ESRI通信 第119号

平成30年7月20日
内閣府経済社会総合研究所 発行
Cabinet Office, Government of Japan
Economic and Social Research Institute

【シェアリング・エコノミーに対する経済学研究者の見方やいかに?】

私が担当する新分野ユニットでは民泊をはじめとするシェアリング・エコノミーの把握とGDP統計への取り込みに関する研究を進めている。6月上旬に兵庫県立大学において開催された日本経済学会春季大会にて中間報告的に学会発表をしてきたところ、参加された研究者よりいくつかコメントをちょうだいし、また、今後の方向性などに関する見方がいろいろと示された。これらを紹介し、巻頭言に代えたい。

第1に、シェアリング・エコノミーのカテゴリーからは外れるが、デジタル経済の進展につれてインターネット上において無償で提供されるサービスが出現している。具体的には、検索エンジン、動画配信、SNSなどであり、これらから得られる便益はGDPの概念からは外れるとの認識は、当然ながら、研究者の間で共有されている。他方、消費者余剰でこれらサービスの便益を測ろうとする研究成果があり、国民の経済的な厚生向上の観点から一定の評価をする意見も聞かれた。第2に、シェアリング・エコノミーの大きな特徴のひとつは、従来型のB to C取引ではなく、C to C取引をプラットフォーム企業が仲介する、という点にあるが、現在の1次統計では必ずしもC to C取引が十分に把握されているわけではなく、従って、この基礎統計の欠如からGDP統計にシェアリング・エコノミーの経済活動が十分反映されているとは言えないとのコメントもいただいた。まさにこの認識が今般の統計改革においてシェアリング・エコノミー把握の研究を行う基礎となっている。第3に、C to C取引で特徴づけられるシェアリング・エコノミーのサービス提供元となっている家計について、その活動・機能に関する将来の方向性を考えると、利潤極大化原理に基づく行動を取る企業、あるいは、これに類似した形に発展するケースがあるのは当然であるが、他方、シェアリングを通じた絆などの人的関係や何らかの共同経験などを重視するケースについても無視できない比重を持つと考えられる。前者は統計的な捕捉が困難ではなくなる可能性が大きいが、後者については幅広い意味でのソーシャル・キャピタルの一部をなしつつある、との見方が示された。

繰り返しになるものの、新分野ユニットではシェアリング・エコノミーの統計的な捕捉に関する研究を進めているが、より幅広い観点から、シェアリング・エコノミーは今後も目が離せない経済活動である。

平成30年7月

  • 内閣府 経済社会総合研究所
    上席主任研究官 吉岡 真史

【経済社会総合研究所からのお知らせ】


【最新のシンポジウム・フォーラム】

<概要、資料の掲載>


【最新の統計】

<SNA統計>

<景気動向指数>平成30年5月速報(平成30年7月6日)

5月のCI(速報値・平成22(2010)年=100)は、先行指数:106.9、一致指数:116.1、遅行指数:118.8となった。

  • 先行指数は、前月と比較して0.7ポイント上昇し、2か月連続の上昇となった。3か月後方移動平均は0.34ポイント上昇し、2か月連続の上昇となった。7か月後方移動平均は0.13ポイント上昇し、3か月ぶりの上昇となった。
  • 一致指数は、前月と比較して1.4ポイント下降し、4か月ぶりの下降となった。3か月後方移動平均は0.10ポイント上昇し、2か月連続の上昇となった。7か月後方移動平均は0.03ポイント下降し、2か月ぶりの下降となった。
  • 遅行指数は、前月と比較して1.5ポイント上昇し、3か月ぶりの上昇となった。3か月後方移動平均は0.24ポイント上昇し、2か月ぶりの上昇となった。7か月後方移動平均は0.22ポイント上昇し、18か月連続の上昇となった。

一致指数の基調判断

  • 景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。

<機械受注統計調査報告>平成30年5月実績(平成30年7月11日)

  • 機械受注総額の動向をみると、2018(平成30)年4月前月比12.6%増の後、5月は同3.2%増の2兆5,875億円となった。
  • 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向をみると、2018(平成30)年4月前月比10.1%増の後、5月は同3.7%減の9,079億円となった。このうち、製造業は同1.3%増の4,538億円、非製造業(除く船舶・電力)は同0.2%増の4,787億円となった。

<消費動向調査>平成30年6月調査(平成30年6月29日)

  • 平成30年6月の消費者態度指数(二人以上の世帯、季節調整値)は、5月の43.8から0.1ポイント低下して43.7となり、2か月ぶりに前月を下回った。消費者態度指数を構成する4項目のうち、「雇用環境」が前月から上昇、それ以外の3項目「暮らし向き」、「収入の増え方」及び「耐久消費財の買い時判断」が前月から低下した。
  • 「日頃よく購入する品物」の1年後の価格の予想(二人以上の世帯)は、「低下する」が3.3%(前月差+0.1%)、「変わらない」が12.6%(同+0.2%)、「上昇する」が81.7%(同-0.4%)となった。

【参考】<月例経済報告>平成30年7月(平成30年7月19日)

景気は、緩やかに回復している。

    • 個人消費は、持ち直している。
    • 設備投資は、緩やかに増加している。
    • 輸出は、持ち直している。
    • 生産は、緩やかに増加している。
    • 企業収益は、改善している。企業の業況判断は、おおむね横ばいとなっている。
    • 雇用情勢は、着実に改善している。
    • 消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。また、平成30年7月豪雨の経済に与える影響に十分留意する必要がある。

<統計調査公表予定一覧>

<統計調査公表予定一覧>
景気動向指数
速報
景気動向指数
改訂状況
機械受注統計
調査
消費動向調査
(全国・月次)
法人企業景気
予測調査(四半期)
平成30年 8月 7日
(6月分)
平成30年 7月24日
(5月分)
平成30年 8月 9日
(6月分)
平成30年 7月31日
(7月分)
平成30年 9月12日
(7–9月期)
9月 7日
(7月分)
8月23日
(6月分)
9月13日
(7月分)
8月29日
(8月分)
12月11日
(10–12月期)
10月 5日
(8月分)
9月25日
(7月分)
10月10日
(8月分)
10月 2日
(9月分)
平成31年 3月12日
(1–3月期)

「企業行動に関するアンケート調査」は例年2月下旬~3月上旬に公表

 (平成29年度調査の公表日: 平成30年3月2日)

国民経済計算(GDP統計)公表予定はこちらから


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