ESRI通信 第91号

平成28年3月17日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【ESRIのホームページについて】

経済社会総合研究所では、情報発信・広報活動を行うため、ホームページを開設している。これまで、高齢者などに配慮したアクセシビリティ対応などを行ってきているが、昨年12月にはトップページなどの一部改訂を行い、掲載情報へのアクセスの改善などを図ったところである。

いうまでもなく、インターネットの普及拡大により、ホームページは個人も含め多方面で利用されている。行政機関においても、社会・経済活動に有益な蓄積情報を提供するとともに、迅速な情報発信の手段として、また、国民の行政手続きや意見を受け付ける窓口などとして積極的に活用されている。

現在当研究所のホームページに掲載している内容は、GDP統計をはじめとする国民経済計算、景気動向指数など各方面の関心の高い統計情報をはじめ、研究所の論文や海外の研究者、関連研究所などとの研究交流の成果に加え、シンポジウムなどの開催情報の告知や参加者募集の手段としても活用している。

最近の利用状況をみると、月に26万件以上のアクセス1があり、四半期別GDP速報(2015年10-12月期・1次速報)の公表については、発表の当日で7千件以上のアクセスがあった。

なお、統計情報の公表については、予め告知した公表日時に迅速かつ正確に掲載するとともに、希望者に対しては、新着の掲載情報を電子メールで配信しその周知を図っている。

今後更に研究所の活動などをより多くの方に理解して頂くためには、ホームページの果たす役割は益々大きくなるものと考えられる。このため、一般の国民、大学などの研究者、企業関係者、学生などホームページの幅広い利用者が求めている多様な情報に即した掲載内容の充実が課題である。

また、情報技術は日々進展しており、閲覧に利用する機器も最近ではタブレットやスマートフォンなども多く使用されており、Webを取り巻く状況変化を踏まえた、利用しやすい形態での情報提供に努めることも必要である。

政府においては、昨年3月、「Webサイト等による行政情報の提供・利用促進に関する基本的指針」を決定し、「時宜を得た情報提供、わかりやすさと利便性の向上」などの方針が示されており、当研究所においても、その方針に沿い、今後、更なるホームページの改訂を進めていくこととしている。

利用者にわかりやすく、利用しやすいホームページを提供するためにも、皆様のご意見・ご要望などを「御意見・御感想」https://form.cao.go.jp/esri/opinion-0002.htmlからお寄せくださるようお願いしたい。

平成28年3月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    情報研究交流部長 小川 尚良

1アクセス数は、ESRIホームページ(http://www.esri.go.jp/)のサイト全体及び経済社会総合研究所で作成している統計を掲載しているサイト全体(http://www.esri.cao.go.jp/)のユニークユーザ(UU)数。ユニークユーザとは、一定の期間内にWebサイトを訪れた重複のないユーザ数をカウントする単位のこと。


【研究紹介】

「災害リスク情報と不動産市場のヘドニック分析」の概要

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    研究官 田中 陽三

内閣府経済社会総合研究所の防災ユニットでは、巨大災害が発生した場合の経済への影響等、防災・減災政策のあり方に関する様々な研究を行っている。ここでは本年2月にとりまとめた研究成果1について紹介したい。これは、公示地価等の不動産市場データと、地震動超過確率等の災害リスク情報を用いてヘドニック分析を行い、災害リスク情報が不動産市場に与える影響を実証的に検証したものである。

ヘドニック分析は、ある商品価格をさまざまな属性(性能や機能)の価値の集合体とみなすことで、回帰分析のテクニックを利用し、各属性の商品価格への貢献度を推定する経済学の手法である。都市経済学においては、地価や住宅価格などを被説明変数とし、その価格形成に影響していると考えられる不動産の持つさまざまな属性を説明変数とする市場価格関数を推定することで、不動産の持つ属性の価格形成における貢献度を評価することに用いられている。

ここでは、被説明変数として、日本全国の公示地価2、不動産取引価格(宅地)3、株式会社ネクストより提供いただいた不動産・住宅情報サイト『HOME'S』掲載の家賃情報の三つのデータを用意し、説明変数として、確率論的地震動予測地図4の地震動超過確率(今後30年以内に震度6強以上の揺れに見舞われる確率)、浸水想定区域2の計画降雨の再現期間から計算した床上浸水確率(今後30年以内に床上浸水に見舞われる確率)、土砂災害危険個所2の有無から計算した土砂災害確率(今後30年以内に土砂災害に見舞われる確率)の三つのハザード確率の他、容積率や前面道路ダミー等の属性情報を用いてヘドニック分析を行った。

結果の一例として、地震動超過確率や床上浸水確率そのものを説明変数とした場合には、公示地価に有意な関係性は見られなかったが、確率50%以上の地点に限定した場合には、公示地価が低くなる傾向が見出された。このことは、地震と洪水の災害リスク情報がかなり高くならないと不動産市場は反応しないという関係性を示している。

この結果について、(1)そもそも多くの人々は災害リスク情報を認識していない、(2)人々が災害リスク情報を誤って認識しているため居住選択に影響していない、(3)人々が災害リスク情報を正しく認識しているものの居住選択において気にしていない、など複数の解釈が考えられることから、詳細を把握するためには更なる研究が必要であると考える。


1ESRI Discussion Paper Series No.327「災害リスク情報と不動産市場のヘドニック分析」
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis327/e_dis327.pdf別ウィンドウで開きます。(PDF形式 2.68 MB)

2「国土数値情報」(国土交通省)
http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/index.html別ウィンドウで開きます。

3「土地情報総合システム」(国土交通省)
http://www.land.mlit.go.jp/webland/別ウィンドウで開きます。

4「地震ハザードステーション」(防災科学技術研究所)
http://www.j-shis.bosai.go.jp/別ウィンドウで開きます。


【経済社会総合研究所からのお知らせ】

季刊「Economic & Social Research (ESR) No.12 2016年(春号)」持続可能な経済財政に向けてを発刊しました。(平成28年3月)


【最新の研究発表】

  • 災害リスク情報と不動産市場のヘドニック分析(佐藤 慶一、松浦 広明、田中 陽三、永松 伸吾、大井 昌弘、大原 美保、廣井 悠)を掲載しました。(平成28年2月)

    本稿では、日本全国の公示地価、宅地取引価格、家賃の三つの不動産市場データと、地震動超過確率、床上浸水確率、土砂災害確率の三つの災害リスク情報を収集・整理して、ヘドニック分析による実証分析を行った。データの地点情報の制約により、市区町村単位に集計した災害リスク情報を用いて分析した場合、地震動超過確率については、三つの不動産データのいずれにおいても災害リスクが高い地点で不動産価格が高いという関係性が見られた。計測地点の住所情報が把握できる公示地価データと250mメッシュ単位の災害リスク情報を用いて分析した場合、地震動超過確率や床上浸水確率と公示地価に統計的に有意な関係性は見られなくなった。さらに、それぞれ50%以上のダミー変数を説明変数とした場合、公示地価が低くなる傾向が見出され、不動産市場との関係において災害リスク情報に高い閾値があることが示唆された。これらの災害リスク情報を人々がどのように解釈し居住選択等を行っているのかを把握するためには、更なる研究が必要である。


<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>平成28年1月速報(平成28年3月7日)

1月のCI(速報値・平成22(2010)年=100)は、先行指数:101.4、一致指数:113.8、遅行指数:114.7となった。

  • 先行指数は、前月と比較して0.4 ポイント下降し、3 か月連続の下降となった。3 か月後方移動平均は0.80 ポイント下降し、7 か月連続の下降となった。7 か月後方移動平均は0.75 ポイント下降し、6 か月連続の下降となった。
  • 一致指数は、前月と比較して2.9 ポイント上昇し、3 か月ぶりの上昇となった。3 か月後方移動平均は0.16 ポイント上昇し、2 か月ぶりの上昇となった。7 か月後方移動平均は0.09 ポイント上昇し、3 か月ぶりの上昇となった。
  • 遅行指数は、前月と比較して0.9 ポイント下降し、3 か月ぶりの下降となった。3 か月後方移動平均は0.20 ポイント下降し、3 か月ぶりの下降となった。7 か月後方移動平均は0.11 ポイント下降し、2 か月ぶりの下降となった。

一致指数の基調判断

  • 景気動向指数(CI一致指数)は、足踏みを示している。

<機械受注統計調査報告>平成28年1月実績(平成28年3月14日)

  • 機械受注総額の動向をみると、2015(平成27)年12月前月比1.4%増の後、2016(平成28)年1月は同8.8%減の2兆586億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向をみると、2015(平成27)年12月前月比1.0%増の後、2016(平成28)年1月は同15.0%増の9,347億円となった。このうち、製造業は同41.2%増の4,625億円、非製造業(除く船舶・電力)は同1.0%増の4,818億円となった。

<消費動向調査>平成28年2月調査(平成28年3月8日)

  • 平成28年2月の一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は40.1と前月から2.4ポイント低下し、2か月連続で前月を下回った。消費者態度指数を構成する4つの意識指標全てが前月と比べて低下した。
  • 「日頃よく購入する品物」の1年後の価格の予想は、「低下する」が6.8%(前月差 +0.6%)、「変わらない」が12.9%(同 +1.0%)、「上昇する」が77.4%(同 -1.9%)となった。

<法人企業景気予測調査>平成28年1-3月期調査(平成28年3月11日)

「貴社の景況判断」BSIの平成28年1-3月期(現状判断)をみると、大企業(全産業)は▲3.2%ポイントで3期ぶりに「下降」超に転化、中堅企業(全産業)は▲2.8%ポイントで3期ぶりに「下降」超に転化、中小企業(全産業)は▲16.6%ポイントで8期連続の「下降」超。なお、前回(10-12月期の現状判断:大企業4.6%ポイント、中堅企業3.5%ポイント、中小企業▲7.7%ポイント)と比較していずれも低下。

先行きについてみると、大企業、中堅企業は28年4-6月期「下降」超、7-9月期「上昇」超の見通し。中小企業は4-6月期以降も「下降」超で推移する見通し。

「国内の景況判断」BSIの平成28年1-3月期(現状判断)をみると、大企業(全産業)は▲9.8%ポイントで7期ぶりに「下降」超に転化、前回(10-12月期の現状判断:5.6%ポイント)より低下。

「従業員数判断」BSIの平成28年3月末(現状判断)をみると、大企業(全産業)は14.3%ポイントで19期連続の「不足気味超」であり、前回(12月末の現状判断:13.3%ポイント)より「上昇」超幅が拡大。

平成27年度の売上高(全規模・全産業)は前年度比0.4%の減収見込み、経常利益(全規模・全産業)は同4.8%の増益見込み、設備投資(ソフトウェア含む、土地除く:全規模・全産業)は同8.8%の増加見込み。

平成28年度の年度計画では、売上高は前年度比0.1%の増収見通し、経常利益は同2.4%の減益見通し、設備投資は同6.6%の減少見通し。

<企業行動に関するアンケート調査>平成27年度(平成28年2月26日)

東京、名古屋の証券取引所第一部及び第二部に上場する企業に対し、本年1月にアンケート調査を実施したところ(回答率:42.2%)、以下の結果になった。

  • 【経済成長率見通し】
    • 我が国の実質経済成長率見通しは、「次年度」(平成28年度)では1.1%、「今後3年間」(平成28~30年度平均)、「今後5年間」(平成28~32年度平均)はそれぞれ1.0%、1.1%となった。
    • 名目経済成長率見通しは、「次年度」では1.6%、「今後3年間」では1.5%、「今後5年間」では1.6%となった。
    • 「次年度」、「今後3年間」及び「今後5年間」の名目経済成長率見通しは、いずれも実質経済成長率見通しを3年連続で上回り、企業が物価上昇を見込んでいることが示唆される。
  • 【採算円レート】(輸出を行っている企業のみ調査)
    • 現在の時点で採算のとれる円レートは、103.2円/ドルと前年度調査(99.0円/ドル)から4.2円の円安の水準で、4年連続の円安方向となった。
    • 採算円レートは、調査直前月(平成27年12月)の円レートの121.8円/ドルと比べて18.6円の円高となった。
  • 【海外現地生産】(製造業のみ調査)
    • 海外現地生産比率は、「平成26年度実績」では22.2%と、前年度実績(22.3%)に比べて低下した。「平成27年度実績見込み」では22.7%、「平成32年度見通し」では24.9%と、上昇する見通しとなった。
    • 「平成32年度見通し」において「平成27年度実績見込み」よりも海外現地生産比率が上昇する見通しの企業の割合は、前年度調査52.9%から今年度調査50.7%と、2年連続で減少した。
    • 海外に生産拠点を置く理由では、「現地・進出先近隣国の需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれる」、「労働力コストが低い」などを回答する企業の割合が高い。前年度調査と比べると、「労働力コストが低い」などの構成比が低下した。

【参考】<月例経済報告>平成28年2月(平成28年2月25日)

景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。

    • 個人消費は、総じてみれば底堅い動きとなっている。
    • 設備投資は、おおむね横ばいとなっている。
    • 輸出は、弱含んでいる。
    • 生産は、このところ横ばいとなっている。
    • 企業収益は、改善している。企業の業況判断は、一部に慎重さがみられるものの、おおむね横ばいとなっている。
    • 雇用情勢は、改善している。
    • 消費者物価は、緩やかに上昇している。

先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある。こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査(四半期)
3月7日
(1月分)
3月25日
(1月分)
3月14日
(1月分)
4月8日
(3月分)
3月11日
(1-3月期)
4月6日
(2月分)
4月25日
(2月分)
4月11日
(2月分)
5月9日
(4月分)
 
5月11日
(3月分)
5月下旬
(3月分)
5月19日
(3月分)
6月2日
(5月分)
 

「企業行動に関するアンケート調査」は毎年2月下旬~3月上旬に公表予定

国民経済計算(GDP統計)公表予定はこちらから


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