ESRI通信 第117号

平成30年5月24日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【専門家と国民一般の橋渡し】

本通信の「巻頭」での数多の言及が示すように、EBPMの考え方は我が国の政策策定の場における常識になった。政策が科学的(ないし実証的)根拠に基づいて策定されるべきことは、現代社会において反論の余地のない正論であり、それを可能にする体制(統計等を含む)の整備は喫緊の課題である。

ただ、社会経済分野の課題では、科学的手続きを踏む努力を最大限に行っても「1つの分析結果が万人に真理として受容されることは希である」ため、経済政策の企画・立案は現実において、個別(単独)の科学的分析の結果よりも、専門家/有識者や国民一般のコンセンサスに基づいて立案されることになる。

ESRIのマクロ経済分析ユニットでは、こうした考えの下、マクロ政策の主要論点に係る国民一般、及び専門家の認識の有り様を把握するため、「日本経済と経済政策に係る国民一般及び専門家の認識と背景に関する調査」を実施し、その概要を公表した。調査の詳細や、個別の設問への回答状況の興味深い結果はESRI機関誌『経済分析』第197号(http://www.esri.go.jp/jp/archive/bun/bun197/bun197g.pdf別ウィンドウで開きます。(PDF形式 4.75 MB))を参照して頂きたいが、見出された知見を大括りにすれば、

  • ✓ 日本経済の現状とマクロ経済政策の効果に係る日本経済の専門家の認識は、経済成長や格差への認識、また政策の選択等、少なからぬ点で、国民一般のそれとは体系的に乖離していること、
  • ✓ 認識のバラつきは専門家の間でも見られるものの、一部の例外的項目を除き、学歴や所属機関等に結びついた体系的な分断は生じておらず、専門家の間には一定のコンセンサスが存在していること、

等が浮き彫りになった。

国民一般と専門家の認識の乖離の要因についてはより詳細な分析が求められるが、専門家の間でコンセンサスの形成が進んでいるにもかかわらず、それについて国民一般からの理解(ないし支持)が得られていないという事実は、自らの知見の流布に関する専門家サイドの努力不足を示唆するものと言えよう。

「専門家のコンセンサス(知見)」を「科学的な政策評価」に置き換えて考えれば、こうした問題は、EBPMの考えに基づいて実証データと分析の蓄積が進んだ状況でも同様に生じると考えられる。正論たるEBPMの実効性ある推進には、政策策定に資するデータと分析の蓄積に止まらず、その成果を国民一般に理解してもらう努力が必要になる。ESRIの有する「専門家と国民一般の橋渡し」の機能は、今後ますます重要になっていくだろう。

平成30年5月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    上席主任研究官 堀 雅博

【経済社会総合研究所からのお知らせ】

  • 消費者マインドアンケート(試行)の6月分の実施

    内閣府経済社会総合研究所景気統計部では、消費者の皆さまの「暮らし向き」や「物価の見通し」について、「だれでも」「自由に」回答できるアンケート調査(試行)を行っております。当面毎月20日を締切として調査を行っています。初めてご回答される方も、2回目以上のご回答の方も大歓迎です。質問の数も少なく、ごく簡単なものですので、ぜひ毎月(1回)ご協力ください。

    (URL:http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/open_chosa/open_chosa.html


【最新の研究発表】

<報告書の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>平成30年3月速報(平成30年5月9日)

3月のCI(速報値・平成22(2010)年=100)は、先行指数:105.0、一致指数:116.4、遅行指数:118.0となった。

  • 先行指数は、前月と比較して0.9ポイント下降し、2か月ぶりの下降となった。3か月後方移動平均は0.54ポイント下降し、3か月連続の下降となった。7か月後方移動平均は0.18ポイント下降し、20か月ぶりの下降となった。
  • 一致指数は、前月と比較して0.4ポイント上昇し、2か月連続の上昇となった。3か月後方移動平均は0.87ポイント下降し、3か月連続の下降となった。7か月後方移動平均は0.12ポイント下降し、2か月ぶりの下降となった。
  • 遅行指数は、前月と比較して0.4ポイント下降し、8か月ぶりの下降となった。3か月後方移動平均は0.06ポイント上昇し、8か月連続の上昇となった。7か月後方移動平均は0.37ポイント上昇し、16か月連続の上昇となった。

一致指数の基調判断

  • 景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>平成30年3月実績および平成30年4~6月見通し(平成30年5月17日)

  • 機械受注総額の動向をみると、2018(平成30)年2月前月比2.3%減の後、3月は同7.9%減の2兆2,280億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向をみると、2018(平成30)年2月前月比2.1%増の後、3月は同3.9%減の8,566億円となった。このうち、製造業は同17.5%減の3,650億円、非製造業(除く船舶・電力)は同2.2%増の4,759億円となった。
  • 1~3月をみると、受注総額は前期比5.3%減の7兆1,213億円となった。また、「船舶・電力を除く民需」は同3.3%増の2兆6,198億円、製造業は同2.5%増の1兆2,168億円、非製造業(除く船舶・電力)は同3.4%増の1兆4,070億円となった。
  • 2018(平成30)年4~6月見通しをみると、受注総額は前期比9.9%増の7兆8,248億円の見通しになっている。また、「船舶・電力を除く民需」は同7.1%増の2兆8,068億円、製造業は同9.9%増の1兆3,368億円、非製造業(除く船舶・電力)は同3.7%増の1兆4,586億円の見通しになっている。
  • 2017(平成29)年度実績をみると、受注総額は前年度比6.3%増の28兆4,769億円になっている。また、「船舶・電力を除く民需」は同0.8%減の10兆1,480億円、製造業は同9.2%増の 4兆6,056億円、非製造業(除く船舶・電力)は同7.8%減の5兆5,644億円になっている。

<消費動向調査>平成30年4月調査(平成30年5月2日)

  • 平成30年4月の消費者態度指数(二人以上の世帯、季節調整値)は、3月の44.3から0.7ポイント低下して43.6となり、2か月ぶりに前月を下回った。消費者態度指数を構成する4項目全てが前月から低下した。
  • 「日頃よく購入する品物」の1年後の価格の予想(二人以上の世帯)は、「低下する」が2.9%(前月差 -0.7%)、「変わらない」が11.9%(同 -0.2%)、「上昇する」が82.3%(同 +2.5%)となった。

【参考】<月例経済報告>平成30年5月(平成30年5月23日)

景気は、緩やかに回復している。

    • 個人消費は、持ち直している。
    • 設備投資は、緩やかに増加している。
    • 輸出は、持ち直している。
    • 生産は、緩やかに増加している。
    • 企業収益は、改善している。企業の業況判断は、改善している。
    • 雇用情勢は、着実に改善している。
    • 消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査(四半期)
平成30年 6月 7日
(4月分)
平成30年 5月24日
(3月分)
平成30年 6月11日
(4月分)
平成30年 5月30日
(5月分)
平成30年 6月12日
(4–6月期)
7月 6日
(5月分)
6月25日
(4月分)
7月11日
(5月分)
6月29日
(6月分)
9月12日
(7–9月期)
8月 7日
(6月分)
7月24日
(5月分)
8月 9日
(6月分)
7月31日
(7月分)
12月11日
(10–12月期)
9月 7日
(7月分)
8月23日
(6月分)
9月13日
(7月分)
8月29日
(8月分)

「企業行動に関するアンケート調査」は例年2月下旬~3月上旬に公表

 (平成29年度調査の公表日: 平成30年3月2日)

国民経済計算(GDP統計)公表予定はこちらから


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