第11回ESRI経済政策フォーラム
「ITは日本経済を強くできるか」(概要)

経済社会総合研究所
平成14年12月19日

 本フォーラムの概要について、事務局の責任により以下の通りとりまとめましたので、ご参照下さい。なお、議論の正確な内容については、議事録(PDF形式 209 KB)別ウィンドウで開きます。を参照頂ければ幸いです。

  • (開催日時)
    平成14年12月13日(金)14:00~17:00
  • (パネリスト)
    西村 清彦
    東京大学教授
    水野 和夫
    三菱証券チーフエコノミスト
    宮川 努
    学習院大学教授 (基調講演)
    室田 泰弘
    湘南エコノメトリクス取締役社長 (基調講演)
  • (モデレーター)
    須田 和博
    経済社会総合研究所総括政策研究官

冒頭、室田泰氏、宮川努教授より別添資料(室田資料(PDF形式 335 KB)別ウィンドウで開きます。宮川資料(PDF形式 37 KB)別ウィンドウで開きます。)に基づき基調講演をそれぞれ頂き(ホームページ掲載の基調講演をご参照下さい)、その後パネルディスカッションを行った(パネルディスカッションの後半は、パネリスト以外の参加者の方々からの質問、ご意見にパネリストが回答しつつ議論を行った)。

1.パネルディスカッション

(水野)
  • 室田先生のご報告にあった、なぜ産業交代がうまくいかないかということに関するジェンセン教授の仮説は、まさにこの10年間の日本の状況を表していると思う。衰退産業における過剰能力が発生し、除却が進まない。金融市場では宮川先生のご指摘のように資金市場の流動性が欠けている。

  • 日米の株価を10年ずらして比較すると、最近の米国の株価は日本の92年頃と似ているが、市場が発しているサインは違うと思う。米国は95年から生産性が屈折して上昇しており、最近は非製造業だけ見ても生産性が屈折して上昇している。今は不況にもかかわらず生産性が上がっている。したがって、実体経済で相当大きな変化が起きているものと思われる。一方、日本の製造業の生産性は、鉱工業生産のアウトプットと連動しており、景気に合わせて循環しているだけである。

  • 米国の株式時価総額は、最高時でGDPの1.9倍、今は1.1倍に落ちている。日本はバブルのときに1.4倍、今は0.5倍である。日本の0.5倍は95年以前、ニューエコノミー前の米国の状況と同じである。これは20世紀の米国の平均値と同じでもある。米国はその壁を破ってニューエコノミー化したが、日本はそうならなかったと株式市場は判断しているのだろう。

  • 日本のIT投資のデータを見ると、ITを作る方の受注額は大きいが、ITを利用する方は低水準にとどまっている。その差は輸出に向かっている。ITは日本経済の生産性や社会を変えるような貢献をしていない。

  • 日本の雇用は伸びていないが、米国では生産性の上昇とともに雇用が伸びている。特にコンピュータ、データ処理関係の雇用は95年以降、年率12%もの割合で伸びており、7年間の雇用者数増加1600万人のうち7%がIT関係となっている。ダウ平均は現在8千ドル台だが、3700ドルから現在の水準に至ったのには、ITによる生産性の貢献が大きい。

  • IT化によって循環的変動が大きくなるという室田先生のご指摘については、そのとおりと思う。米国では潜在成長率を上回る中期的な需要見通しに基づく投資が5、6年続いたため、過剰設備が生じた。しかし、生産性が上がっていれば利潤率の上昇につながっていくだろう。

(西村)
  • 米国の生産性上昇は技術進歩によるものとされているが、実体経済が変わったというだけでなく、データのとり方が変わったことを念頭におくべきである。ITに関して実質化するデフレータが大きく変更された。日米を比較してもデータのとり方に大きな差がある。宮川先生の推計は中庸をいっていると思うが、米国の方法は極端なところがあるので、注意する必要がある。

  • ソフトには、インハウス(自社開発)、カスタム(受注開発)、パッケージの3種類があるが、日本ではカスタムの統計しか設備投資に含まれていない。米国では全部含まれている。日本でもパッケージの統計としてはきちんとしたものがあるが、その取り扱いが米国と比べて抑制的に過ぎる。インハウスについてはコストベースで推計されるが、宮川先生の推計も米国の推計も過大評価しているのではないかと見ている。

  • 統計の使い方については、その統計がどう作られているかにまで注意を払うべきだ。そうしないと、実態をどうとらえるか、正確でない統計に対するマーケットの反応をどうとらえるかの2点で間違いやすい。

  • パソコンに入っているソフトやハードを考えると、過剰能力(オーバーキャパシティー)ないし過剰品質(オーバークオリティー)があるが、価格指数は遊休能力がないという前提で作られている。現実には2年前のパソコンを使ってもほとんどの場合支障がなく、最新の能力が必要かどうかは疑問である。新古典派的な考え方では遊休能力は存在しないので、ジョルゲンソンやスタイローのような米国の経済学者は、いずれ新しいソフトが出てきて活用されると考えている。そういう考え方に基づくデータを使っているのだということに気をつける必要がある。

  • 現在の米国経済に関する見方は、慎重な楽観主義というところだろう。さきほどの過剰品質の問題は、今回初めて出てきた問題であり、どう処理すべきか、未知の部分が多い。ヒューレットパッカード社がソフトの開発拠点をインドに移している。米国のソフト開発をはじめとするITの空洞化を示すものかもしれない。

  • また、米国では成長率の高い時期とIT投資が盛んに行われた時期が重なっており、成長会計において見せかけの相関が「技術進歩」に入っている可能性がある。米国では金融・保険業や卸売・小売業のような非製造業でも生産性が向上したが、日本ではそうなっていない。この解釈は難しい。日本の問題も考えられるが、ゴードンが言うように、米国の非製造業の成長が循環的である可能性も大いにある。卸売・小売業ではむしろ日本の方がPOSデータの活用というITの整備が進んでいるにもかかわらず、生産性上昇は観測されていない。

  • 日本についてはかなり悲観的な見方をしている。日本が従来から持っていたアドバンテージに対して、現在の技術革新はネガティブなバイアスを持っているからだ。ITの進展と世界経済化に伴いインテグラルなものとなったモジュラー化によって、日本型の川上から川下までのインテグラルなアーキテクチャが大きな打撃を受けた。現在、日本で競争力が高いのは自動車産業のみであり、その特徴はインテグラルなアーキテクチャと言ってよい。電子機械産業ではIBMのメインフレームがその代表格だったが、日本メーカーがIBMを抜いたとたんに、中心的技術がパソコンや分散コンピューティングへと移行してしまった。

  • ITにおけるネットワーク化は人と人との関係、すりあわせといった古い型のネットワークを時代遅れなものにしてしまった。それにつれて、企業スペシフィックなヒューマンキャピタルが価値を失ってきた。ITの発展により資本設備の価値がゼロになって遊休資産が生じ、同時に、ヒューマンキャピタルも陳腐化して市場価値がゼロになり、失業が生じている。このため、需要を追加しても雇用が増えず、不完全雇用で均衡している。

  • 警戒すべきこととして、日本では市場の衰退とみられることがこの3、4年で起きている。90年代半ばまではTFP成長率の低い企業が市場から退出していたが、96、97年には逆に、TFP成長率の高い企業が退出するという奇妙な現象が生じている。IT化と同時並行的に、裏で何かが起こっている。

  • e-Japan計画が言っているようにITの進展で日本の社会がばら色になるとは思えない。e-Japan計画を唱えている政府高官はeメールを使っていない。これでは日本がIT化に対応できるか疑問である。実際にITを使っている人たちが技術革新のバイアスを日本にとって不利でない、あるいは有利な方向に変えていく仕組みを作らなければ日本は非常に厳しい状況になる。

(室田)
  • ソフトの価格については、米国でも全て分かっているわけではないが、地道な研究が多く進められた上で、その成果に立って行われていると理解している。計測上の問題はソフトに限ったことではなく、たとえば銀行の生産額についても長年議論されていて、まだ結論が出ていない。

  • 過剰能力については事実だが、ソフト屋からみると、これこそが発展のカギである。パソコンの価格が10万円まで下がってコモディティ化すれば、非常に多くの人が使うことができるようになる。その中にリーナスやビル・ゲイツのような天才がいて、パソコンの能力を100%使って大きな革新を成し遂げることがありうる。だから、少数でも使いこなせる人がいるなら、ほとんどの人にとって過剰な能力であっても構わないのではないか。

(宮川)
  • 米国の株価は日本の92年頃と似ているというお話があったが、その頃に適切な政策をとっていれば今のような状態にはならなかったのではないかと思う。そういう意味で、米国の政策が今後どうなるか、経済政策チームが替わったところでもあり、興味深い。

  • 統計の問題については、西村先生ご指摘のとおり、必ずしも米国流がいいとは言えない。OECDのペーパーを見ても、加盟各国の統計でIT製品の価格はバラバラであり、調整しようという試みもあった。データをみて限界を知った上で判断する必要がある。

  • 今の日本は、デフレであることを除けば、失業や倒産が多かった1980年代初めの米国に似ている。当時の米国にとっては生産性の向上が大きな課題であり、80年代後半にGMはトヨタのカンバン方式を導入した。今の日本はITをツールとしたビジネスモデルを受け入れていく必要がある。そのうえで大事なのが、日本がリーディング産業として何を打ち立てていくのかということで、それは米国の後追いでなく、新しいモノ作りかもしれない。

  • プレスコットによると、技術は世界中にあまねく広がっているにもかかわらず、なぜ一人当たりGDPで20倍、30倍もの差が生じるのか。これは技術を受容するかしないかの違いではないかと考えることができる。明治時代の日本は綿糸産業が成長したが、同じような状態だったインドではあまり成長しなかった。この差については、日本は若い女工が中心で、新たな技術をすぐ受容したのに対し、インドでは成人男性が携わっており、新しい機械の導入が遅れたためではないかと言われている。今の日本は技術の受容の面で遅れている。e-ビジネスの顧客の多くは30代、40代だが、最も金融資産を多く持っているのは60代であるというように、かみあっていない。この点を克服していかないと米国のような復活は展望できない。

(水野)
  • 日本の退出がうまくいかないことに関連して、非製造業の付加価値の上昇率を推計すると、90年代に入ってサービス産業で実物資産の投入量が大きいことがわかる。本来ならIT化が進むと店舗などの実物資産を使わなくてすむはずであるが、実際には60年代に製造業が高度成長してきたのと同じ形になっている。これはIT利用産業の問題だが、ここに日本が低成長を脱出するカギがあるのではないか。

  • 日本企業のネットワークが時代遅れになったという話に関しては、売上の減少が卸売業と建設業に集中していることが思い当たる。卸売業はメーカーと小売業を情報で結ぶネットワークである。雇用問題もこれら2業種で発生している。これらについては今までプラスの仕組みだったものでも相当思い切って変えていかなければならないと思う。

(西村)
  • 建設業は、コントラクター、サブコントラクターなどがあり、自動車産業同様にネットワーク産業である。そのネットワークの持つ価値がなくなったことは大きい。自動車産業は市場にさらされていたので大きく変革できたが、建設業は国土交通省により守られているので、変革が起こらない。トヨタは昔は小さな企業だったし、ホンダは存在しなかったが、建設業の大企業は昔から変わっていない。そういう業界が部分的にでも市場にさらされるともろさが出てしまう。

  • ソフトウェア産業ではしばしばアウトソ-シングが行われ、これはある種のモジュラー化を伴う。これにより生産性が上がるはずだが、実際には逆になることがある。たとえば、役所への1円入札で仕事を取ってきて、後続の仕事の受注につながれば採算が取れると思っていても、その後役所から次々と注文が出てきて、これに際限なく応じなければいけなくなり、結局コストアップにつながり、損をするという場合がある。モジュラー化では、出来ることと出来ないことをはっきりとさせ、できないことは顧客に負担してもらうことが重要である。IBMはソリューション・ビジネスでそれをやっているが、日本企業には難しいようだ。発注側のトップがモジュラー化について理解がなく、変な指示をしてしまう。受注側も馴れ合いになってしまう。モジュラー化が進むとトップに最終的な権限が集中するので、トップがeメールを使えないような場合は致命的である。

  • 金融等のサービス業で生産性が伸びない理由は、ソフトウェアが高すぎることである。各社がモジュラー化を考えずに、同じようなソフトを開発してコスト高を招いてきた。このようなやり方でe-Japan計画を推進すると、ますますひどくなるだろう。

  • 需要は確かに出てくると思うが、問題はビジネスモデルになるか、お金を払ってもらえるか、ということである。P2Pを考えてみてもわかるが、規制を強めない限り、インターネット上で情報の価値はただになってしまい、ビジネスモデルとして成り立たない。そうすると雇用も増えない。米国のようにIPOでもうけるというタイプの需要創造は難しく、むしろNGO型のコーポレートモデルで新しい需要を作り出す方が将来性があるのではないか。

2.フロアー・オープン・ディスカッション

(フロアー1)
  • 通常は生産性と雇用はトレードオフの関係にあると考えられるが、OECDの調査では、日米欧のうち米国だけ生産性と雇用の両方が伸びており、これは一種のパラドックスとも考えられる。米国ではITがどれだけ需要創出につながったのか。サービス産業で新しい需要、ビジネスを生み出したのか。それらの点が今後の日本を考える上で役に立つのではないか。

  • 日本については悲観論が述べられたが、それに関連して質問したい。90年代は米国がフロント・ランナーとして一人勝ちしたが、これからは他国がキャッチアップして、米国の地位を脅かすのではないか。

(フロアー2)
  • 宮川先生へ、自社開発ソフトや受注ソフトが減少しても、パッケージソフトに置き換えれば、コストが低下し、生産性上昇につながるのではないか。

  • 西村先生へ、IT産業が収穫逓増なら、社会にとっては良いことだが、企業はもうからなくなるのではないか。この点についてどう考えたらよいのか。

  • 室田先生へ、日本は遅れているという話だが、これからキャッチアップすると考えれば、それは日本の得意技であり、これから日本は良くなると考えることもできるのではないか。

(宮川)
  • 自社開発ソフトを含めてソフト全体が92年にピークを打っており、外国と比べて奇妙な現象であるということを申し上げた。必ずしも日本のソフトが効率よく投資されてきたとは思っていない。その結果、生産性向上に寄与していない。モジュール化で何が出来るかできないかを明確にしてやっていれば、生産性向上に寄与していたのではないか。重複投資を変えていく過程が90年代にあったが、まだ不十分ということだろう。

  • 最初の質問に関しては、インターネットでの予約、振込み等、米国は新しいビジネスを作ってくれている。需要側が新しい技術を受け入れていけば供給側とマッチしてきて、新しい需要が生まれると思う。日本では需要と供給がマッチしていないが、それは日本特有の問題ではなく、80年代の米国でも自動車産業は燃費を重視する消費者の要求にうまく応えていなかった。

(西村)
  • ご指摘のとおり収穫逓増は自然独占を生むはずだが、実際には企業にとっての激しい収穫逓減が起こっている。情報はほとんど完全な形でコピーできる。インターネットでやりとりできれば、再生産コストはゼロになる。そうすると市場価格はゼロになり、ビジネスモデルは成立しない。ではどこに付加価値を見出すか、という点で皆が困っている。ITで絶対にできないものとなると、時間である。使いたいときに直ぐに出てくるオンデマンドには価値がある。これは収穫逓減する部分である。それ以外では、規制をかけない限り、ビジネスモデルは成立しない。コピー防止技術は進歩しているが、半年くらいで破られる。それでも創業者利得は得ることができる。オープンな基幹インターネットでは、そういういたちごっこが続く。ただし、ビジネスが成り立たなくても、NGOスタイルでやればよい。雇用や社会厚生の観点からは、ITがあることは非常に便利で良いことである。

  • 最初の質問に関しては、米国の景気がよくなった理由として、次の3つの需要が出てきたことが大きい。すなわち、ITを通じる投資が巨額だったこと、MBS等の新しい金融商品の開発が行われ、金融革新に成功したこと、モジュール化されたトラックをベースに開発されたSUVが大ヒットしたことにある。ITは90年代に投資需要としては大きな役割を果たしたが、最近では大きなインパクトはない。

(室田)
  • キャッチアップでも日本は難しい。自動車と違って携帯電話は2週間毎に新機種が出てくる。ノキアはできるが、日本のメーカーはこのスピードについていけない。GSMのような世界標準をとれなかったことが大きい。また、変化のスピードについていけるような業態になっていない。インドや中国のソフト産業は米国にキャッチアップできたとしても、今の日本のやり方では"too late, too small"だろう。

  • ITに関するビジネスモデルは難しいという話があったが、それに関しては、ITの成果を享受するのは消費者だろうという説がある。

(水野)
  • 米国では95年に生産性がジャンプしたが、同時に潜在成長率をオーバーする需要が発生した。このときは個人消費が4%近く伸び、当時のデータで貯蓄率がゼロかマイナスになった。これは、ニューエコノミーへの変革と、巨額の経常収支赤字が出ても、海外貯蓄の活用により金利が上がらない仕組みができていたことによる。また、資産効果で消費が増えた。日本では、負の資産効果と収入の将来不安が消費を抑制している。消費を増やすためには、貯蓄しなくてすむよう将来不安をやわらげることが重要である。

(フロアー3)
  • IT投資が普通の意味で生産性を上げるということのほかに、ITがCADやシミュレーション等を通じて研究開発の効率を上げるということも考えられる。前者は投資が終われば効果もなくなるが、後者の効果は永続的と思われる。そこで、それがどの程度重要なものなのか、また、日本が米国と比べて遅れていると言われるのはどちらなのか、お考えを伺いたい。

(室田)
  • その点については資料17ページのCummings & Violante(2002)で扱われているが、はっきりとしたことは言えないようだ。

(西村)
  • そうした効果は、マクロ的にはIT生産産業を入れて計測すればポジティブに出ると思うが、企業によって相当違うだろう。

(宮川)
  • 研究開発をアウトプット、ITをインプットと見るという考え方は、まだやっていないが、非常に興味深い。

(モデレータ)
  • 最後に、各先生方それぞれ一点ずついま我々は何をなすべきかをまとめていただきたい。

(室田)
  • 市場からの退出を円滑にすることが重要である。政府は、ITには手を出さず、他の効率の悪い業種から過剰設備を買い取って廃棄することなどをしてもよいのではないか。

(宮川)
  • 資料の最後に書いたことに付け加えるとすれば、ITを利用した活性化が重要だ。ITを使った仕事のやり方を変えて、スピードを出し、また、階層的な組織の上部で決定せず、若手に仕事を任せるようにしていくべきである。

(水野)
  • 貯蓄がIT関連等の消費、投資に向かうよう、制度改革によって年金等に関する将来の不安をなくす必要がある。最大限のリスクがこれだけとわかれば、貯蓄の必要額がわかり、行動に向けられる。また市場からの退出ルールを明確にして、資源のシフトを円滑にすることが重要である。

(西村)
  • 90年代の負の遺産がおそらくは兆円で3桁もあって、解決の見通しがたっていないにもかかわらず、あたかもそれが無いかのようにあちこちで議論されているのは問題である。市場は底値が見えれば回復に向かうが、まだ見えてこない。市場が機能していないので、政府は市場に丸投げするのでなく、市場が活性化するように役割を果たすべきである。

  • 10年間の経験によると、結局ITを使った新しいビジネスモデルはできなかった。マイクロソフトは独占という旧来のモデルである。新しいビジネスモデル、コーポレートモデルを構築することが重要であり、それは消えてしまったヒューマン・キャピタルを再び活性化することにつながる。政府は市場を強化する役割を果たすべきである。

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