の下降、7か月後方移動平均は0.70ポイント下降し、3か月連続の下降となった。
  • 一致指数は、前月と比較して横ばいとなった。3か月後方移動平均は0.67 ポイント下降し、2か月連続の下降、7か月後方移動平均は0.05 ポイント上昇し、16か月連続の上昇となった。
  • 遅行指数は、前月と比較して0.5ポイント下降し、2か月連続の下降となった。3か月後方移動平均は0.04ポイント上昇し、15か月連続の上昇、7か月後方移動平均は0.74ポイント上昇し、49か月連続の上昇となった。

一致指数の基調判断

  • 景気動向指数(CI一致指数)は、足踏みを示している。

<機械受注統計調査報告>平成26年5月実績(平成26年7月10日)

  • 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、26年4月前月比34.8%増の後、5月は同30.5%減の2兆1,735億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、26年4月前月比9.1%減の後、5月は同19.5%減の6,853億円となった。このうち、製造業は同18.6%減の2,835億円、非製造業(除く船舶・電力)は同17.8%減の4,270億円となった。

<消費動向調査>平成26年6月調査(平成26年7月10日)

  • 平成26年6月の一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は、5月の39.3から1.8ポイント上昇して41.1となり、2か月連続で前月を上回った。消費者態度指数を構成する4つの意識指標(「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」)全てが上昇した。
  • 消費者(一般世帯)に、世帯として「日頃よく購入する品物」の価格について1年後の見通しを調査したところ、「上昇する」と思うとの回答割合は前月と同じ83.3%、「低下する」と思うとの回答割合は3.7%と前月から低下、「変わらない」と思うとの回答割合は10.3%と前月から増加した。

【参考】<月例経済報告>平成26年6月(平成26年6月20日)

景気は、緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる。

    • 個人消費は、引き続き弱めとなっているが、一部に持ち直しの動きもみられる。
    • 設備投資は、増加している。
    • 輸出は、横ばいとなっている。
    • 生産は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動の影響もあって、このところ弱含んでいる。
    • 企業収益は、改善している。企業の業況判断は、このところ慎重となっているが、先行きは改善がみられる。
    • 雇用情勢は、着実に改善している。
    • 消費者物価は、緩やかに上昇している。

先行きについては、当面、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動により弱さが残るものの、次第にその影響が薄れ、各種政策の効果が発現するなかで、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査
7月7日
(5月分)
7月22日
(5月分)
7月10日
(5月分)
7月10日
(6月分)
 
8月6日
(6月分)
8月19日
(6月分)
8月14日
(6月分)
8月11日
(7月分)
 
9月5日
(7月分)
9月19日
(7月分)
9月10日
(7月分)
9月9日
(8月分)
9月11日
(7-9月期)

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

国民経済計算(GDP統計)公表予定はこちらから


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